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《音楽x絵画》ハロウィン~ほん怖、魔女編~
ハロウィン仮装の定番といえば魔女。ヨーロッパで信じられてきた魔女は、悪魔と契約を結んだ女のこと。たいてい老いて醜く、呪術をあやつり、子どもを食べてしまう恐ろしい存在でした。魔女が本当にいるかどうかはさておき、何か社会のはけ口的に多くの無実の女性が「魔女裁判」にて裁かれる、ということも歴史的に多くありました。その場合、男性も含まれ、若い女性から小さな女の子まで処刑の対象になった、というおそろしい話です。
今回はそんな「魔女」にまつわる絵画とクラシック音楽をご紹介します。
スペインの巨匠ゴヤは、晩年に聴覚を失ったあと、どんどん奇想的な絵を描くようになります。目を覆いたくなる残虐な戦禍、おそろしい「黒い絵」の連作。そんな中、魔女も多く描かれました。
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黒いマントの魔女たちが白い服の男性に呪文をかけているのでしょうか。一番左の魔女の手にはカゴいっぱいの赤ん坊。その隣の魔女はロウソクで呪文の本を照らしています。空に舞うフクロウやカラスがまた不気味です。
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こちらも魔女が集まる場面。真ん中の黒いヤギは悪魔の化身ともいわれています。もう儀式がいくつか行われているのでしょうか。周りにはすでに生贄になったと思われる子どもや、今から捧げられる赤ちゃんまで見えます。
魔女があやしげな宴をひらく場面は、音楽でも登場します。
ベルリーズ作曲『幻想交響曲』の第5楽章『魔女の夜宴の夢』です。
あやしく不気味な冒頭、そしてからかうようなふざけた響きが聞こえます。奇怪な動物や魔女がケタケタ笑うかのよう。3分目あたりで鐘が鳴り、『怒りの日』の旋律が奏でられます。宴が最高潮に達したラストは大迫力です。
もう一曲はメンデルスゾーンの歌曲『もう一つの五月の歌(魔女の歌)』。
こちらは舞踏会に行くのを心待ちにする魔女の歌。歌詞には黒いヤギ、ほうきなど魔女らしい言葉が並びます。激しく鳴るピアノと早口言葉のような歌が、面白い一曲です。
こちらは少し珍しい、「魔女の見習い」が描かれた絵。
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若い女の子が魔女の訓練を受けているのでしょうか。服を着ずホウキにまたがりながら、目隠しからこちらを見つめる目は何か意味ありげ…。魔女になる修行といえばジブリ『魔女の宅急便』ですが、こちらは全くキキの感じではありません。
ロシアの魔女、ババ・ヤガー
ロシアにはおとぎ話にでてくるババ・ヤガー(ババ・ヤガ、バーバ・ヤガーとも)と呼ばれる魔女がいます。しわくちゃの顔にガリガリの体、真っ白な髪が逆立った醜い見た目に加え、山奥に暮らし、子どもを食べる恐ろしい魔女です。山から下りてくるときはなぜか臼に乗り、手にはホウキを持ち、そのホウキで自分が動いてきた跡を消していくとか…。挿絵で描かれる姿はこのような感じです。
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もちろんロシア出身の音楽家たちもババ・ヤガーの音楽を書いています。
ムソルグスキー作曲『展覧会の絵』より『鶏の足の上に立つ小屋(ババ・ヤガー)』です。
冒頭から怖い魔女が猛スピードでやってくるかのようです。タイトルの「鶏の足の上に立つ小屋」とはババ・ヤガーが住むとされる奇妙な家のこと。(↓の絵)
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最後に子どもむけのピアノ曲を。
チャイコフスキー『子どものためのアルバム』より『ババ・ヤガー』です。
一分弱の短いながら不気味でおもしろい曲です。ハロウィンの季節、練習してみるのはいかがでしょう?
「魔女」にまつわる音楽と絵画は、実はまだまだたくさんあります。やはりヨーロッパ本場の魔女、本気で怖かったです…。皆さんにもヒヤっと楽しんでいただければ嬉しいです。
角田知香