ソウルで感じる日常の重み
現代美術館ソウルは、ひとつの特別展というよりいくつかの特別展が並行して開催されている場所だった。
場所は景福宮のちかくにあり、観光スポットだからか周囲には平日にもかかわらず人が多い。けれど、美術館に一歩足を踏み入れると落ち着いている。
展示は1人のアーティストを特集したものというよりは、いくつかの作家の作品を並べて、時代性を抽出したもののように思えた。
作品自体から感じるのは不穏さ、先の見えない時代の不透明さというものを予期させるものが多いように感じた。それは、2023年の現代のようでもある。
けれど、キャプションをよく見ると作品が作られたのは1991年や1990年で、もう30年も前だ。
fireと小さく書かれた蛍光色の鮮やかなオレンジが印象的なこの作品に描かれたのは燃えた建物だ。
隣の蛍光黄色のドギツイ色味が目に眩しい作品も一見するとポップだ。けれど、モノクロの荒涼とした景色の中に飛行機が落ちている。飛行機が立体だから余計に目を惹く。
日常の中に忍び込んでいる戦争を描いた作品だ。
2023年に生きる私は、すぐにロシアとウクライナの戦争を思い浮かべた。今とは少し時代が離れてるはずなのに、繋がっているように感じられるのが不思議だった。
30年経った未来の2023年でも、平和はほど遠い。
日本と近いようで遠いソウルに来て、日常の重みを感じさせられた。それは、日本と違い兵役が義務である韓国だからこそ感じさせられる感情なのかもしれない。
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