Foundation: 頑張っても報われない子は例外なく、中1の内容がズタボロ。
あえてここに書くまでもないことですが、
コロナ禍は生徒の学習状況にも多大な影響を与えました。
一時期は対面授業が不可能になりオンラインに。
対面授業が段階的に復活した後も、
様々な学校行事に制約がかかっているのは今も変わりません。
とりわけ、「国際交流」「英語教育」をウリにしてきた学校は
どうしても対面・大人数での集合を前提とする授業や行事が多いため
コロナ禍の影響をモロに受けました(そして今も受けています)。
それは学習塾も決して例外ではなく、
一時期は全てZoomでの授業に切り替わった塾が大半でした。
それによって生じた様々な影響については、他でも散々語られています。
それに加えて、私は一つ「こんな弊害もあった」という現実をお伝えします。
コロナ禍になって以降、
「明らかに去年の内容が定着していないよね」という子が目に見えて増えました。
新年度になって新しいクラスを持つと嫌でも気付かされます。
決して冗談ではなく、
「え?この子達はbe動詞と一般動詞の違いも教わっていないの?」
という状態で中2・中3に上がってきた子が少なくなかったのです。
そんなことも分かっていないので、当然テストはズタボロです。
事情を聞いてみると、やはりコロナ禍です。
具体的に言えば、コロナ禍で学習が一旦全ストップしてしまったのです。
ストップしている最中も真面目に自ら勉強できる子なんていうのはほんのひと握りであり、
大多数の生徒は何も覚えずにただ時間だけが過ぎてしまいました。
そしてそれだけではありません。
ストップしてしまっていた分、学校や塾が再開して以降は
「ストップしていた分を取り戻さないと」
ということで例年以上のハイペースで授業が進みました。
毎週のように新しい内容に入るので、置いていかれる生徒が増えます。
さらに中学英語は最悪なことに、
こんなタイミングに限って指導要領が全面改訂になり
中1の時点で文字通り英語力がゼロの状態では
中1の4月から早速授業についていけなくなるようになりました。
これらの事情が重なって何が起きたかと言えば、
例年・通常であれば内容が定着していた子も含めて
定着する機会を失ったままズルズルと学年が進んでしまったのです。
少なくとも受験という意味で考えるならば、これは中々に致命的です。
英語のみならず他の科目でも同じですが、
英語はとりわけ「積み上げ」の要素が強い科目です。
中1が基礎部分です。
中2は、中1という基礎部分の上に建てる骨組みです。
中3は、中2という骨組みの上で作る壁や屋根です。
こうしてできた家のレベルで決まるのが高校受験です。
ここから何が言えるかというと、
中1という基礎がグラグラなのにその上に骨組みは建てられません。
まとめて崩壊します。
ましてや、中1の基礎も中2の骨組みもグラグラなのに
それらを使って家なんて絶対に建てることができません。
「家のような残骸」ができるだけです。
最初の基礎部分がグラグラなのにその上に色々と建てようとするのは、
まさにザルで水をすくうようなものです。
最短の努力で最高の結果を出すどころか、
どれだけ努力をしても一向に報われません。
こんな子はこれまで数え切れないほど見てきました。
塾講師としては禁句ですが、もう手遅れなのです。
これだけは絶対に避けなければなりません。
ここで大切なことは、これを読んで
「あぁ、オレってもう手遅れなんだな」
と諦めることではありません。
今この瞬間から、もう一度正しい基礎づくりをスタートさせることです。
人生で一番早いのは、今この瞬間です。
…筆者、透佳(スミカ)