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1996年 オリックス・ブルーウェーブ(優勝・日本一)
2022年にヤクルトを下し日本一になったオリックス・バファローズ。
オリックス球団が日本一になるのは1996年以来26年ぶりということでオリックスファンには前回の日本一について知らない人もいるでしょう。(まあ自分も直接体験したわけではないが)
そんなわけで今回は1996年のオリックス。2連覇を達成し、前年はなしえなかった日本一を掴んだシーズンです。
目指せ2連覇・日本一!
この頃のオリックスは戦力が整っている時期であって、外野は前年首位打者と打点王の打撃2冠のイチロー、大卒4年目の田口壮、和製大砲の藤井康雄といて、内野もD・J、ニール(DH)、小川博文、馬場敏史、勝呂壽統と固定できていて、捕手も中嶋聡、三輪隆、高田誠と層が厚いチームでした。
投手陣も強く、先発陣は野田浩司、長谷川滋利、星野伸之の3本柱に高卒2年目にして15勝と27Sをマークし、新人王を獲得した平井正史など戦力が揃っていました。
とはいえオリックスは層を厚くするため近鉄と大島公一+久保充広⇔高嶋徹+堀江賢治のトレードを行いました。
オフの動きはこれくらいです。ちなみにこの年のドラフトでは全員が高卒指名という独自路線に走りました。
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野手陣
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オリックス打撃陣はやはり強く、得点数、チーム打率、チームOPSはリーグトップ。
やはりなんといってもイチローの活躍でしょう。
全試合に出て打率.356で出塁率も.422、HRの割にはOPSは.900台に到達しており、3年連続の首位打者、最多安打、最高出塁率そしてMVPになるという凄まじい結果を残しました。忘れちゃいけないですけどこれ高卒5年目の23歳ですよ?
T.ニールは32HRでこの年のHR王、111打点で打点王と打撃2冠に輝きました。ニールはwRC+ではチームトップの167を記録。WARも4.7とイチロー(8.1)の次に多い結果となりました。
また藤井も再び20HRに乗せてたり、もう1人の外野の田口も.280 8HR近辺の成績を安定に残しておりやはり外野は打力でも守備力でも強力です。(イチローと田口がGG賞)
トレード加入の大島も規定到達してGG・B9に選ばれるなど活躍し、D・Jも低打率ながら15HR。小川も高打率でサードの馬場はGG賞を獲得した守備でも貢献。
捕手陣では中嶋があまり良い成績を残せませんでしたが併用で起用された高田が結構頑張っており、中嶋より100打席ほど少ないのですがGG賞を受賞しています。
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投手陣
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投手陣だと野田と星野が規定到達。
野田は180 1/3イニングを投げて8勝、星野は144 2/3回を投げ13勝、最高勝率と10年連続の2桁勝利を手にしました。
この年は長谷川が不調で負け越してしまうことはありましたが、新外国人のW.フレーザーが二桁勝ったり、金田政彦や小林宏といった選手も台頭してきてあまり悪い印象はありません。
救援陣は安定しており、前年多く投げた平井が登板数が減るも安定した成績を残しており、野村貴仁や鈴木平といった中堅どころの選手がブルペンを支えました。おかげで救援防御率はリーグ1位でした。
がんばろうKOBE②
シーズン序盤は大きく出遅れた西武とダイエーを除くオリックス含む4球団が上位争いをしていました。
オリックスは去年のように大きく抜け出すようなこともなく、普通のシーズンという感じでした。5月25日の近鉄戦では両チームで3本の満塁HRが飛び出る大乱打戦が展開されますが結局10-13で敗北。
6月11日の西武戦では渡辺久信にノーノーを達成されてしまうなど、前半戦は結構低調のイメージでした。7月のオールスター前には6連敗を喫しています。この時点では首位日本ハムとは5ゲーム差の2位。なんとか巻き返せる位置にはつけています。
ASにはイチロー、田口、中嶋、星野、野村、鈴木が選出されました。
そのAS以降、チームは好転します。8月17日のダイエー戦で10-0で完封勝利するとそこから引き分け挟み5連勝。その中には20日からの日本ハム首位攻防戦もありそこの3連戦では2勝1分。これを制したオリックスはついに首位に立ち、8月は月間15勝7敗と大きく勝ち越すと、9月に7連勝と優勝に大きく近づきました。そして23日のグリーンスタジアム神戸で迎えた日本ハム戦ではシーソーゲームの試合展開になり、9回1点ビハインドの中代打D・Jのソロで同点。そして10回無死1塁の場面でイチローのタイムリーツーベースでサヨナラ勝ち。劇的な形で2連覇を決めたのでした。
V2オリックスvs「メークドラマ」巨人
日本シリーズの相手は長嶋茂雄率いる巨人。
巨人はこの年広島に一時10ゲーム以上つけられていたもののそれを大逆転して優勝するという「メークドラマ」をしており、今一番勢いに乗っているチームでした。
1戦目はオリックスが星野、巨人は斎藤雅樹の先発で試合開始。
巨人が先制をするも、8回に大島のタイムリーで同点、代わった川口からニールが2点タイムリーを放ち3-1としますが、抑えの鈴木平が巨人の代打・大森剛に同点弾を浴びてしまいます。
延長突入した試合は10回にイチローが河野博文からHRを放ち4-3とするとその裏に平井がしっかり抑えてオリックスが先勝しました。
2戦目はオリックスがフレーザー、巨人が槙原寛己の先発
この試合はホームが遠い展開が続きましたが、4回にニールの2点タイムリーで先制するとその後は小林、野村、鈴木と継投して巨人打線を0に抑え2勝となりました。
ホームGS神戸に戻った3戦目はオリックスが野田、巨人がB.ガルベスが先発。
オリックスは2回でガルベスから5点を取ると、2回に巨人のS.マックに、6回に仁志からソロHRを打たれるも5-2で勝利。
4戦目はオリックス先発の豊田次郎が序盤から打たれ、小林宏も打たれて1-5と初めてこのシリーズ巨人に敗戦しました。
5戦目は初戦同様、オリックスが星野、巨人が斎藤が先発。
3回に仁志のソロで先制されるも、3回にオリックス打線が爆発。ニールの2点タイムリーで逆転すると高橋智の押し出し四球、そして小川の2点タイムリーで畳みかけ5点とビッグイニングとなりました。
4回、本西厚博が好捕した打球をヒットと判定され仰木彬監督が猛抗議、ナインをベンチ裏に引き上げさせる場面もありましたが、星野を3回途中で降ろした後は伊藤隆偉が3イニング、野村、鈴木とつないで最後はこのシリーズ敢闘賞を受賞することになる仁志をフライに打ち取りゲームセット。
4勝1敗でこの日本シリーズを制し、日本一となったのでした。
シリーズMVPはニール、優秀選手賞にはこのシリーズ4Sを挙げる記録を作った鈴木、野手では大島とイチローが選ばれました。
実はこのシリーズ6点以上が入らず、このシリーズの打率を見ても巨人が.201オリックスが.221とかなり低調。
これから見るに勝負を分けたのはオリックス救援陣の堅さとMVP受賞したニールがHRを狙わずにチームバッティングに徹したところがあると思います。