2016年 北海道日本ハムファイターズ(優勝・日本一)
北海道移転後は5度の優勝と2度の日本一を果たしている北海道日本ハムファイターズ。ダルビッシュ有や大谷翔平といった世界的スターを輩出している球団ですが、日本ハムの歴史を語る上でやっぱり外せないのは2016年でしょう。この年はソフトバンクに11.5ゲーム差離されながらそれをひっくり返して優勝。さらにたくさんの印象的な出来事が多くあり、かなりドラマチックなシーズンでした。そんな2016年の日本ハムを振り返ります。
2015オフ
前年は2位でシーズンを終えますが、優勝したソフトバンクとは12ゲーム差と圧倒的な戦力差がありました。ソフトバンクは李大浩・J.スタンリッジと主力級助っ人な退団したものの圧倒的な戦力を持っており、「今年もソフトバンクの優勝が堅い」とされていました。
ドラフトでは1位で上原健太[明治大]、2位で加藤貴之[新日鉄君津かずさマジック]、3位で井口和朋[東農大オホーツク]と即戦力を指名します。
打撃陣
まずは1番西川遥輝。出塁率は4割超え、そして持ち前の俊足で41盗塁と理想のリードオフマンですね。
全試合出場したのは田中賢介、B.レアード、中島卓也。田中は打率.272で2HRながら53打点と点を取り、35歳ながら22盗塁と大活躍。
レアードは39HRでHR王を獲得。規定打席に立ったこの年の日本ハムの選手で最も高いOPS.835を記録しています。
レアードに続くHR数を放ったのは中田翔(25HR)と大谷翔平(22HR)。
大谷といえばみなさんご存じの二刀流ですが、日本においての投打のキャリアハイはこの年。規定未達ながら打率.322 22HR 67打点。OPSは1.004と超人的活躍。投手大谷についても後に言及しますが、本当に凄いです。
4番の中田は25HRながら110打点を挙げ打点王のタイトルを獲得。そもそも前を打つ西川や大谷は出塁率が4割超えで、自ずと打点を挙げられるチャンスが多かったのもあるでしょう。
また陽岱鋼は3割近い打率で14HR、さらに後述しますが守備も素晴らしかったです。正捕手は大野奨太が務め、この年のゴールデングラブ賞を獲得。
個人的に印象的な活躍だなと思ったのは大卒3年目の岡大海。
身体能力が高い選手ではありましたが規定未達で打率.374 OPS.924とこの年に大覚醒しました。
投手陣
規定投球回を投げたのは有原航平のみ。有原は防御率2.94で11勝を挙げています。そしてなんといっても投手大谷。特に6月5日の試合ではプロ野球新記録を更新する163㎞/hというとんでもない速球を投じて話題になりましたね。K%も30%超えという驚異の値で投球回を遥かに上回る174奪三振で10勝4敗という成績になりました。
そしてこの年に二桁勝利を達成した選手はもう2人います。
1人は高梨裕稔。大卒3年目の高梨は先発・中継ぎ両方で登板し37登板で防御率2.38で10勝、見事新人王に輝きます。
もう1人は増井浩俊。増井は先発そして守護神というかなり驚きの起用法でしたが10勝・10Sを達成。地味にこの記録、達成した選手少ないと思います。
救援陣も素晴らしく、宮西尚生は42HPで最優秀中継ぎのタイトルを獲得。谷元圭介も58登板で28H、抑えのC.マーティンは52登板で防御率1.07、21Sと守護神としての役割を果たしました。
個人的に好きだったのはA.バースですね(ランディじゃないぞ)。5月半ばから救援起用が増えると安定感が増していき、谷間先発からロングリリーフ、セットアッパーも務めるなどユーティリティーな活躍が見られました。
ルーキー組では加藤貴之が1年目から先発中継ぎ両方で起用され7勝、井口も37登板で防御率3.86と一定の活躍を見せています。
伝説の2016年シーズン
日本ハムは5月くらいまでは五分五分の戦いをしていました。一方ソフトバンクは5月18勝5敗するなど勝ちに勝ちまくり、他5球団の追随を許しませんでした。当時ゲーム差にして11.5ゲーム差(6月24日時点)で、おおよそこれをひっくり返すことは不可能とされました。交流戦もソフトバンクが優勝したのに対し日本ハムは3.5ゲーム差の5位で終了。しかし6月19日の中日戦で勝利したのを皮切りに7月11日のオリックス戦まで球団史上最長の15連勝を記録。6月は15勝7敗、7月は17勝4敗と勝率7割ペースで勝ちに勝ちまくりました。
一方のソフトバンクは7月あたりから内川聖一・松田宣浩の調子が下がりはじめ、日本ハムが勝ちまくった7月は11勝11敗の勝率5割。8月に至っては借金3の負け越しを喫します。一方の日本ハムは7月以降も勝ちに勝ちまくり、9月は15勝6敗と大きく勝ち越します。
8月25日、ソフトバンクを追い抜きついに日本ハムが首位に立つと負けじとソフトバンクがその後にマジックを点灯させるもすぐに消滅。
そして迎えた9月21日,22日。この2連戦は日本ハム・ソフトバンクの首位攻防戦でどちらかに必ずマジックが点灯します。
日本ハムは2連勝しないとマジック点灯はありません。21日はリードして迎えるも一打サヨナラのピンチとなり、江川智晃が弾き返した打球が外野の頭を越えるサヨナラ打になる…と思われましたがセンターの陽岱鋼がファインプレーを見せゲームセット(以下動画参照)。この試合に勝利すると、22日も勝利し日本ハムにマジック点灯。
迎えた9月28日。西武プリンスドームでの西武戦では4回にレアードが先制HRを放つと先発・大谷翔平が1点を守り切り9回1安打で完封。4年ぶりに優勝を果たしたのです。
CSファイナルでは2位ソフトバンクと対戦。3勝2敗で迎えた5戦目は加藤が先発するも初回4失点。しかし4回に勝ち越し、5回に2点加え3点差にすると9回にはDH制を解除しマウンドには大谷。ここで日本最速の165㎞をマークすると最後に本多雄一を打ち取り日本シリーズに進出しました。
↓この動画の5:30~からが165㎞を記録したシーン(打者:吉村裕基)
日本シリーズではセ・リーグで圧倒的な戦力で優勝した広島↑と対戦。
広島は黒田博樹が引退しますが、日本ハムもかつてダルビッシュ有とともにチームを支えた左のエース、武田勝が引退を表明しており、引退セレモニーでは「俺のために日本一になれ!」と絶叫。武田の花道を飾るべく戦いに挑みます。
個人的この日本シリーズ最大の名場面といえば第5戦の西川遥輝のサヨナラ満塁ホームランだと思います。
2勝2敗で迎えた第5戦。初回に広島・鈴木誠也がタイムリーで1点を取ると、日本ハムも絶好調男・岡大海が犠牲フライで同点に追いつきます。
1-1で迎えた9回裏。広島は中﨑翔太が登板。1アウトから田中が四球で出塁。市川友也がバントを決め、中島が内野安打、その後岡がデッドボールで出塁し場内は騒然。一時ベンチから両軍の選手が出てくる緊迫した状態になります。そして打席には西川遥輝。この日まだ無安打だった西川は中﨑の2球目を振り抜くとライトスタンドへのサヨナラホームランを放ち5-1で劇的な勝利をつかみ3勝2敗で日本一に王手をかけました。
敵地マツダスタジアムでの第6戦では4-4で迎えた8回に満塁で中田が四球を選び押し出しで均衡を再び破ると、投手のA.バースがタイムリー、そしてHR王・レアードがシリーズ3本目のHRとなるグランドスラムを放ちこの回6点を取り10‐4とするとそのまま試合が終わり4勝2敗で日本一の栄冠をつかみました。日本ハムの日本一は2006年以来10年ぶりです。
↓前回の日本一はこちらから
あれから8年…
あれから今年(2024年)で8年ですが、2016の優勝メンバーは散り散りになってしまいます。1-9だけでも
西川 21ノンテンダー→楽天(22~23)→ヤクルト(24~)
近藤 22オフFAでソフトバンクへ(23~)
大谷 17オフポスティングでMLB挑戦
中田 21途中無償トレードで巨人(21途~23)→中日(24~)
田中 19年に日本ハムで引退
陽 16オフFAで巨人へ(17~21)→新潟オイシックス(24~)
レアード 18オフ自由契約→ロッテ(19~22)
大野 17オフFAで中日へ(18~23引退)
中島 現在も日本ハム在籍
これ以外にも、岡大海は18年途中にロッテへトレード移籍、投手では有原航平が後にポスティングでMLB挑戦も23年からはソフトバンクでプレー。新人王を獲得した高梨もトレードでヤクルトへ移籍。増井もオリックスにFA移籍するなどこの頃の日本ハムはトレードやFAで主力選手を放出してしまう期間になっていました。
近年はオリックスから伏見寅威や山﨑福也をFAで獲得したり、FA権持ちの加藤貴之を残留させたり、有力な外国人を他球団との獲得争いを制するなど、流出ではなく補強が専ら目立つチームになったのは凄いなと思います。
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