Prologue: 勉強で大切なのは努力することではなく、工夫することである。
職業柄、私は「頑張っている生徒」を見ることが多いです。
学校のテストの得点アップ、成績アップ、志望校合格…
それぞれの生徒たちがそれぞれの目的に向かって毎日努力を重ねています。
とりわけ学習塾というのは学校での勉強にわざわざプラスして勉強する場所ですから、
そこに通う子達はコツコツ努力することを苦にしないことが大半です。
ですが、塾に通う生徒を長く見てきているうちに一つの「法則」が浮かび上がってきたのです。
それは、「努力順に成績や志望校は決まらない」という厳しい事実です。
この連載は決して、
「頑張れば誰でも絶対にテストができるようになるし、志望校に入れるよ」
という建前を述べるところではありません。
一切の綺麗事を排除して本音ストレートで申し上げると、
いくら努力できる子でもその努力の中身が間違っていれば結果は一切出ません。
それどころか、努力すればするほど逆効果になってしまいます。
その逆に、
努力の中身が正しい子であれば最低限の努力(ないしほぼゼロの努力)でするっとテストや入試を通ります。
この事実を受け止めるのは教える講師側の人間も苦労します。
「あの子は凄く頑張っているから、なんとかテストで良い点数を取って欲しい」
「あの子は全く頑張っていないから、きっとテストはうまくいかないだろう」
と思うのが人情だからです。
そして実際にテストや入試の結果が出るたびに、
良い意味でも悪い意味でも
「え!?どうしてあの子が!?」
と驚くことになるのが毎月・毎年のようにあります。
ここで大切なことは、
「それほど頑張っていないのにスルッと通過する子」に対して
「けしからん!」と怒り心頭に発したり
「きっとアイツは何かズルをしているに違いない」と嫉妬したりすることではありません。
この子達の戦略・考え方を見習って、盗めるものは全て盗むことです。
幸いなことに、その子達が使っているのは「魔法」ではなく
やろうと思えば誰にでもできるけど、誰もがやっているわけではない「コツ」であることが大半です。
あなた本人、ないしあなたのお子さんはこれまでもよく勉強を頑張っていて
その上で「どうにかしたい…」とこの連載に目を通してくれているのでしょう。
そういうあなたにお伝えしたいことは一つ。
あなたやあなたのお子さんは、もう十分頑張っているのです。
これから大切なのはもっと頑張ることではなく、その中身や方向性を磨くことです。
もう、闇雲な努力はやめましょう。
2022年5月吉日 透佳(スミカ)
(『努力なんていらない。塾講師が教える最短で最高の結果を出す方法
ー No Need To Hassle. Study Well To Get The Most.』)