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「松代ダンジョン」について

この1ヶ月毎日忙しい。毎日会社から帰ってきてから 終わりの見えない冒険が始まる。
人々の依頼を聞いたり、モンスターをタコ殴りにしたりされたり、未開の地を開拓したりとやる事が尽きることは無い。

そう 任天堂から5月に発売されたSwitch専用ソフト『ゼルダの伝説 ティアーズオブザキングダム』の件だが、本当にやる事(やれる事)が多すぎて時間がいくらあっても足らないのだ。むろんメインストーリーだけ進めていけば、あっさりエンディングまで進みそうな気もするけど、そんな勿体無いことは誰もやらない。 これは寄り道を楽しむゲームなのだ。

今回の『ゼルダの伝説』には動き回れるステージとして地上の他、天空と地底があり、その3つの広大なステージを行き出来るようになった。
その中の「地底ステージ」はほぼ真っ暗で少ない灯りを頼りに歩を進めなければならない。初期の体力も武器もアイテムも少ない中、地図も無い暗闇をあてもなく彷徨うのは結構なストレスで、太陽のありがたさをゲームを通じで知ることとなるのである。


長野県の温泉宿に行く

そんな忙しい毎日を過ごすストレスの中、ふと「そうだ温泉に行こう」と思い立った。その日のうちに 自宅から一泊で帰って来れるくらいの場所にある温泉地をGoogleマップで探した結果、長野県の「湯田中温泉」「渋温泉」あたりが良いのではないかと結論づけた。で、そのまま楽天トラベルで良さげな温泉宿を予約してみたのだ。
「湯田中」は長野県の北部の山間部にあり それほど交通の便がいい訳では無さそうだし、(人混みが嫌いなので)人も少ない温泉地でしっぽり出来るかなと考えていた。

湯田中駅にはなぜか小田急ロマンスカーが。生きとったんかワレ
温泉街っぽい道だけど人は少ない

今回は電車ではなく車を走らせ、ちょこちょこ寄り道しながら渋温泉まで約6時間。
湯田中温泉・渋温泉は夜間瀬川沿いの東西約2kmに渡って温泉宿が点在し、裏通りを歩けば外湯巡りをする浴衣姿の人たちとすれ違うこととなる。
とは言ってもこの規模の温泉街にしては観光客は少ないし、廃業した旅館や商店がちょこちょこ見られた。
人混みが嫌いと言いつつも街に人が居ないとかなりの寂しさを覚える。宿の人が「今年になって外国人旅行客が戻ってきたのでやっていけている」というようなことを話てくれたが、確かにこんな長野の奥地でも外人客が多い。
今回泊まったホテルの入口には『歓迎〇〇様』とよくある来客者の名前の書かれた立札が掲げてあったが、僕の名前以外はほぼ外国語の名前でちょっとびっくりした。びっくらポン!です(くら寿司)。
たぶん訪日している外国人旅行客は、ほとんどの日本人より日本の観光地に詳しいのではないなかと思っている。ホントに。

ホテルのロビーで背の高い外国人のお兄ちゃんから何事か話しかけられたが、「いや、ここは日本なんだからお前は日本語喋れよ!」とは言えないのでヘラヘラ愛想笑いするしかなかった。

松代大本営とは

なんで今回長野県の温泉街まで行ったのかというと別の目的もあって、同じ長野県にある「松代大本営」に行ってみたかったのだ。

説明文はきちんと読むべし
松代象山地下壕はここからヘルメットを被って見学

松代大本営跡(まつしろだいほんえいあと)は、太平洋戦争末期、日本の政府中枢機能移転のために長野県埴科郡松代町(現長野市松代地区)などの山中(象山、舞鶴山、皆神山の3箇所)に掘られた地下坑道跡である。

大東亜戦争末期に軍部が本土決戦の最後の拠点として、極秘のうちに大本営、政府各省等をこの地に移すという計画のもとに、昭和19年11月11日から翌20年8月15日の終戦の日までおよそ9ヶ月の間に建設されたもので、突貫工事をもって全工程の約8割が完成したという大地下壕。
それらは終戦を迎え実際に使われることは無かったが、現在では戦争遺跡として坑道の一区画が無料で一般公開されている。

いつどこでここの存在を知ったかは全く記憶にないが、かなり以前から訪問してみたいと思っていた。
廃墟好きな人は結構世の中に存在するが、僕は規模のデカい廃墟がとても好きだ。いや、廃墟でなくとも人が造り上げたデカい施設がとても好きだ。
デカい施設を造ろうと思いついたのも、設計したのも、作業に携わったのも、全てが小さな人間というのが凄いと思う。

中に入るとこんな感じ
真っ直ぐな坑道が網目状に広がり総延長は約10Kmにもなる
何匹かのコウモリが元気に飛び回っていてちょっと怖い

内部は想像よりはるかに広く 地下壕とはいえ圧迫感は全くない。満足な重機も無い時代にこれをたったの9ヶ月で掘り進めたって信じられない。
特に坑内に遺物や設備が残っているわけではないので(というか内部には何もない)当時の状況を想像して歩き進める。
見学路にはきちんと照明はあるが、この広大な地下空間に1人で居ることが少し怖くなってくる。立ち入り禁止の坑道の先を見ると遥か先まで静寂と暗闇が続いている。

もしかしたら戦中に大本営として使われていたかもしれない場所。日本の中心になっていたかもしれない場所に立っていることに不思議な感覚を覚えながら入口まで引き返す。外の日差しが眩しい。数十分間ダンジョンに居ただけなのに、日の当たる場所っていいなって思った。普段そんなこと考えもしないのに。

松代町は静かな街で この巨大な地下壕はそんな静かな街の片隅に忘れられたように今も存在していた。
普通の観光地好きな人にはあまり面白くない場所かも知れないけど、無料で見学出来るし なによりマンパワーの凄まじさと戦争のことを感じるキッカケになると思うので、長野県に行かれる方は松代に寄ってみることをお勧めします。



 

追記

今回は長野市にあるボブスレーパークにも行ってみた。100億円以上の建設費をかけて建築されたが、現在では競技施設としての利用は全くなく管理費だけで赤字を垂れ流す負の遺産。将来札幌オリンピックが開催される場合にはここを再利用する計画らしい。
ただ 雑草が生い茂り徐々に朽ちていく巨大な設備を見るのは栄枯盛衰を感じられ、言い方は悪いがとてもワクワクする。

僕は一人旅ばかりだけど地下壕とか、廃墟とか、考古館とか、旅先の立ち寄る場所がかなり偏っているので、誰かと一緒に旅行なんてそりゃ無理だわな。

山奥にあるもんで誰も居ない
1998年が25年も前という恐ろしさ。船木〜
栄枯盛衰

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