![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/149701535/rectangle_large_type_2_5783f938aaf51bd294ffa9866fefb9f6.jpeg?width=1200)
2016年 オリックス・バファローズ(6位)
現在苦しい戦いが続くオリックス・バファローズ。2021年から3連覇していますが今年は10連敗するなどとても苦しんでおり現在5位です。
しかしオリックス自体長い暗黒時代があったチームで1996年の優勝・日本一から2021年に優勝するまでの25年のうち、19度のBクラスと長い暗黒時代の中にありました。特に2016年はオープン戦、1軍、交流戦、2軍に至るまで全て最下位という屈辱的シーズンを送ることになります。
チームが低迷している今こそ2016年のオリックスを振り返ってみましょう。
2015オフ~開幕
2015年は30億円を超える補強をするも獲得選手の働きが思ったほどではなく、チームは大きく低迷。5位に終わりシーズン中の6月には森脇浩司監督が休養のち退任。後任は森脇監督代行として指揮を執った福良淳一でした。
ドラフトでは青山学院大の吉田正尚を単独1位で獲得。支配下では10選手を獲得して高卒は2選手、大卒も2選手、社会人出身は6選手と即戦力性に賭けたドラフトでした。
新外国人では野手ではブレント・モレル、ブライアン・ボグセビックを、投手では自称165㎞を投げる剛腕、エリック・コーディエを獲得しました。
![](https://assets.st-note.com/img/1722840841593-FCxOIakVAb.png)
![](https://assets.st-note.com/img/1722840885321-pR5b35QUye.jpg?width=1200)
野手陣
![](https://assets.st-note.com/img/1722841187918-L05VFTLylI.png?width=1200)
まず目に付くのはこの年35歳の糸井嘉男。全試合出場を果たし、なんとこの年盗塁に目覚め53盗塁で盗塁王を獲得。糸井は現役生活で300盗塁を決めているので1/6をこのシーズンで記録しています。
糸井はこの年GG、B9も獲得しており、まさにチームの顔でした。
チーム内HR王はT-岡田の20HR。長打率は規定到達選手でチーム内トップの値です。もう一人の全試合出場となったのは2年目の西野真弘。前年引退した平野恵一の応援歌を受け継いだ今年はセカンドで派手さには欠けるも安定した成績を残していました。
ただ新外国人のB.モレルは94試合出場で8HRと思ったより…の成績で、B.ボグセビックは3HRも打率.193と確実性に欠けました。
日本復帰2年目となった中島宏之も良い成績ですが規定には乗れず、同じくFA移籍2年目となった小谷野栄一は基本代打メインで4HR打っています。
楽しみな若手といえば高卒3年目の若月健矢とルーキーの吉田といったところでしょうか。ここ数年は伊藤光の牙城となっていた捕手陣にこの年から割って入るようになり20打点を記録しています。
吉田は開幕戦に1番指名打者で起用という華々しいデビュー。ただ4月24日に腰椎椎間板症を発症し抹消されると8月に復帰。以降3番打者で起用されると後半戦だけで10HRを記録。打率も.290と高くオリックスが求めていた和製大砲になりうる存在となりました。
とはいえオリックス暗黒時代あるあるですが全体的に野手陣の得点力不足は否めず、499得点はリーグワースト。打率.253もリーグワーストで攻撃力はリーグ内でも最低なものでした。
![](https://assets.st-note.com/img/1722845554851-GpCrWSD8d9.jpg?width=1200)
この年のオリックスは開幕17試合の段階でHRは僅か1本だった。
そうです。糸井しか打っていませんでした。
投手陣
![](https://assets.st-note.com/img/1722841932853-kUOB7QGjkL.png?width=1200)
3連覇時のオリックスは投手力が武器でしたがこの年はとても微妙でした。
西勇輝は10勝をするも防御率は4点台で同時に12敗もするなどそこまで良いものではなく、B.ディクソンも二桁敗戦となる11敗。2年前の沢村賞投手、金子千尋も7勝止まり(9敗)と先発三本柱は低調でした。
前年10勝を挙げた東明大貴は一転苦しみ1勝10敗と大幅負け越しでした。
救援陣は平野佳寿が58登板で31S、防御率1.92と守護神として躍動。30登板以上した選手の中だと海田智行、塚原頌平、吉田一将が防御率2点台でしたが、2年前に最優秀中継ぎだった佐藤達也が苦しむなどブルペン事情もそんなにいいものではなかったでしょう。
新外国人のE.コーディエは西武との開幕戦1点差となった場面で登板するもブルペン投球の時点でとんでもないノーコンだったのもあっていきなりのセーブ失敗・サヨナラ負けという有様。4月6日の楽天戦でもビハインドで2四球を与え2失点。すぐに2軍降格となりましたが、6月に再昇格。4日のヤクルト戦では2点リードの1アウト満塁で登板し同点にされると代打雄平との絶対にストライクを取れないピッチャー(コーディエ)vs絶対にボール球でも振る打者の逆ほこたて対決も起こりました。7日の中日戦では3者連続四球を与え1アウトも取れずに降板しており(コーディエの18球)、オフに自由契約となりました。
![](https://assets.st-note.com/img/1722843451097-zfgDPkYyl4.png?width=1200)
もはやこれは野球ではない何かなのかもしれない。
NPB初の「完全最下位」
オープン戦では中日、DeNAと並ぶ4勝9敗(3分)で最下位。
前述の通り開幕戦を落とすと、4月5月と負け越し、5月31日から交流戦に入ります。しかしこの交流戦でヤクルトに3タテしますが、巨人・DeNA、広島には逆に3タテを食らい、阪神・中日には1勝2敗ずつと5勝13敗と交流戦も最下位になります。7月はギリギリ勝ち越しますが8月9月は普通に負け越し。1軍は最下位でシーズンを終えています。
オールスターには糸井と塚原しか選ばれていませんでした。
この年優勝した日本ハムとは8勝16敗、2位ソフトバンクとは10勝14敗、3位ロッテには11勝14敗、4位西武には12勝13敗、5位楽天には11勝13敗とパ・リーグ全球団に負け越し。なんと勝ち越したチームがヤクルトしかありませんでした。
一方ウエスタン・リーグ(2軍)も悲惨な状態になっていました。40勝68敗と首位のソフトバンク2軍と29ゲーム差も離され完膚なきまでの最下位。
ソフトバンク2軍に対して4勝23敗、中日2軍に対して9勝20敗とこの2チームに30もの借金を作り、唯一広島2軍に17勝10敗と7つ勝ち越している状態。
このようにNPBでオープン戦、1軍、交流戦、2軍が全て最下位になることは初とのことでオリックスは屈辱的なシーズンを送っていました。
![](https://assets.st-note.com/img/1722845416475-WAdc6XbT2F.png?width=1200)
相次ぐ流出も…
こんなどん底のチームでしたがオフシーズンも良い意味悪い意味で凄かったです。まずはチームの顔、糸井嘉男が阪神にFA移籍。35歳としては驚異的な成績を残した糸井の移籍はとても大きなダメージだったでしょう。(人的補償で阪神から金田和之が入団。)
また30億大型補強で入団したトニ・ブランコもこの年退団、中日・DeNAでは素晴らしい成績を残しましたが、オリックスではほぼ活躍できず。ただ6年で181HRを放っているので優良助っ人であったことは間違いないです。
そして08年に新人王を獲得も以降は伸び悩んだ小松聖もこの年引退。08年に15勝を挙げるも翌年以降(~16)はわずか9勝と苦しみました。この間の日韓レジェンドゲームで四球連発して自滅してたの見てTwitterが変に盛り上がってましたね()。
ここまでちょっと暗い話が続きましたがここからは明るい話。
この年のドラフトがとにかく神なんです。
![](https://assets.st-note.com/img/1722844772058-oGi6Kb5OeD.png)
凄くないですかこれ(今見ると)。
15年とは打って変わって高卒指名が増えていますが(山岡は高校生→社会人)、1位の山岡泰輔、4位の山本由伸は先発として大活躍。特に山本は21年から投手4冠を総なめする活躍をしており、24年からはロサンゼルス・ドジャースで活躍しています。6位の山﨑颯一郎は先発中継ぎ両面で3連覇を支え、2位の黒木優太、8位の澤田圭佑も一定の活躍をしています。黒木は23オフトレードで日本ハムに、澤田は22オフの戦力外の末ロッテに移籍してます。
オリックスは14年以降のドラフトで主力を複数獲得できていて、
14年は山﨑福也、宗佑磨、西野(移籍したけど現在中日の救援陣を支える齋藤綱記もこの年指名されている。)、15年は吉田や21年HR王の杉本裕太郎。
16年は山岡、山本、山﨑。17年は田嶋大樹、福田周平。18年は太田椋、頓宮裕真、中川圭太。19年は宮城大弥、紅林弘太郎。20年は山下舜平大、阿部翔太と当たりドラフトを連発。この頃獲得した選手が後の3連覇を支えていくととなるのでした。