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『新曲発表公演』という殻をかぶった、彼女たちの存在証明

https://dialogue-music.jp/live/20200821_hashire/

風に揺れる青葉、飛び立つてんとう虫、涼やかな水流、光さす小道。どの情景もみずみずしさにあふれている。壊れかけの時代でも、ちゃんと地球は回っている。それは彼女たちも同じだった。季節は夏。ちいさなちいさなかくめいを果たした彼女たちは、かくめいのその後も進み続けた。

彼女たちが一貫して歌うのは『希望を持ち、それを信じること』そして『自分の足で進み続けること』だ。

"僕らはちゃんと素敵だ!"
彼女たちは、その紛れもない事実を、お互いに確かめあうように力強く歌う。私たちの未来はどんな色なのか?そんなの想像するだけじゃわからない。だから、いまから彼女たちは自分の足で確かめに行く。

ん?どうやら僕も一緒について行っていいみたいだ。どこまでついて行けるだろうか。たとえ向かい風だって、負けるもんか。


…走る、ただ走る。誰だってしんどいときはある。思い悩むこともある。挑戦と不安の間で揺れ動く。それでも振り向かず、ひたむきに走る。傍から見れば、不安なままの自分を押し殺しているように見えるかもしれない。それでも僕が前を向いていられるのは、君がいてくれるから。君が僕を無敵にしてくれる。だから僕もそれに応えたい。だから、ただ走る。いまが正しいことが証明される日を夢見て。


ひたすら前へ進む。でも…さすがに疲れたな…。社会はいつもちゃんとしていて、自分はずっと間違いで嫌になるな……もうだめだ〜……バタッ……僕は目の前が真っ白になった。


\iiiiiiii/


…ん、あれはなんだろう。不思議な未知の光との邂逅。ビカビカとまぶしい。まぶしすぎる……。この際天使だって悪魔だってなんだっていい。どうせ僕はこの砂漠で干からびる運命なのだ……

\iiiiiiii/

おや?まぶしい光を浴びた僕は、くすんで見えていた自分が少しマシになったような気がした。私はまた立ち上がる。
そして彼女たちは、倒れた僕に気づいて待ってくれていたみたいだ。ありがたい。


《——もしも君が思い出せなくなっても何度でも伝えに行くよ!大丈夫!!》


ああそうだ、思い出したぞ。僕は"未来の色"を見に行くんだった。
って、いまの声誰だ。



夜。

曖昧(内容がとらえにくく、はっきりとしないこと)じゃいられない僕たちは、自分の形を見つけるためにもがく。ぼーっとしてる時間はない。私たちは進み続けなきゃならんのだ。そして形を探すのだ。でも今日は遅いから寝よう。明日はどこまでいけるだろうか。待ち遠しいな。寝れるかな。そして、お布団に入って目を閉じたときから、もう明日は始まっている。ぼーっとしてる時間はない。私たちは夢をみなきゃならんのだ。とりあえず、今日はおやすみ。

グゥ…


ワーワー!!

ハ~イ!

キャーキャー!!

……この子達、ほんとうるさいわね…。僕に必要なのは、静かで、平和で、心の乱されない時間なのです!

え?私たちの遊びに付き合ってみないかって?本にノートを入れてるから読め?なんのこっちゃ。

これを読めばいいんだな。じゃあ読んだら大人しく寝てくれよ。夜更かしは美容の敵だよ…。どれどれ。


『だから僕たちはお話を続けよう だから僕たちは進み続けよう そうしなきゃ未来は来やしないんだ』


な、なんなんだこれは〜〜…


チュンチュン

んぁ夢だったのかーい。
いや、夢みれてよかったね


「みんなおはよー。

え、次の場所に行くって?まだ"未来の色"わかってないのに?

あ、昨日の?眩しい光が?
はーなるほど、チェックポイントだったんですか…。
あー、回復とセーブもできる、と。だから体が楽になって…はぁ。」


そして彼女たちは、『先に行ってるね、ちゃんとついてきてね』と高らかに歌い、この舞台は幕を閉じる。


60分間の舞台風景にみとれていた。彼女たちの成長を『見守る』なんてフェーズは、もうすでに過去のものなのかもしれない。

この夏、曖昧ではない光を見つけた彼女たちは、私たちをどこまで連れて行ってくれるのだろうか。この謎はまだ私には解けそうにない…。




おしまい。




——思わず僕はぎこちなくなってしまう。君の浴衣姿が眩しかったから。『変じゃないよ』としか言えなかった自分を呪う。あぁ、また嫌なことを思い出してしまった。

今日は夏祭りだ。花火がうるさい。何年経っただろうか、あの日はもう、思い出に変わってしまった。

帰り道、遠回りしようって、あれはたしか神社だった。それで君は『楽しかったね』って恥ずかしそうに、それだけ。

あのとき僕はなんて言ったんだっけ。いや、それよりこの記憶は確かなものなんだろうか。よく覚えていない。

今夜は、やけに冷える。



『今日、楽しかったね。』


——また一緒に行こうね。約束!』

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