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2018年 阪神タイガース(6位)

2023年は18年ぶりの優勝、38年ぶりの日本一に輝いた阪神タイガース。
しかしその2023年から5年遡った2018年に阪神は最下位となってしまいます。現時点では阪神最後の最下位シーズンとなった2018年を見ていきましょう。


「地獄」のシーズンの幕開け(~2018開幕)

前年は広島に10ゲーム差をつけられるも2位でシーズンを終えており、FAで新加入した糸井嘉男が17HR、ベテラン福留孝介が18HR、そして期待の若手大砲・中谷将大が20HRを打つなどポジティブな要素も見られた年でしたが、この年のオフに便利屋起用をされていた大和がFAで退団(人的補償で尾仲祐哉を獲得)。同じくDeNAから山崎憲晴も獲得しています。
ドラフトでは超目玉の清宮幸太郎のくじを外し、外れ外れ1位で馬場皐輔を獲得。また新外国人では国立台湾体育運動大学の呂彦青、インディアンス傘下のD.モレノ、そしてKBOハンファからウィリン・ロサリオを獲得。
金本監督は「ここ3年で1番強い」と明言。大きな期待がかけられました。

スタッツ

打撃陣

2018年 阪神タイガース 野手陣

しかし始まってみれば阪神は打率リーグ最下位、得点数リーグ5位と低迷。原因としては圧倒的長打力不足がありました。長打率は.361とリーグ最下位。前年20HRを打った中谷将大は片岡篤史打撃コーチに教え込まれた右打ち狙いのバッティングをするようになり打撃が低迷。この年はわずか5HRに終わってしまいます。
二桁HRを打ったのは福留(14HR)と糸井(16HR)と大山悠輔(11HR)のみという惨憺たる結果に。さらに言えば福留は41歳、糸井は37歳と大ベテランの域に達しており、長打力がベテラン頼みという中長期的には危険すぎるチーム編成でした。ロサリオも東京ドームで吉永小百合の看板にあてる大ホームランを打ったのはよかったものの3億円の年俸にしてはあまりにも寂しい打率.242、8HRという出来に終わってしまい、「平成最後の3億円事件」とまで言われる始末。
明るい話題でいうと2年目の糸原健斗が全試合出場、大山も2年目で初の二桁HRを達成。5年目の梅野隆太郎も捕手としては良い打撃成績を見せレギュラー定着しました。なおこの年の5月29日、開幕から不振が続いていた鳥谷敬の連続試合出場が1939試合でストップしています。しかも正遊撃手として期待された北條史也も怪我で離脱するなど苦難のシーズンでした。
シーズン通して若手の活躍も目立ち、陽川尚将や植田海、ドラフト3位,4位の熊谷敬宥、島田海吏も存在感を見せました。

投手陣

2018年 阪神タイガース 投手陣

先発陣で規定投球回到達したのはメッセンジャーのみ。
他の先発に目を向けると岩貞祐太、秋山拓巳、才木浩人がそれぞれ10敗を喫する10敗トリオが誕生。藤浪晋太郎も今一つの調子で先発陣は防御率4.23でリーグ3位でした。
ただルーキーの髙橋遥人や3年目の青柳晃洋が1軍のマウンドを経験し、2年目の小野泰己や才木浩人がフル回転しました。
救援陣はリーグトップの防御率である3.70を記録。(打低環境に慣れ過ぎて悪くね?と思いがちだがこの頃のプロ野球の水準はこんなものです 今がおかしい)
開幕前に榎田大樹とのトレードで西武から獲得した岡本洋介も一定の活躍を見せ、能見篤史・藤川球児・桑原謙太朗といったベテラン陣がそれぞれ奮闘。現在の阪神の守護神・岩崎優も61登板しています。
ただR.ドリスが32Sを記録しながら7敗しており、リリーフ陣が踏ん張れない試合も多かった印象です。

「地獄」と呼ばれたシーズン

2018年のセ・リーグはまさに2連覇中だった広島の1強状態にあり、2位から6位までがほぼ差がない団子状態でした。
そんな中、阪神は4月5月をほぼ5割で乗り切り、2位で交流戦に入ります。
しかし交流戦でチームは一気に勢いを落とし、6勝11敗1分の11位で交流戦を終えると6月23日の広島戦で敗戦して一気に最下位転落。しかもこの年は雨天中止が多く、後半戦のスケジュールが過密日程になったのも影響してかチームはBクラスが定位置に。最終盤では糸井、北條、原口が怪我で離脱し、もとより不調だった中谷・藤浪・秋山・髙橋聡文・マテオという主力陣も相まって10月8日に阪神としては17年ぶりに最下位で終了。
優勝した広島とは20ゲーム差、借金17で終わりました。
確かに若手の台頭も多く見られたシーズンではありますが不振の打線は救えず、さらに投手陣の離脱も多く安定感を欠いたためチームは低迷することになりました。

2018年の阪神のポスター。
まさか逆の覇者になるとは思わなかった。

金本阪神から矢野阪神へ

当初は続投の方針だった金本監督ですが、急転直下最下位の責任を取って辞任を表明。さらに打撃不振の責任を取って片岡篤史ヘッド兼打撃コーチも辞任。後任は2軍を日本一に導いた矢野燿大2軍監督に決定しました。
矢野1軍監督としての最初の仕事はドラフト会議。この年は根尾昂や小園海斗、藤原恭大といった超高校級のスター選手が揃っていたのもあって高校生選手の獲得が見込まれ、藤原恭大を指名するもくじで外れ、そして同じ外野手の辰己涼介を指名するもまたくじで外れ、最終的には大阪ガスの近本光司外野手を獲得。さらにそれ以降も高卒内野手の小幡竜平、Hondaの木浪聖也、齋藤友貴哉のように主に即戦力で固めたためこのドラフトは「地獄」ドラフトとまで呼ばれました。無論今みたら神ドラフトでしかないのですがね… このように矢野阪神ではドラフトで即戦力級の選手の獲得が相次ぎ2020年は特にすごく、佐藤輝明、伊藤将司、村上頌樹、中野拓夢、石井大智が一気に入団しているなどこの頃の阪神のドラフトが今の阪神を支えてるといっても過言ではありません。2018年は糸井、福留の30代後半の選手に頼り切りだった打線も今や20代でクリーンアップを組めてしまうという現実、6年前最下位で悲嘆にくれた私に伝えたら信じないと思います。
なお2018年以降の阪神は3位→2位→2位→3位→優勝と5年連続Aクラス。
最悪世代交代の失敗で低迷が長く続くなんてことはありますが、そうならなかった阪神は凄いなと改めて思います。

2018年度の阪神ドラフト
後列左から湯浅京己(6位) 齋藤友貴哉(4位) 木浪聖也(3位) 川原陸(5位) 片山雄哉(育1位)
前列左から 小幡竜平(2位) 矢野燿大新監督 近本光司(1位)

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