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【短歌】枝垂桜|文語の定型短歌を詠む 35

木曾谷きそだにの街道沿ひに独り立つ枝垂桜シダレザクラの古き大木たいぼく

ふだも無くほか花見の客も無く枝垂桜シダレザクラは風と語らふ

ふやうに土手を登りて近づけば畏怖いふさへ与ふ枝垂桜

カメラには納まり切らぬ巨木なり動画モードで桜木さくらぎを撮る

数百年木曾の人々見守りて枝垂桜はこのときを告ぐ

この谷の宝の桜を動画にて異国の友に見せて誇れり


2014年4月詠 『橄欖』2014年7月号初出