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Goal Setting: ニンジン作戦は「ここぞ」という時だけにドカンとやる。

「今度のテストで○点以上とったら、あれを買ってあげるよ」

「今度の内申点で○以上だったら、あそこに連れて行ってあげるよ」

こうやって何かをエサにして行動へのやる気を上げさせることを

俗に「ニンジン作戦」と言います。

これは正直、ラクです。

言葉によって勉強への意欲を高めさせるというのは相当な専門技能です。

それを生業としているはずの学校の先生や塾講師ですら、

「とにかく勉強しろ!」

「がんばれ!」

といった声かけしか知らない・できない人は少なくありません。

こうやってやる気を高めさせるどころか、逆に下げてしまうのです。

それも一切の悪気がなく、むしろ

「オレは良い言葉をかけてやっている」

と勘違いしてしまっている始末です。

それに比べて、エサというのは極端な話、お金さえあれば誰でも用意できます。

ゲームを買ってあげたり、遊園地に連れて行ってあげたり、イヤホンを買ってあげたり…

「達成できたら買うよ」と言ってあげるだけでいいのです。

達成できなかったら買わなければいいだけので、

予期せずにニンジンが食べられることもありません。

現に今日ではほとんどの家庭がこのニンジン作戦を実行しています。

ですが、この作戦には一つ大きな欠陥があります。

それはニンジン作戦を続ける限り、「ニンジン」の価値を上げ続けなければならない

ということです。

前回はゲームを買ってあげたから、今回も別のゲーム…というわけにはいきません。

その程度では満足できなくなってしまうのです。

「ゲーム機本体がほしい」「箱買いしたい」「課金できるカードが欲しい」

と欲求がどんどん上がっていきます。

クスリと同じです。

こうやってニンジンの価値が上がっていくと、いずれ天井になってしまいます。

そこで初めて

「あれ、昔はゲームソフトを買ってあげるといったら勉強したのに…」

「あれ、昔はディズニーランドに連れていくといったら勉強したのに…」

と気付いてももう手遅れです。

つまり、同じレベルのニンジンは基本的に生涯で一度きりしか使えません。

二度以上使うと、同じレベルでも効果がガクンと下がります。

これがニンジン作戦の肝です。

解決方法は一つです。

本当に最終手段としてしか使わないことです。

その代わり、いざ使うときには最上級のものを用意することです。

ゲーム機なら本体。

ないしパソコン。

「自分一人の部屋」「旅行」「ご馳走」でもいいでしょう。

以前の連載でも書いたことがありますが、

10代の「不純な動機」の力は半端なものではありません。

そのためなら一日何時間でも勉強して、死ぬ気で頭に叩き込みます。

文字通り伝家の宝刀です。

他の全ての手段を尽くして、全てダメになったらそこに初めてニンジンに頼るのです。

最初からニンジンを使おうとしてはいけません。

それは一発しか撃てない強力な魔法を、序盤の雑魚キャラに使ってしまうようなものです。

最後にこっそりと、一つ上のアドバイスを呟いておきます。

「受験本番」でニンジン作戦は禁物です。

合格した瞬間に燃え尽きてしまうからです。

そうやって進学先で落ちぶれて、留年・退学していきます。

次のステージがある段階では安直に行うべきではありません。

本当の最終手段として、一度も使わないのであればそれが理想です。


…筆者、透佳(スミカ)

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