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2007年 福岡ソフトバンクホークス(3位)

福岡ソフトバンクホークス優勝おめでとうございます(←遅い)。
ソフトバンクに親会社が変わってから20年になりますがBクラスに転落したのは3回だけ。日本一も7度達成している常勝軍団となったホークスですが、ここ最近のホークスといえばやはり「大型補強」のイメージが大きいのではないでしょうか。
ソフトバンク自体資金力に優れた球団であり、それを活かして近年だと22年オフに近藤健介をFA(7年50億円)で獲得したり、ロッテからロベルト・オスナと単年6億円で契約したり(後に4年40億規模の契約を締結)、23年オフには山川穂高をFAで獲得したりと次々に補強。ホークスがFAで獲得した選手は巨人に次ぐ2番目の多さです。
もちろんFA補強は時には批判されますが、個人的には限度を越えなければ別にいいと思います。こういうチームも1つ2つくらいあっても良いと思いますよ。

とはいえ大型補強=優勝が必ずしも成り立たないのがプロ野球の面白いところ。実際近藤やオスナを獲得した2023年は3位ですし、今回取り上げる2007年のホークスも大型補強をしたのにも関わらず3位で終わっています。この年のホークスはどのようなシーズンだったのでしょうか。


覇権奪還 大型補強へ

2003年にダイハード打線を引っ提げて優勝したホークスでしたが、翌年は優勝こそ果たしたもののこの年から導入されたプレーオフで西武に敗れ制度上2位となってしまいました。ソフトバンクに親会社が変わった2005年も優勝したもののまたもやプレーオフでロッテに敗れ2位となってしまいました。
2006年は日本ハムに勝ち切れずに結局2位フィニッシュ。これで記録上は3年連続のV逸となっており、この間にも村松有人、井口資仁、城島健司と主力が他球団・MLBに移籍していました。

そこでホークスは大型補強を断行。その大きな目玉がFA宣言をしていた小久保裕紀の復帰でした。小久保は2003年に今季絶望レベルの怪我をしてしまい、フロントへの不信感も相まってそのオフに巨人へ無償トレード。これにはホークス選手会も激怒し優勝旅行をボイコットすることにもなったわけなのですが、当時のフロントであるダイエーからソフトバンクに親会社が移った今では復帰のハードルが下がっていました。(人的補償は吉武真太郎)

また横浜の多村仁志寺原隼人の大型トレードを敢行。
2006年のホークスは優勝した日本ハム、2位の西武と比べると打力は劣っており、打点はリーグ3位の553得点でした。
一方の投手陣は先発4本柱(斉藤、杉内、和田、新垣)が大活躍しており投手力についてはかなり強く、そのうえヤクルトから06年にノーノーを達成したR.ガトームソン、またドラフトの希望入団枠で大隣憲司を獲得することになっていたため寺原放出もある意味納得できると思います。

2003年から出場機会を掴むと04年から2年連続で打率3割を記録した多村。
しかしトレード前年の06年は怪我の影響で39試合の出場に留まっていた。

外国人ではズレータがロッテに移籍した一方でB.ブキャナン、アダム・ハイズデュを獲得しています。

これだけの大型補強をされてしまえばホークスの優勝を信じる人もいるでしょう。というのも前年優勝の日本ハムはSHINJOが引退、小笠原道大が巨人へFAし退団。2位の西武は松坂大輔がMLB挑戦で退団とホークスに追い風が吹いていました。

野手陣

FAで復帰した小久保は.277 25HR 82打点と良い成績ですね。この時36歳でかなり高齢の部類ですがチーム内打撃2冠なのは素晴らしいことです。
また多村は132試合とキャリア最多出場を果たしていますが、シーズン中に4度の肉離れも起こしていたこともあり、04・05年の多村の成績と比べると少し劣りますが怪我明け・怪我しながらのシーズンと考えると良い成績でしょう。

で、問題はこの打撃陣で得点数はどうなったかということなのですがこの年のホークスの得点数は575得点。前年比では20得点ほど増えただけです。そもそも小久保が打撃2冠といったところで察するものがあるのですが、20HRを放った選手が小久保しかおらず、新外国人のブキャナンやアダムも良い活躍はしていましたが高齢のため多く起用できませんでした。

小久保や多村以外で見ると大村が選んだ四球がわずか9だったり、川﨑を除いて出塁率があまり高くない選手で上位打線を形成してしまったからか中軸の打点があまり増えていません。
一応川﨑や本多雄一といった足を使える選手はいましたが盗塁数はリーグ5位。
またホークスは城島のMLB移籍以降慢性的な捕手の打力不足に苦しみます。
田上秀則は頑張っていますが、この年多くスタメンマスクを被った山崎勝己、斉藤和巳の専属捕手の立場だった的場直樹、26歳の大社ドラ3オールドルーキーの髙谷裕亮は揃って打率1割台と深刻な状態。そういえばホークスは24年オフに絶対的正捕手・甲斐拓也のFA移籍が決定していますが、個人的にはこの捕手で苦しむ時代が再来してしまうのでは?と思っています。

投手陣

2000年代のホークスといえば先発4本柱の躍動が見られましたが、この年はその中でも明暗が分かれました。
杉内と和田が規定到達しており、杉内は15勝、和田は12勝を挙げどちらも防御率は2点台後半、WARは3.0以上と素晴らしい活躍ですね。
一方新垣と斉藤が不調で、新垣は指標的には良いのですが、7勝10敗 防御率3.60と負け越し。斉藤は前年の獅子奮迅の活躍から一転12登板で6勝止まり。イニングも100を切りました。(それでもこの4人全員K%20%超え)

新戦力として期待されたガトームソンはあと1イニング足りずに規定未到達。前年に残した好成績と比べると地味な成績に落ち着きました。オープン戦では朝食のチーズをナイフで切っていたら間違えて指を切ってしまい登板回避というアクシデントもありましたが個人的にはよくやっていたほうだなとは思います。
また希望入団枠で入団した大隣はプロの壁に跳ね返され2勝止まりと微妙な成績に終わりました。

救援陣では4年目の馬原孝浩が54登板で防御率1点台の38S。最多セーブを受賞しました。
投手の新外国人ではジェイソン・スタンドリッジ、C.ニコースキーが良い活躍を見せており、投手陣は盤石。チーム防御率はリーグ1位でした。

J.スタンドリッジ
8月から先発転向すると外国人史上3人目の先発5連勝を記録。

2007シーズン概要

開幕ダッシュをうまく切れたホークスは4月20日から9連勝と大型連勝。
一躍首位に躍り出ると5月中旬までは首位を走ります。
しかしその後は停滞。5月下旬にはロッテに抜かれ、6月上旬には14連勝と怒涛の勢いに乗る日本ハムに追い抜かれ3位転落。
オールスター前には首位日本ハムとは4ゲーム差というところにつけていました。
しかしオールスター明けに一気に6連勝と大きく勝ち越します。31日のオリックス戦では和田が7月末にして10勝を達成。これで5年連続の二桁勝利となり、チームも首位に浮上します。
しかし浮上したのもつかの間。8月は負けが目立つようになります。
8月から先発転向したJ.スタンドリッジが9/13まで5連勝を挙げるなど奮闘してはいたもののチームとしては低調でした。
しかし9月にはホークスの勢いが戻り、日本ハムも停滞していたため日本ハム3連戦を前にゲーム差1と優勝が狙える位置につきます。1勝1敗で迎えた17日の試合では日本ハム相手に10-0と大勝。先発の新垣の完投勝利で首位に再浮上します。しかし翌日から4連敗、また27日からも4連敗と敗戦を重ねてしまい、優勝戦線から脱落。それどころか勢いよく勝ち進めるロッテにも抜かれ3位転落。そのままシーズン終了しました。
シーズン成績は73勝66敗5分。優勝した日本ハムとのゲーム差は6でした。
CSでは2位のロッテに1勝2敗と負け越し敗退しました。
ただチーム別対戦成績で見ると日本ハムには勝ち越していましたが一転ロッテやこの年ついに最下位脱出を果たした楽天には負け越し。
また交流戦では巨人、横浜にストレート負けしておりこの期間9位と沈んでいたこともありました。


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