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English:良い英作文の第一歩は、自分の頭で客観的に考えること。

私がこれまで数多くの同級生・留学生・中学生の英文を添削して気付かされたことがある。

それは論理的思考能力を全く鍛えていない人が少なくないということだ。

日本の学校教育で鍛えられたということもあり、

また特に留学生は9割方英語が得意教科だからこそ留学を決めたということもあり

英文法に関して根本的に問題のある人はほぼいなかった。

だが、いざ現地の授業で

「1,000wordsでエッセイを書いてね」

と言われると大苦戦してしまう。

そうやって泣きついてきた生徒を助けるのが私の仕事だったわけだが、

彼ら・彼女らの一番の問題は英文法ではなかったのだ。

確かに直すべき文章は2〜3文に1文あるが、毎回ではない。

では何が問題なのかといえば、

「日本は安全です、なぜなら日本は安全だからです」

のような文章を真顔で書いてくる生徒の多さである。

見た目は英語だから一応それっぽくなっているものの、

日本語に直してみるととんでもない文章を書いている生徒が少なくなかった。

当然、そこで私はチューターとして尋ねることになる。

「どうして日本は安全なの?」

「どうしてそう言えるの?」

それに対して、過半数の答えはこうだった。

「え、だって、日本って安全じゃないんですか…」

それを私に聞いてどうするのか。

「だって暮らしやすいから…」

それは理由ではない。「安全」という事実から生じる一現象である。

総じて、「because」が日本人は弱い。

お国柄上それは仕方のないことだ、という分析はここでは置いておいて

私が彼ら・彼女らに伝えることは一つだった。

「もしこの文を読む人が日本人でない場合も、納得できる文章にしましょう」

これは全てにおいて言えることだが、

人は自己分析よりも他己(他者)分析の方が冷静かつ正確な分析ができる。

自分ごととなるとつい偏見・個人の感情・バイアスがかかってしまうが、

他人のこととなると正しいことが言えるのが人間なのである。

そこで例えば私は、

「アメリカ人の視点から、『なぜ日本は安全なのか』と考えてもらいたい」

ということを伝えていた。

自分と関係のない国のことなら、冷静に考えることができるわけだ。

自分と関係のない国だからこそ、思い込みではなく事実を元に話を進める必要がある。

するとどうだろう、

「犯罪率が低いから」

「警察組織がしっかりしているから」

「防犯カメラが街中にあるから」

といった、先程の問答はなんだったのかと言いたくなるほど

まともな分析が生徒の口から出てきたものだ。

その分析が合っているかどうかは正直二の次だ。

自分の頭で考えた、という事実がまず大切なのだ。

こうして、私の添削を経験した生徒には

私から一つ「宿題」を出すようにしてきた。

日頃目にしたり耳にしたりすることに対して、

一度でいいから自分の頭で「なぜ?」と考えてみることだ。

なぜならそれが論理的思考能力を伸ばす第一歩だからだ。

もちろん最終的にはアメリカの学校授業がそうであるように、

生徒同士・教授と生徒とで積極的に議論を交わすのが理想ではある。

だが、議論といういわば実践・実戦の場で戦うためには

「自分の頭で考える」という初歩・基礎のステップが欠かせないのだ。

そしてその為には、一人で考える・行動する時間が不可欠である。


…筆者、透佳(スミカ)


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