Speaking:「英語脳」は作れない。日本語で考えたことを英語にする。
「英語脳を作ろう」
ネット上で英語学習の情報を見たり書店で本を探したりする際に、今でも散見される言葉です。
「頭の中に『英語の思考回路』を作って、それでスムーズにやりとりができるようになろう」
というのがこのコピーの趣旨です。
一時期流行った「時頭(じあたま)」ではありませんが、
英語学習はこういったコピーが跋扈しやすい傾向があります。
英語脳は、作れません。
厳密に言うと、作ることは不可能ではありませんが、ムダです。
あなたには、既に何十年と積み重ねてきた「国語力」があります。
普段、何かを考えたり実際にやり取りしたりする際にも日本語を使っています。
この「第一言語の力」を使わない手はありません。
英語脳というのはつまり、この国語力を無視して「もう一つ母国語をゼロから学びましょう」と言っているようなものです。
「さあ今からネイティブになりましょう」と言っているのと同じです。
非効率的どころか、非現実的です。
それよりも、日本語・国語力を最大限に活かしながら英語を学んだ方が遥かに効率的かつ現実的なのです。
スピーキングに関して言えば、何も無理して「日本語絶対NG」にする必要はありません(相手が日本語が分からない場合は配慮が必要ですが)。
それどころか、日本語の力をフルに活用するべきです。
まずは日本語で伝えたいことを考えて、それを英語に置き換えてみる。
そこで分からないことがあったら、そこではじめて「〇〇って英語でなんて言うんだろう」と調べればよいのです。
日本語での思考・疑問を土台にして英語を覚えていきましょう。
ここでもう一つ注意点があります。
「英語だと伝えづらいから、日本語を簡単な表現にしよう」とはなるべく考えないことです。
極端な話、「『牛乳』だと伝えるのが難しいから『牛 白い水』にしよう」とは考えてはいけません。
それでは日本語での思考力を放棄することになります。
あくまでも牛乳はそのままで、milkと言えるようになりましょう。
第二言語の能力に合わせて、日本語までバカになってはいけません。
…筆者、透佳(スミカ)