Goal Setting: 目標なんてなくても頑張れるのなら、それが最強。
このチャプターでは様々な視点から、結果を出すための目標設定についての話をしてきました。
具体的であること。
他の子ではない、その子にとってぴったり適していること。
競争精神を活用すること。
その中で、「目標設定において大切なことをあえて一つに絞るとしたら」と言われたら
私はこう答えます。
目標「ありき」にならないこと。
目標はあくまでも手段であって、それ自体が目的化しないこと。
これが最も重要なことだと思っています。
確かに目標設定は結果を出すために多大な結果を発揮しますが、
これは「どんな時でも初期段階で、絶対に確固たる目標を設定しなければならない」
ということではありません。
もしそうだとしたら、ほとんどの中学1年生は答えに困ってしまいます。
中学1年生の時点で具体的で、その子にぴったりで、かつ刺激がある目標を設定できている子なんてほぼゼロです。
ここで「目標がないなんてダメだ!」と大人が叱ってはいけないのです。
目標が今ないならそれはそれとして、とりあえず目の前の勉強に取り組めばいいのです。
これは子供本人というより、それを見守る保護者や先生・塾講師がハマります。
つい大人目線で、「この時期にはこれを達成する必要があるから…」
「今のこの子の力ならこれくらいやれば偏差値はこの程度で…」
と機械的・ビジネス的に考えてしまうのです。
「そんな将来のこと分からないよ」と子供が言おうものなら、
「だからダメなんだ!」
「それだと本番が心配だぞ!」
「大丈夫なのか!」
と大人は言ってしまうのです。
大人からすれば、自らの経験を踏まえて「悪気なく」言っています。
むしろこう言っている自分が正しく、子供を正しく導いてあげていると思っています。
これが一番厄介なのです。
当たり前ですが、生徒は大人ではありません。
大人ほど機械的に・ビジネス的に考えられないことも山のようにあります。
感情的に・目の前のことを中心として捉えがちな部分も大いにあります。
そこを力技で矯正しようとしてはいけないのです。
多くの大人は、
「目標がないと勉強なんてできない」「勉強なんてつまらないもの」だと思っています。
ですが実際にはそうではありません。
「別に目標もやる気もないけど、なんとなくまあ良いかなと思って勉強している」
「とりあえずやってみて、まあ悪くないかなってぐらいで勉強している」
という優等生は案外多いです。
これは塾講師として自ら指導している中でも時折感じます。
こういうタイプの生徒が少なからずいるのです。
自分の内外に何が起こっても、淡々と、粛々と、流されずにコツコツ努力することができます。
これは最強です。
もちろん機械的分析が不要だという話をしているのではありません。
そういった理屈を抜きにして、
「今こうやって頑張れている」という事実があるならその事実を尊重して放っておけばいい
ということを言っているのです。
それでもしどこかでつまずいたり迷ったりしたら、そこで初めて指導してあげればいいのです。
そこで適切な目標設定が必要そうなら、そこで初めて一緒に考えてあげればいいのです。
最初から大人の論理で子供を捩じ伏せようとすると、その子は勉強が大嫌いになります。
これだけは絶対に避けなければなりません。
あくまでもその子がやりたいようにやらせればいいのです。
その為の環境を整備し、子供のやる気の分だけ応えるのが大人の役目です。
…筆者、透佳(スミカ)