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学校に来れて幸せ。脳腫瘍を抱えた桜ちゃんの話。②

これまでの桜ちゃんの記事はこちら


桜ちゃんを担任するにあたっては

彼女に関するこれまでの資料の全てに

目を通した。

何ができて何ができなくて

病気はいったいどういうものなのか。



資料を読んでもわからないことは

病院に連絡をとり

先生と日程調整をして

面談の時間を取ってもらって

聞いて補った。


特別支援学級を新しく担任する場合は

新人研修というものにでることになっている。

私は病弱児学級の研修を受けることにした。

病院に付属の学校に通う子たちのことや

学校生活をどう送っていたかの例

彼らの心境など教えていただいた。

でもわかったことは

それぞれの子によって

病気の程度や症状はさまざまで

その子に向き合っていくしかないこと。


桜ちゃんは

国語や算数といった学習のときは

私と2人で個別学習

他はクラスのみんなと過ごすことになった。


個別学習では

彼女にあった学習と

自分で車椅子を動かして移動できるようにと

運動を行うことにした。


まず、三種類のカードを作成。

一つはカービィ。

一つはプリキュア。

最後はEXILE。

カービィとプリキュアを選ぶと

その音楽を流して歌いながら

車椅子で好きなように動く。

EXILEカードを選ぶと

EXILEが教えてくれる

座ったまま踊れるダンスを私と一緒に踊る。


桜ちゃんは歌うのが好きで

どこでもよく歌っていたから

それがいいと思った。

私はEXILEがおすすめだったけど

桜ちゃんが選ぶのはカービィが多かった。

歌は彼女が歌うのを聴いて

覚えて一緒に歌った。



「今日は給食を食べた?」

時々、桜ちゃんは私にそう尋ねる。

彼女の脳は短期的な記憶が難しかった。

それでも文字は

ゆっくり、つまりながらも読むことができたし

ひらがなは大抵書くことができた。

けれども漢字はほとんど知らなかったので

漢字を少しずつ覚えることにした。

一年生で覚える漢字の一覧表を貼り 

覚えたらチェックしていく。

ほとんどはカードを使ってクイズをしていた。

教頭先生にお願いして

彼女が毎日使うエレベーターには

漢字カードを貼らせてもらった。

毎日目にするたびに何で読むかクイズをした。


一桁なら足し算、引き算もできた。

私は二桁になるときには

筆算を教えることにした。

筆算は幾つもの手順があるので

噛み砕いて一つ一つ。


桜ちゃんは

できないとイライラすることもあった。

だめだよと指摘すると

もう!嫌!なんて怒ったりも。

それでもすぐに気を取り直して

歌っている。


周りの子どもたちに対しては

驚くほど優しくて

大人に対するときのように

怒ることは一度もない。

いいよ^ ^
ありがと!
楽しいー!

といった感じで。

自分がやりたいことを言ってもいいのよと

言いたくなるほど。

誰にでも優しかった。

子どもたちはよく

桜ちゃんの車椅子を押してくれたし

絵本を読んでくれたりもした。



そんな中で

桜ちゃんはめきめきとできることが増えた。

漢字をどんどん覚え

計算をして

車椅子を自分で動かせる距離が伸びていった。



一年生のときは体調が悪くて

学校に来れない日が長く続いていた。

先生がお家まで勉強を教えにいっていたのに。

なぜか二年生では

脳も変わりなく元気で

ほとんど毎日学校に来ていた。


続く。






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