Entrance Exams: 偏差値はいきなり急上昇する短い時期と、停滞する長い時期とに分かれる。
以前どこかで書いたことがありますが、
私はかつて新卒の学生として就職活動をしていた際に貫いていたポリシーがあります。
就活ではたまに課題として作文が出されることがあります。
ここで私はどんなテーマを聞かれようが、回答欄の8割は全社同じ定型文を書いていました。
最初の一文は、
「○○(出題テーマ)と聞いて、最初にやはり想起されるのは人間の筋肉の成長過程である」
です。
日本経済がテーマだろうが、一番気になったニュースだろうが、自己PRだろうが、全て同じです。
「日本経済の話をする以上、人間の筋肉の成長過程の話をしないわけにはいかない」
「最近最も私が気になったニュースは、やはり人間の筋肉の成長過程の話である」
「私の自己PRをするにおいて、まず最初に人間の筋肉の成長過程の話をします」
これが英語でいうところのThesis Statement(主題文)です。
第二段落からしばらくはこれまで何十回も書いてきた定型文を同じように書き殴ります。
そしてラスト数行で、筋肉の成長過程と与えられたテーマを無理やりこじつけて結論づけていました。
頭を使って文章を考えるのはこの結論パートだけです。
これは私が一社ごとにいちいち別の案を考えるのが嫌だったわけではありません(確かにそうだけど)。
人間の筋肉の成長過程は、この世の全てに通ずるものがあるのです。
もちろん英語学習も然りです。
私は極めて真面目です。
筋トレに真剣に取り組んだことのある人なら全員首肯するでしょうが、
筋力というのは9割の「全く伸びない時期」と1割の「急に伸びる時期」とがあります。
ふつうの人は、トレーニングすればするだけそのまま筋肉が成長すると思っています。
数学の一次関数のグラフで言うところのy=xです。
ですが実際には、どれだけ緻密にメニューを組んで消化しても
どれだけ適切な食事・休養をとっても筋力は伸びない時期には全く伸びません。
言われてみれば、確かに0.01くらい伸びていないこともないかな…ぐらいの感覚です。
むしろ落ちることもあるぐらいで、成長なんて全くしません。
これが全時期の9割です。
大抵の人は、ここで挫けて筋トレをやめてしまいます。
「あれだけ一生懸命やったのに、全く筋肉がつかないじゃないか!」と。
ですがここで踏ん張ると、1割の「急に伸びる時期」が突然やってきます。
昨日までの筋肉はなんだったのかというくらい、急に筋力がアップするのです。
それが一回起きてまた、残り9割の停滞期に戻ります。
筋トレはこの「9割」と「1割」の繰り返しです。
y=xではなく、階段上に成長していくのです。
私は、少なくとも英語学習・受験の偏差値においてはこれは全く同じだと思っています。
生徒の大半は、勉強したらした分だけ報われる(そのまま偏差値に反映される)と思っています。
ですが実際には、何もやっても伸びない・むしろ偏差値が落ちていくようなダメな時期があります。
しかもそれが結構長いのです(全体の9割)。
大抵の子はここで挫けて、勉強をやめてしまいます。
「あれだけ一生懸命やったのに、全く学力がつかないじゃないか!」と。
ですがここで踏ん張ると、1割の「急に伸びる時期」が突然やってきます。
昨日までの出来はなんだったのかというくらい、急に得点・偏差値がアップするのです。
そしてまた停滞期に戻ります。
勉強とはこういうものなのです。
大人が揃いも揃って「結果を急ぐな」「粘り強く勉強し続けろ」と言うのはこのためです。
「1割」がいずれ必ず訪れることを知っているからです。
今すぐ結果が出ないからといって、嘆いたり落ち込んだりする必要は全くないのです。
…筆者、透佳(スミカ)