Writing:自分のためだけではなく、読者のための文章を書く。
ミシシッピで卒論を書いていた頃、担当教授とこんな議論になったことがありました。
「ペーパーは、誰のために書くものなのか?」
もちろん大学生という立場なので、「自分の成績のために書く」というのが建前であり模範解答です。
ですが、私はその教授にこう投げかけました。
「自分のことばかり考えて『読み手』のことは二の次になっている文章って、読み手としては正直ちょっと嫌じゃないですか?」
その方はこう返してくれました。
「あくまでも『自分の成績』がメインだから、それはそれでいいと思う。ただ、私も教授である前に一読者だからね。正しさも大事だけど、やっぱり読み物として楽しければそれで一番」
大学の教授なだけあり、正しさを測ることに関してプロなのは当然です。
でもその上で、興味深い・面白いものであれば一番という結論に至りました。
もしあなたが留学に行く場合、1学期だけでも何十ものエッセイを書くことになります。
そんな時、この「正しさはちゃんと守った上で、読み手を楽しませる」という考え方を忘れないことです。
読み手も、人間です。
大学という高等教育機関である以上、ある程度「正しい」ことを書いているのは分かっています。
その追求も極めて大切です。
ですが、その上で「お、これは面白いな」と感じるものがなければ人は動きません。
これは逆の立場になれば一発で理解できます。
海外留学の授業では時折peer reviewといって、クラスメイトと書いたエッセイを交換して読み合う・チェックし合うアクティビティがあります。
教科書や既存の研究で分かっていることをそのまま書き連ねるような学生もいます。
理論上は、確かに正しいです。
ですが、読んでいて「楽しいか」と言われれば別です。
「そんなこともう知っているよ」となってしまうのです。
結果的に印象が悪くなり、「最悪」になることはありませんが「良いエッセイ」になることもありません。
それでいい、と考える学生もいるので強制はしません。
ですがもしこれを読んで思うことがあるなら、ぜひ読み手のことも考えた文章を書くことです。
まず、「自分の書く文章を実際に読む人がいるんだ」と意識しましょう。
次に、「せっかくならその人を楽しませよう」と考えましょう。
この2つが頭の中にあるかないかで、文章の中身がガラッと変わります。
…筆者、透佳(スミカ)