Confidence:学生同士でいくら喋っていても、生産性はない。
交友関係に「生産性」という言葉を持ち出すとは何事か、
と思われるかもしれないがどうか読み進めていただきたい。
別に交友関係を否定したいわけでも、近代合理主義をぶつけたいわけでもない。
一つ間違いなく言えることとして、
海外留学は絶対に「なんか楽しかったな」で終わらせてはいけない。
年単位でのまとまった時間と百万・一千万単位でのまとまったお金が必要なのに、
「なんか楽しかった」が唯一の思い出というのはいくらなんでもリターンが少なすぎるのだ。
「こういうことで苦労したな」
「こういうことを経験したな」
「こういうことを学んだな」
という、日本に留まっていては手に入らないであろうものを
確実に手に入れに行くのが海外留学の存在価値である。
それを踏まえた上で、一度自分の胸に手を当てて思い出していただきたい。
学生同士で群れて話すことは、確かにその場は楽しいに違いない。
だが、後から振り返ってみて
「これはこういう風に役立ったな」と具体的に自らの糧にできるものはどれくらいだろうか。
あなたの本音を引き出すために、まずは私から告白しよう。
まず現地の学生と話す際についてだが、
あちらにとって英語は第一言語だがこちらは第二言語だ。
これはつまりどういうことかと言えば、
お互いに確実に意思疎通ができるレベルまで会話のレベルを落とさなければならないのだ。
いくら「英語の勉強を頑張っています」と言っても、ネイティブには敵わない。
かといってネイティブレベルの会話をしてしまうと、
こちらがついていけなくなるから会話が成立しない。
「少しでも深い内容を、少しでも分かりやすく」
とこちらに気を遣ってくれる大人(例えば教授)ならともかく、
学生はあくまでも若者でありそういう気遣いが弱い。
「Never mind.(もういいよ)」と言われて打ち切られてしまう。
つまりそれほど深い話ができないのだ。
概要や掴み・大まかな内容は話すことはできても、一から十まで話すことはできない。
ネイティブの同年代と深いレベルで(それこそ言語の壁を一切感じさせないレベルで)やりあうのは留学生にはほぼ不可能と言っていい。
そのレベルがあれば、英検1級どころか今から通訳として即戦力で働くことができる。
そんな人は留学なんてしないでさっさと仕事に就いてしまうから、
実際に留学する人の英語力にはどうしても限界がある。
(「英語力を高めに行く」のが留学の一目的だから当然といえば当然である)
一生懸命に現地の学生と話そうとすることは確かに大切だ。
だが、
「ここまでしか話せなかったな」
「もっと深いところまで話したかったのに」
という限界があるという話をしているというだけだ。
そして最悪なのは相手が日本人の場合である。
これは私自身も複数人見てきたから間違いないが、
日本人留学生はなぜか集まって人生論を語り合うのが大好きだ。
最初は「なぜ留学を決めたか」のような話をしていたのに、いつの間にか
「これからどんな人生を歩みたいか」
「社会貢献のために今から何ができるか」
「世界平和のために我々には何ができるか」
など、やたら名詞の範囲が大きくなっているのが特徴だ。
これらの議論が将来の糧になるのならそれでいい。
だが、私が知る限り9割以上の留学生は
話したいことを話したいように話して、「ああ楽しかった」で終わってしまう。
それによって今後の行動が何か変わることもなければ、
何か新しい知恵やアイデアが生まれるわけでもない。
ただ単に楽しいおしゃべりで終わってしまうのだ。
これだけは断言してもいいが、
ただ何も考えずに学生同士で喋っても何も変わらない。
だったら一人で教科書でも読んでいた方が遥かに身のためになる。
…筆者、透佳(スミカ)