Entrance Exams: 過去問には「この学校はこの時期」という解くべき順番がある。
私がこの項目でまずお伝えしたいことは、
自分の第一志望ではない・志望していない学校の過去問でも解く価値がある
ということです。
塾業界からしてみればこれは常識なのですが、
塾が初めての親子にこの話をすると高い確率で驚かれます。
「え!過去問は自分が強く志望する高校のものだけを徹底的にやっておけばいいんじゃないんですか」
と。
それだと守備範囲が狭くなってしまうのです。
狭くなる上に、過去問は「もう未来には出せない問題」の集合体ですから
新しい問題・初めて見るような問題を見た時にまるで対応できなくなってしまうのです。
第一志望の入試の出題形式・問題形式が突如変わる可能性もゼロではありません。
入試の作題者からしてみても、
「既知の過去問で高得点が取れる生徒」ではなく
「初見の入試で高得点が取れる生徒」が欲しいので尚更です。
この「初見の問題を見て、対応できるようになる」
という経験を一つでも多く積むために過去問は広く取り組んでおくべきなのです。
もちろん、第一志望の過去問はやるなとはいいません。
むしろ積極的に取り組むべきです。
ですが、それはそれとして自分の持ち偏差値を参考にしながら解く過去問を選ぶのです。
これはもう少し詳しく話をしましょう。
例えば、その都道府県でナンバーワンの公立高校を志望しているとしましょう。
私は東京都での指導経験が大半なので、ここでは日比谷高校ということにしましょう。
中3の4月になったタイミングで、いきなり日比谷高校の問題は解けません。
中学英文法がまだ全て学び終わっていないというのももちろんですが、
日比谷高校の入試といえば大量の長文読解です。
日比谷高校の最新の過去問は日比谷高校HPからいつでも誰でも閲覧することができます。
試験時間が50分で、リスニングがおよそ10分で、英作文で10分使うとしましょう。
残り大問2つ、合わせておよそ3,000語の長文読解をそれぞれ15分以内に終わらせる必要があります。
問題を解いて答えを記入する時間を考えると、
それぞれの本文を読み切るのは各7〜8分といったところです。
これが入試です。
「では入試対策をしましょう」といって、いきなりこれに取り組むのは無理があります。
段階というものがあります。
その前段階としては共通問題の過去問も悪くないですが、
よりおすすめなのは私立の堅実高〜中堅校レベルの過去問から取り組み始めることです。
このレベルであれば、中学英文法が終わり次第全て読み進めることができます。
文量も日比谷高校ほどはありません。
そして何よりも私立高校は世の中に沢山あるので、その分場数を踏むことができます。
こうやって入試問題に少しずつ心と体を慣らしていくのです。
学習塾に行けば、この手のロードマップはいくらでも示してくれます。
「最終的にこのレベルまでもっていくために、今週はこの過去問をやりましょう」
という1年間のメニューが生徒の志望校別に完璧に作られています。
これは塾ならではの強みの一つであり、大いに活かすべきです。
…筆者、透佳(スミカ)