Listening:リスニング教材の8割は、ネイティブスピードに敵わない。
リスニング教材の話を続けましょう。
「どの程度のスピードの英語まで対応可能になっておくか」は大きなポイントです。
正直、観光目的であれば相手はゆっくり喋ってくれます。
「この人は観光客だから、それほど英語が得意じゃないな」と相手が勝手に思ってくれるからです。
こちらの英語レベルが高かったとしても、です。
タクシーやホテル・レストランなどで特に顕著です。
そういったレベルを目指すのであれば、速い英文を聴き取る勉強は不要です。
最悪、筆談にしたりスマホを使ったりでどうにでもなります。
ですが、海外留学の主なやり取りの相手は現地の大学生です。
日本人は、良くも悪くも「相手に合わせる」という発想なので
発言のスピードから内容まで相手に合わせて自在に調節します。
ですが英米圏の発想は、「まず自分」です。
よほどの場合でない限り、自分から話すスピードや内容を崩すことはありません。
普段から観光客慣れしている職種に従事する人ならともかく、
相手は英語を第二言語として話す人とのやり取りの経験が少ない学生です。
わざわざゆっくり話してくれることはまずないと思いましょう。
それが海外留学の素晴らしさという見方もできます。
このいわゆる「ナチュラルスピード」に対応している教材が、日本には想像以上に少ないのです。
大抵のものは、「よくこんなにもゆっくり話してくれるな」という観光客向けスピードです。
そういった教材を予習してから海外に行くと、現地で大目玉を食らいます。
ナチュラルスピードの英語を扱っている教材は、ズバリTOEIC・TOEFL・英検です。
他の教材や、ラジオなどの「教材として作られた訳ではないけど教材として使えるもの」を考えればキリがありませんが、
すでに日本人に馴染みがあってスピードがあるものはこれらの3つです。
どれかを受験したことのある人ならよくご存知でしょうが、
英語レベルが低いうちは、スピードも速くて内容も高度で全く聴き取れません。
文字通り、「何を言っているか分からない」という状態です。
ここで、「もっと易しい教材からやろう」と考えてしまう人が多いのです。
遅いスピードでいくら勉強しても、ナチュラルスピードには一生届きません。
スピードだけではなく、発音の仕方や抑揚の付け方が全く違うからです。
いかにも日本人向けに作られたヤサシイ教材ではなく、
多少速く感じてもナチュラルレベルの教材を選ぶようにしましょう。
…筆者、透佳(スミカ)