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それは遅れてきた思春期のように。


次女「すみ(私)は、甘えなくなったから。」


それは、3週間前に次女と口論になった時、彼女が放った衝撃的な言葉だった。


私は3姉妹の末っ子だ。私たちは、毎年3人で旅行・フェス・ライブにいくくらい仲が良い。周りに仲良いねと言われるのが嬉しいくらいに彼女たちのことが好きだ。


だけど最近、うまくいかない。私はそれがすごく悲しい。


ぶつかることが増えた。それも、一緒に暮らす次女とのぶつかり方は激しい。こんなんじゃなかったのに、傷つく言葉をたくさん言われるし、私も理不尽なことをたくさんぶつけるようになった。いつからだったろう。

心にもないことがスルスル出てくることに戸惑うようになった。


昔一緒に暮らしていた頃(=留学にいく前)はもっと仲良く暮らしていた。喧嘩こそ多かったものの、基本的には彼女が大好きだったし、共通点がたくさんあった。

晴れた日は日当たりの良いリビングで姉とゆるゆると過ごすために自転車を一生懸命漕いでいたし、寒い時期がくるとしょっちゅう鍋をして2人でほくほくあったまっていた。お風呂を入れたら必ず一緒に入っていたし(これは今もだけど頻度が減った)彼女の作るご飯が好きだったし、自分の作った料理を食べてもらうのも好きだった。


でも、大人になった私と姉は、どうやらあの頃とは大分違うみたいで。

合わないことの数がとても多くなってしまった。私はそれが悲しい。


何をしてもテンポが合っていた私たち。

今では意見や価値観が全く真逆になってしまった。


わかり合おうとしても、わかり合えない。

その事実に絶望して、心を痛める日々が続く時期もあった。

こんなに苦しむならいっそ離れた方がいい。もう仲良くなくていい。と思ったこともあった。


だけど、やっぱり。
悲しいと思っているうちは、それなりに彼女のことが好きなんだろう。


そんなことを思っていたら、こないだ口論になったときに姉が言った。

「すみは甘えなくなったから。」


はっとさせられた。

周りには甘え上手とか、甘えん坊とか、甘ったれとか(なんか違う)、いろいろ甘いと言われることの多い私だけど、姉には甘えていないらしい。

自分の最近の行動を振り返ってみると、確かに同意できた。
私は家族への甘え方を忘れてしまったようだ。
気づいていなかった。いつからなんだろう。


きっと海外で生活したことがきっかけなんだと思う。いろんな意味で私が強くなった2年間。

思ったことは体裁や立場を気にせず口にする文化の中で働いたのが原因なのか、自分の意思を前より強く持つようになった。加えて、友達がいても恋人がいても、結局は1人プレイ。若干20歳で暮らしの全てを、言葉の通じない国で、友達や家族が1人もいない地で1人でやりくりした。その時はそんなに大層なことをしている実感はなかったけど、きっとその環境が知らぬ間に私を強くしたんだろう。

そして帰国すると、みんな大人になっていた。姉2人も同級生も就職してお金を稼ぎ、年金や税金・家賃を払いながら楽しそうに暮らしている周り。それと反対に、フラフラ目標もなく、ただただやりたいこと、行きたい場所に行って遊んできた自分。貯金も少なく、学も資格も経歴もない自分を比較して焦った。

それでも私はかけがえの無い経験をしたと。行く前の自分には到底見えていなかったものが見えるようになったんだと。そう言い聞かせるために意地を張っていた部分もあったのかもしれない。無意識に強くなろうと努力していたのかもしれない。


そうして、強く家族への甘え方を忘れてしまったらしい。家族に甘えることが恥ずかしいと感じるようになった。

そんな自分の変化にも気づかず、家族とうまくいかないと悩んでいた。

家族の中でも一番の甘えん坊だった私が、甘え方を忘れてしまったんファからうまくいかないのも当たり前だ。ど


甘えられたらどれだけ楽だろう。
周りには甘えられるのに。
家族になるとどうして急に変わってしまうんだろう。

疑問は解けない。


それは遅れてきた思春期のように。

コントロールが効かなくて、苦しくて、もどかしい。


あぁ、大人になりたい。笑



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