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有事に備えて…保護動物のマイクロチップ、正しく手続していますか?


はじめに

だいぶ間が空いてしまいました。
着々と渡航の準備を進めておりますが、その際にうちの子たちの出身保護団体さんとマイクロチップ関連で揉めました。
あわや、脱走や災害など何かあったときにうちの子として証明ができなくなってしまうところでしたし、なんなら飼い主としての法律違反をしていたので、注意喚起もかねてまとめます。
文字ばっかりですが、どうか大切な家族のためにもぜひ読んでみていただけたら嬉しいです。

2022年にマイクロチップに関しての法律が変わりました

わたしの記事を読んでくださっている方は動物取扱業の方が多いので、ほとんどの方がご存知と思いますが、マイクロチップに関連する法律が2022年6月に新しく施行されています。

詳しくは👇の資料をご参照ください。
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/pickup/chip/seido.pdf

上記URLより抜粋させていただいた、大きな変更点のまとめは以下の画像のとおりです。


うちの子たちに何が起きていたのか

前提のはなし

まず、時系列で説明します。

① 2022年 6月 上記法律改正
② 2022年 7月 すみちゃんはなちゃんこの世のどこかで誕生
③ 2022年 9月頃 保護団体にて保護
④ 2022年 12月 正式に我が家へ譲渡

まず前提として、上記の通りうちの子たちは法律改正(①)後に誕生(②)しているので、新法の対象動物となります。

③保護~④譲渡の間に、保護団体さん側ですみちゃんはなちゃんに以下の処置をしてくださっていました。

  • 混合ワクチンの接種(3回)

  • 避妊手術

  • ウイルス検査(FeLV、FIV)

  • ノミダニの駆除・予防

  • マイクロチップの挿入

上記を前提条件として、何が起こっていたのか、何をすべきだったのかを説明します。

今回すべきだったこと

はじめに説明しましたが、マイクロチップの挿入は一部義務となりました。
では一部とはどんな人たちの義務なのかというと、「犬猫等販売業者」すなわちペットショップやブリーダーさんなど、生体を販売している人たちです。

つまり、うちの子たちは保護団体さんからの譲渡なので、上記には該当しません。

ただし、義務ではないもののマイクロチップを挿入した状態で譲り受けているので、譲渡される側には登録情報の変更義務が発生します。
今回の場合、譲渡される側=私に発生する義務です。

今回すべきだった譲渡時の正しい手続きは、

  • 正式譲渡時にマイクロチップの登録証明書を譲り受ける

  • 譲り受けた登録証明書の内容をもとに、環境省へ登録内容の変更を届け出る

でした。

しかし、わたしはそんな手続きをすっかり忘れてしまっていたのでした。

譲渡時に渡された書類一覧

まず、最初に譲渡時に渡された書類の内容を挙げます。

  • 正式譲渡証明書

  • マイクロチップNo.の記載された用紙

  • 短期保険加入用紙

  • 最終接種ワクチンの接種日とワクチン種別(ワクチンシール)の記載された用紙

上記の通り、マイクロチップNo.は伝えられていましたが、登録証明書は入っていませんでした。

ただ、基本的には飼っている動物に関しての書類(動物病院の初診時登録や賃貸の登録など)にマイクロチップNo.は必要な場合があってもマイクロチップ証明書が必要な場合はほとんどありません。

現に譲渡後1年間、マイクロチップ登録証明書がなく登録情報の変更をしていなくても、何事も問題なく生活を送っていました。

手続きを怠って起きた不都合

では、登録情報の変更をしていなかったことで起こった不都合とはなんでしょうか。

実は、わたしたちにおいては幸いなにも不都合はありませんでした。

え、じゃあ別に法律で決まっているから、以外に手続きする必要なくない?と思いますよね。

答えはもちろんですがNOです。


きちんと手続きをしないとどうなるか

まず、ふと「あれ?マイクロチップの変更手続きって、保護団体さん側でやってくれるんだっけ?」と思ったのがきっかけです。

お恥ずかしながら愛玩動物看護師という職に就いていながら細かな法律に関しての知識が足りていませんでした。
確認しなおした結果、上記にも記した譲り受けた側が行う手続きだということが判明しました。

まず、譲渡時に譲り受けた書類を確認しましたが、記載した通り番号のみ記載があり、登録証明書も挿入証明書もありませんでした。

保護団体の担当者に確認したところ、「当団体は譲渡時にマイクロチップの番号だけをお伝えしております」と、驚きの返答がありました。

つまり、マイクロチップ挿入時の所有者である保護団体が所有者のままになっているので、万が一(脱走してしまった、誘拐されてしまった、災害にあって行方不明など)のときに誰かに保護されても、連絡は保護団体さん経由でしか来ないことになります。
また、連絡をもらっても登録されている所有者でないので、引き取り手続きが難しくなる場合があります。

例えば災害時、その保護団体さんが被災したら。
被災きっかけで迷子になったその団体出身の動物の保護連絡が相次ぐと、団体の連絡経路がパンクしますし、被災している職員さんも多いはずなので引き取りに行く人だって足りないかもしれません。
引き取れたとしても、被災していなくたってキャパシティーいっぱいに動物を保護してくれている団体ですから、本当の所有者に連絡がついて引き取りに来てもらうまで預かる場所がないかもしれません。
物資だって足りないかもしれません。

これらのことが、登録変更することで回避できるかと言われると、じゃあ所有者本人が被災してたって状況変わんないかもしれないじゃんってことになるんですが、家族として譲渡してもらった子たちですからせめて有事の際の責任はできる限り自分たちで取りたいですよね。

少なくとも私はそう考えたので、登録変更の手続きをすることにしました。
(まず愛玩動物看護師として法律に背いている時点でもにょもにょ…)

まず保護団体さんへ登録証明書の譲渡を依頼

登録変更の手続きをするために必要なのは、マイクロチップ登録証明書です。
そこに記載された内容をもとに環境省に登録変更の手続きを依頼します。
まずは保護団体さんにマイクロチップ証明書を譲渡していただくお願いをしました。

ここで注意です。
これ以降のことは、保護団体さんもさすがに様子がおかしいことをしています。
今回、この記事を書いたのはいくら保護活動のプロとはいえ保護団体さんを信じすぎるのはよくない、と身に染みたからです。
少し愚痴も混ざってしまっていますが、どうかおうちの子を守るためにも、自分の子は該当していないかのご確認をお願いします。

さて、本題に戻ります。
担当者にも、本部にも、何度か同じ内容の依頼をしましたが、なんと保護団体さんは、書類探します~というような内容を返してはくれるものの、3か月以上証明書を送ってくれませんでした。

環境省へ問い合わせ

結局のらりくらりかわされてしまい埒が明かなかったので、登録先である環境省へ直接問い合わせを行いました。

  • 法改正後に生まれた個体であること

  • 譲渡時にマイクロチップが挿入された状態であったこと

  • 登録証明書を譲渡してもらえないこと

  • 挿入されているマイクロチップの番号(2匹分)

上記を電話口の職員さんに説明し確認してもらったところ、なんと該当番号の登録はされていない、とのことでした。

ただ、うちの子たちは法改正直後に生まれていることもあり、法改正前の標準であった民間のマイクロチップデータベースへの登録をされている可能性もあったので、今度は民間(日本獣医師会)のデータベースAIPOに問い合わせをしてみました。

AIPOについてはこちらを参考にしてみてください👆

獣医師会の民間データベースAIPOへ問い合わせ

こちらも環境省に伝えたのと同じ内容を伝え、職員さんに確認してもらいました。
すると、1頭は保護団体名義で登録がありましたが、もう1頭は登録がありませんでした。

同じ保護団体で猫ごとに登録先を変更することはまずないと思うので、つまりマイクロチップは挿入されているけど1頭はもし迷子になっても登録なしで連絡することができません、という状況になっていたわけです。

これでは、有事のときに自分で責任を取れるように、どころか誰も責任が取れないわけです。

ここでわたしは無責任すぎる保護団体さんに怒りを通り越して呆れました。


無責任な保護団体さんへアクションしたこと

とはいえ、クレームの電話をしたり殴り込みに行ったりしたわけではありません。
もともとこの保護団体さんは、お世話になっている獣医さんに紹介していただいたので、まずはその獣医さんに連絡を取りました。

その方はもう団体を辞めているので、直接アクションを取れるわけではないですが、弁護士をつけている保護団体だから勝手なことをすると訴えられる可能性があると助言をいただきました。

そんなことある?って感じですが、面倒くさいことは嫌なので、その獣医さん経由で保護団体さんの担当さんに許可をいただき、民間のAIPOと環境省それぞれに無事登録を済ませました。

新規登録については、マイクロチップ挿入証明書も手元になかったので、動物病院で発行してもらい環境省、AIPOの指示に従いました。

1頭だけ民間のAIPOに登録されていたので、そちらはAIPOの方から保護団体さんに連絡をしていただき、登録内容の変更の同意を得ました。

譲渡時これだけは気を付けて!!!

長くなってしまったので、保護団体さんから動物を譲渡してもらう時に気を付けてほしいことをまとめます。
これさえクリアすれば、今回の私のようにはならないはずです。

  • 動物の正式譲渡時にマイクロチップが挿入済みの場合、マイクロチップ登録証明書を一緒に譲渡してもらう。

  • 譲渡後すみやかに、マイクロチップ登録証明書の情報をもとに環境省のホームページから登録情報変更の手続きを行う。

  • もし、マイクロチップは挿入されているのに登録証明書の譲渡がない場合、理由を必ず確認し、不審点があれば環境省に問い合わせる。

さいごに

もし今回のことに気づかず、登録のないままにしていたら…
そう思うととても怖いです。
特に日本は災害大国なので、どうか自分の子を守るためにも今一度マイクロチップの登録情報の確認をお願いします。

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