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Writing:「文字数を稼がなきゃ」と思っているうちは、永遠にいいエッセイは書けない。

「文字数が少ないです!助けてください」

私のチューター時代も、こうやって相談にくる留学生が数多くいました。

大抵(厳密にはほぼ全て)のエッセイには、「最低文字数」が設定されています。

英語だとminimum word countと呼ばれます。

日本語で言うところの「○ページ以上」「○文字以上」というあれです。

(念のため、日本語の「文字数」と違って英語のword countは「単語の数」をカウントするものです)

そのくらいの文字数がないと評価対象にしませんよ、というノルマです。

特に留学序盤は、これが結構キツイのです。

例えば留学1年目の私は、毎週金曜日に月曜までの宿題として「500 words」のエッセイを2つ課されていました。

やれば必ず分かりますが、500 wordsは結構大変です。

英作文に慣れていないと、100 wordsあたりで手が止まってしまいます。

自分自身のエッセイも含めて、「いかに文字数を稼ぐか」に苦心した時期もありました。

解決策はこうでした。

一文字目を書く前に、アウトライン(何を・どこに・どう書くかの計画表)を作ることです。

アウトラインを作るといいのは、途中で手が止まらないことだけではありません。

書いているうちに、「そういやこういう文章がないぞ」「こういう文があった方がいいな」とどんどん思いつくのです。

見直しとして読んでいるうちに、「ここの話の流れが少し弱いぞ」とまた文章を追加する必要が出てきます。

それをそのまま書くだけで文字数が勝手に増えます。

2,000~3,000 wordsあたりまでなら、こういったテクニックだけでどうにかなります。

ですが、卒業論文レベル・20,000~30,000 wordsあたりになると話は別です。

ここまでくると、「稼ぐ」といっても焼け石に水です。

「稼ぐ」という発想を、ここで捨てる必要が出てきます。

「特に意識しなくても、このトピックならいくらでも話せるし書ける」というテーマを選ぶことです。

「野球の話なら一晩できる」という人なら、野球をテーマにすれば文字数には全く困りません。

むしろ「書きすぎて、どれを削ればいいか困っちゃう」というレベルです。

私の同級生で、これと全く同じ領域に達している方がいました。

皆が文字数でヒイヒイ言っている間で、たった一人「削るのが大変」と笑っているのです。

これが本物です。

エッセイで大切なことは、

同じ情報の質量を少ない文字数に圧縮すると面白くなることが多いが、逆に同じ情報の質量で文字数をかさ増しするとろくなエッセイにならない

ということです。

文字数を稼ごうと思うのではなく、勝手に文字数を書けてしまうテーマをトピックにするか、与えられたテーマをむりやり自分の得意分野に引き込んでしまいましょう。


…筆者、透佳(スミカ)


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