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体外受精、陽性そして胎嚢が見えた

こう書いていることがまだどこかふわふわとしていて信じられないような、でも大きく育っていってくれると信じたくてたまらない気持ち。

10日前、妊娠判定を聞きに行く日、可能性は15%ぐらいだろうと思っていた。
ショックを受けすぎないように「ほぼダメ」と自分に言い聞かせて夫と通院。でもこんなに緊張するのはいつぶりか分からないぐらい緊張していた。

呼ばれて部屋に入ったら紙が2枚置かれていて、「妊娠後の・・・」という文字がちらっと見えた。見えているけどまだ頭に入って来ないという段階で、先生がさらっと「妊娠してましたよ」。
2人とも「えっ?」と言って固まり、三秒ぐらいたってから夫が興奮した顔でこっちを見た。信じられない。
いつも淡々としていて笑顔なんか見たことなかった先生がにっこりして「1回目で。良かったね」と言ってくれたことに、初めて心が動いて早くも泣きそうになった。

部屋を出てから「やったー!」と2人で言いそうになるのを、周りに他の人がいるのでこらえる。
何がなんだか分からないまま待合室にまた座り、喜びながらも、その後まだまだどうなるか分からない可能性が一気に頭をよぎった。
冷静なのか興奮しているのか分からない感覚のまま夫とお茶を飲み、一旦バイバイした。

自覚症状は無かった、と思っていたけど、考えたら身体がなんか熱いなとは思っていた。しかしまだ4週。

そして私的には、ここから胎嚢確認までの10日間が、気を抜くと常に襲ってくる不安と心配に振り回された時期だった。

まずは友人1人にだけ伝えたけど、お茶を飲んでいた時に別の女の子の話になり、「その子は1人目は流れちゃったんだけどね」と言われて、一気に動揺。
見せないようにがんばったけど、家に帰ってから「今一番恐れていることを、話の流れとはいえ、出さないでくれよ……」と半泣きになったので
思い切って伝えた。悪気なんかもちろんない子なので、猛反省してくれて
こちらが申し訳なくなるぐらいだったけど、これからも会いたい子なので
我慢せず「私の取り扱い説明書だと思ってほしい。受け止めてくれてありがとう」と伝えた。

母にすぐ言うか迷いつつ、きっと気にしてくれているだろうと思ったので連絡。2度流産を経験している母だけど、「おめでとう」と言ってくれて嬉しかった。この段階で初めてもらった「おめでとう」だった。

体調は眠気と火照りぐらいだったけど、この時期の禁止事項の多さに戸惑った。自転車もだめ、運動、性行為、ヨガもだめ。「流産する場合、原因のほとんどは染色体異常で、お母さんの行動ではありません。自分を責めないで」とネットには書いてあるし、「子宮収縮が流産に直結することはない」ともあるけど、ダメなことがこんなにあるのはどういうことか!?
わからないことは理屈で理解したいタイプの私にとっては混乱しかない。

お腹がぴくぴくしたりツキン、と痛むと、あの時のあれ?大丈夫?と心配になり、こんなんで出産まで気がもつのかと自分でも心配になるぐらいだった。

夫に「もっと労って」要求もエスカレート。今のところ「そうだよねそうだよね」と優しくしてくれているけど、あんまりモンスター化すると夫も疲れるだろうな・・・とまた別の心配。そうこうしているうちに風邪までひいた。

そんな中でようやく診察の日になった。hCG値は1万以上、超音波検査で無事に胎嚢が見え、栄養袋も見えて「5週としては経過は順調ですよ~」と言ってもらえてようやく今、少し落ち着いた。いまはまだ黒い穴にしか見えないけど、本当におなかにいるのか不安でたまらなかった10日を過ごした身からすると、目に見えるのが嬉しくてじーっと見た。

流産の不安を先生に言うと、「流産するとすれば、今もうすでに運命は決まっています」とスッパリ言われた。そうだ。そうなのだ。
ネットで読むより、目の前のお医者さんに告げられる方がよっぽど腑に落ちた。

切迫流産につながらないように行動は制限されるということだけど、
報告した親友(2児の母)が「赤ちゃんも、ユサユサ揺れたりずっとどこかが固くなってるベッドだと寝心地悪いんじゃないかと思って、ゆったり過ごしてたよ」と解説してくれたのがしっくり来た。よく分かった。

考えたら妊婦の世界は、くぐり抜けてきた経験者の智恵がヒトの数だけあるということ。
存分に周囲に頼りながらやっていこうと思う。

吐き気も始まってきて、身体が完全に守りに入っているのを感じてちょっと面白い。他人からぶつかられないようにすごく警戒するようになったし、
下半身からじわじわと私の体調全部に手が及んでいるのが分かる。

もしも今後、悲しい結果になったら、必ず世界一周に行くぞ!
そう思って、身体の声に従いながら、日々やっていこうと思う。




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