Culture:ネットでは分からない情報を得たいなら、一対一で異文化交流する。
冒頭から話の腰を折ってしまうようだが、異文化交流は留学の本質ではない。
確かに副産物の一つではあるが、それ自体を目的にしてはいけない。
単に異文化交流したいだけなら、別に無理して海を渡る必要がないからだ。
日本国内にも外国人は2〜300万人住んでいるから、そこでいくらでも交流できる。
Meetupなどの英語交流会は特に都内であれば毎日行われている。
外国に住んでいる講師と回線を繋いで行うオンライン英会話も、立派な交流ではないか。
他のことを目標にしてついでに交流もできたというのが、
海外留学における異文化交流である。
さて、この交流も現地の人と一対一で対話するのが一番だ。
こちらも一人、向こうも一人なのが理想だ。
なぜなら異文化交流というのはつまり、
2人の文化を並べた上で「ここが同じだね」「ここが違うね」と比べることだからである。
ここで例えば日本人の方が複数いると、話がややこしくなる。
「日本では目玉焼きに醤油をかける習慣があって…」
なんて言おうものなら、
「え!?日本はソースじゃないの?」
「ソースならウスターソースとかね。中濃とか無理」
「いやいや…塩胡椒でしょ何言ってんの」
と個人ごとに様々な意見が噴出してしまう。
(どうでもいいが私はケチャップとマヨネーズだからもうキリがない)
同じ国出身の外国人(例えばアメリカ人)の方が2人以上いても、整理がつかなくなる。
「アメリカではジャスティン・ビーバーが…」
「え!?アリアナ・グランデじゃないの」
「何言ってるんだ。テイラー・スウィフトだ」
とアメリカ人同士で喧嘩になってキリがなくなる。
だが異文化交流というものにおいて、国内の違いは主題ではない。
あくまでも異なる国同士でどう違うかというのが大事なのだ。
日本人同士で異文化交流するのなら、それは日本人だけでやってくれという話になる。
アメリカ人同士で異文化交流するのなら、それはアメリカ人だけでやってくれという話になる。
ここで
「日本にもアメリカにもいろんな人がいるんだね〜」
とまとめてしまっては異文化交流にならない。
そんなことは交流しなくても分かるからだ。
「バイト経験を通じて、世の中には色々な人がいるということが分かりました」
と面接で言う人が落ちるのと同じだ。
そんなことはバイトをしなくても分かるからだ。
あくまでも超・具体的に、
「日本の○○さんは○○の習慣がある」
「アメリカの○○さんは○○ではなく、△△をする」
という一対一・個人同士の対比が大事なのだ。
そうでなければネット情報と同じになってしまう。
それらを帰納的にまとめた結果として、
「アメリカにはこういう考え方の人が多い」
「アメリカと日本はこう違う」
という自分なりの答えが出せるようになる。
一次情報をもとに自分なりに帰納したことには、それだけで価値がある。
テレビやネットで分かるようなこととは異なっていても、
否違ければ違うほどその部分が味になる。
マクロのことなら日本を出ないどころか、部屋から出なくても分かる。
せっかく留学するなら、ミクロに絞って異文化交流することだ。
そのためにはサシに持ち込むのが一番である。
…筆者、透佳(スミカ)