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世界はみんなの工夫でできている

なにかを成し遂げたいとかはピンとこなくって、でも毎日をなんとなく過ごせればいいって割り切ることもできない、何か足りない日常の不全感。
そんな退屈な日常の足元に目を向けてみること。目が覚めて、ご飯を食べること。隣にある温度を愛すること、温度のいなくなった夜を抱きしめること。そういうところから始めていくべきなのかもしれない、いやむしろそんなことくらいしかできることはないんだろなちっぽけな我々には。

いつもの平穏な日常を思い返してみると<主人公>の周りにはいつも音楽があって、でもこの音楽たちに救われました——って意識はたぶんそれほど持ち合わせていない。音楽の方も救ってやろうという気はたぶんそんなになくて、でもこちらが手を伸ばすのなら握り返してくれる、そういう距離感。
あのとき救われてたなーってのは、いつか振り返る準備ができたときにようやく気づけるものなのかも。

平穏な毎日の繰り返しを工夫して過ごしていくこと。それはただ日常をうまく懐柔するための、なあなあに自分を慰めるためだけの方法なんかではなくて、きっとそれが、それを続けていくことこそが「自分の外へ出る」ための方法になり得る……のかもしれないしそうじゃないかもしれない。正解か不正解かはきっと終わってみるまでわからないけど、私たちの物語はきっとみんな揃って大団円なのだ。きっとね。

音楽が日常に寄り添うってこういうこと、日常を彩る音楽ってこういうこと。そんな景色が見えました夜を——みんなの工夫でできあがった夜を——今日も抱きしめて眠っている。

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