《あの日を もういちど。》は、懐かしい世界をゆったり散歩するゲームでした
グローバルギアさんのノベルゲーム【あの日を もういちど。】、全エピソードクリアしたので、レビューします。
① どんなゲームか?
ジャンルはノベルゲームで、全40エピソード。エピソードごとに物語が完結します。
ボクセルアートで昭和の日本を再現した、タイムトラベルの物語です。
とくに込み入った操作や謎解きもありません。ストーリーは分岐無く直線的に展開します。ということで、プレーヤーの活動は、簡単なストーリーを読むことが中心です。
頭と心を休ませて、まったりとした時間を過ごしたい方にオススメしたいゲームです(*^_^*)
② メンタルが不調な方へのおすすめポイント
さて。
そもそもこのアカウントは、メンタルの不調からくる精神活動の抑制や易疲労性に悩まされている方が、負荷少なく楽しめるゲームを紹介することを目的としています。
ということで、ここであらかじめ、そーゆー視点からの評価をのべておきたいと思います。
【あの日を もういちど。】は、基本的に読むだけで込み入った謎解きもなく進んでいきます。1エピソードが10〜15分もあれば読み終わることができるので、脳にあまり負荷をかけなくても楽しめるゲームになっています(このことについては、次の《③ プレーヤーのすることは「読んで、歩かせる」だけ》の項でくわしくのべます)。
絵柄も音楽ものんびりとしているので、気分が落ち込んでいる方でもほっとできる、癒やしのゲームとしてオススメしたいです。
無料アプリなので広告が入りますが、イヤな入り方はしません。むしろホッとひと息つけるタイミングで入ってくれるのでありがたいです。
各エピソードも「過去に心残りのある依頼人が、店主に依頼して自分の過去の行動を変えてもらうことで、過去の記憶をとらえ直して前向きになる」というものになっています。
過去のしんどい記憶との付き合い方に悩みのある方は、そこからなにかヒントがえられるかもしれません(このことについては、《④ ストーリーの主軸は「過去を変えることをきっかけに過去のしんどい記憶をとらえ直し、前向きに生き直す」こと》の項でとりあげます)。
ここからは、マイナスのポイントです。
プレーヤーの活動は読むことがメインになっているので、コンディション的に文字を読むのがツライ方には、少々しんどいゲームになるかもしれません。
また、過去パートでの子どもに戻った店主の操作がまどろっこしいのがこのゲームのいちばんの泣き所です。メンタルの影響で集中力が落ちていると、これがマジでつらいです(T_T)
だけど、なにごとにつけゆっくりなところが、このゲームの心の癒やしになるポイントでもあったりするので、短所が長所と裏腹の関係になっています(これらについては、《⑤ 店主の操作がまどろっこしい……でも、それが味わいでもある》の項でとりあげます)。
③ プレーヤーのすることは「読んで、歩かせる」だけ
このゲームはエピソードごとに、こんな構成で進行していきます。
なので、プレーヤーがすることは、基本的に「読むだけ」です。
ゲームらしい操作が必要なのは、②【過去】のパートのみです。逆にいうと、このパートがゲームのメインで、前後はオマケ、ということになります。
プレイ中、広告動画が入りますが、ストーリーの区切りのちょうどいいところで入ってくるので、不快感はありません。
この過去パートは、こんな構成で進行します。
プレーヤーがやることは、基本的に、ストーリーを読みつつ、「目的の場所まで、子どもに戻った店主を歩かせる」だけです。謎解きやパズル的な要素はほぼ皆無です。
「過去の依頼人」の居場所は「現在の依頼人」が教えてくれるのですでにわかっているし、「過去の依頼人からの頼まれごと」もどこへ行けばいいのか教えてくれるので、迷うことはありません。しかも、行けば簡単に解決できます(広告視聴で見ることのできるヒントもありますが、使わなくても大丈夫でした)。
「頼まれごと」はたとえば、こんな感じで解決できます。
難易度は、「はじめてのお遣い」をする程度、と思えばイメージしやすいと思います。しかも、ボクセルアートの懐かしい町並みが、はじめてのお遣い感をましましにしてくれます。
こんなふうに難易度が簡単なうえに、回答によってストーリーが分岐することもないので、頭を使うゲームを期待した方には、まったくの拍子抜けになるかと思います(^_^;)
④ ストーリーの主軸は「過去を変えることをきっかけに過去のしんどい記憶をとらえ直し、前向きに生き直す」こと
では、こんどは【あの日を もういちど。】のストーリーについて。
さきほどものべましたが、過去のしんどい記憶との付き合い方に悩みのある方は、ここからなにかヒントをえられるかもしれないような世界観や筋立てになっています。
このゲーム中のエピソードはどれも、「過去に心残りのある依頼人」が登場することからはじまります。
彼らはタイムマシーン的なものを所有する店主に、「過去に行って、自分に行動を変えるよう働きかけてほしい」と依頼します。
心残りの内容はさまざまですが、たいがいは「ああしておけばよかった……」「こんなことしなければよかった……」という後悔です。
一般的にタイムトラベルものの物語は、過去に戻って、過去を変えることで、現在をよりよくしたり、将来起こる悲劇を防いだりします。あるいは、「過去を操作して現在を変更しようとする悪党」をやっつけることで、現在の世界をまもろうとします。
いずれにせよ、タイムトラベルの物語の大多数は「過去を変更すると、現在も変更される」という世界線です。
ですが、この【あの日を もういちど】では、店主は依頼人に必ず次のようなことを宣言します。
そうなんです。このゲームでは「過去が変わっても現在には影響なく、変わらない」という世界線になっているのです。
この「現在の世界は変化なく続いていく」という設定が、一般的なタイムトラベルものと違って、妙にリアリティが感じられるポイントだったりします。
それと、メンタルヘルスケアについて語られるとき、よく引用されるのが、エリック・バーンの、
ということばですが、このゲームはこのことばに反するように「変えられないはずの過去」を変えてしまいます。
しかも、店主に過去を変えてもらうことが、過去をとらえ直すきっかけとなり、ほとんどの依頼人が前向きなことばと感謝を残して店を去っていきます。
通常のタイムトラベルものの物語と異なり、【あの日を もういちど。】の世界で影響をうけるのは、現在の世界ではなく、現在の自分の過去のとらえ方。「過去を変えて、自分を変えて、変らない現在の中で、未来を変えながら生きていく前向きさを手に入れる」というのが、このゲームのスタンスです。
ところで、プレイしながら、「各エピソードの依頼人のように前向きになれない。どうしてもしんどい記憶を反芻してしまう (_ _;)」と逆に落ち込んでしまう方もいるかもしれません。
そんな方は、これらのエピソードの年代に着目してみてくださいね。
このゲームでの「現在」は、2005年、ということになっています。依頼人が変更を頼む過去は、だいたい1980年前後です。
つまり、これらの依頼人は、1980年前後に心残りが発生するような出来事を経験し、それからずっと後悔し続けて、30〜20年後の2005年にやっと、心の整理をする決心がついた、ということなのです。
私自身、子どものころのイヤな思い出をいまだに引きずっているので、この設定は身につまされます(^_^;)
物語の表面には出てきませんが、このゲームの依頼人たちも、先の見えない思いをしながらながいこと悩んできていたわけです。その点は、いまも過去の記憶についての悩みを抱えたまま生きている私たちといっしょです。そして、悩んで悩んで悩み続けて、やっと、過去を変えてくれる店に行けば解決できるかもしれない、と決意したのでしょうね。
もし違うとしたら、彼らにはついに足を踏み出す日が来た、だけど、悩み続けている私たちにはまだ来てない、ということだけです。
⑤ 店主の操作がまどろっこしい……でも、それが味わいでもある
さいごに、このゲームのアキレス腱、過去パートの店主の操作についてです。
あらかじめそのことに言及したレビューを読んでいたので覚悟はしていましたが、やはり、まどろっこしかったです。物語のコンセプトなどが気にいったので、全クリしたいま、あらためて読み直そうかとおもったのですが、このまどろっこしさが壁で再読はあきらめました。
いったん別のゲームを楽しんで、あるていど時間がたってからの再チャレンジになるかな、と思ってます。
店主にさせることは、単に歩かせて、町の人と会話させるだけなのですが、操作方法が独特で、コツを会得するのにちょっと時間が必要でした。
また、わりと集中力を消耗させるような仕様になっているので、易疲労がつよい方はご注意を。
集中力が消耗するのは以下のポイントです。
個人的な経験でいうと、私が特に泣かされたのは、橋を渡るときです。
過去の町は、川によって「田」の字状に4つのゾーンに分断されていて、それぞれが橋でむすばれています。各エピソードごとに橋を渡るはめになるのですが、ひんぱんに欄干に引っかかって、店主を橋に上手くのせられず、ひとてまふたてま余分にかかることに……( ;∀;)
店主を移動させるがつらく感じたときは、以下の方法で回避しましょう!
これらは便利な機能ではあるのですが、マイナス面もあります。
なので、無理して使う必要はありません。
ですが、過去パートの途中でアプリを閉じてしまうと、また、過去パートの最初からやり直しになるので、できたらこれらのお助け機能を使ってでも過去パートを終わらせたほうが、トータル的にはゲームをスムーズに進行させられます。
ここからはちょっと、私自身の経験を。
店主の操作やゲーム内の地理に慣れるまでは、ストレスを感じるたびに、これらの機能をちょくちょく使ってました。だけど、さすがに10エピソードちかくこなしたら、スムーズに動き回れるようになってきました。
すると、慣れてストレスがなくなったおかげで、店主を歩かせながらゲーム内の景色を楽しむ余裕が出てきたんですね。そうなってきたら、むしろ、店主の歩く速度がゆっくりなのがプラスの要因になってきました。
このゲームの特徴は、ボクセルアートで1980年前後の昭和の日本の地方都市(たぶん)の町並みを再現していることです。
3次元なので、まるで、レゴで再現されたオモチャな町のなかを歩いているような没入感があります。また、店主が子ども時代に戻っていることや、町並みがレトロなことがボクセルアートのオモチャな感じとマッチしていて、なかなか居心地よい空間になっています。しかも、桜が満開の季節、という設定ですから、なおさらです。
そーゆーのんびりとした風景のなか、店主を歩かせて、桜を見物しながらゲームを進めていくには、むしろ、ゆっくりすぎに感じるくらいの店主のアンダンテな速度がぴったりなんです。音楽の速度もたぶんアンダンテなんでしょうね。いい感じにシンクロしてくれます。
さらに慣れてきたら、寄り道をしたり、わざわざ遠回りをしたり、ホントに、子どものころのお遣いや学校からの帰り道のような楽しみ方もできるようになってきますよ! そうなってくると、アルバム用の撮影ポイントを探すのも楽しく、かつ、効率的にできるようになってきて、ますますゲームが楽しくなってきます(*^_^*)
ストーリーを読むことに意識を集中したい方には、この速度感はいささかもどかしいかと思います。ですが、発想を切り替えて「ゲーム内の昭和の懐かしい情景を味わいながらのんびり散歩するゲーム」だと思えば、速度のゆっくりさがいいほうに生きてきます。
最終的にはひとそれぞれになってくるとは思いますが、せっかくなら、子ども時代を思い出して、「寄り道をしながらお遣いをする」ような気持ちでゆったりと楽しんでみてはいかがでしょうか。
⑥ メンタルの不調を抱える方へのオススメ度は……
しめくくりに、【あの日を もういちど。】のオススメ度を。
私自身もうつを抱えています。
その経験から、メンタルが不調な場合は、
を兼ね備えたゲームを選んだ方が、疲れも少ないし、気持ちも落ち着くと考えています。
それにどうせ遊ぶなら、すこしでも症状改善の刺激になるようなゲームを選びたいですよね!(≧∀≦)
では、項目ごとに評価してみたいと思います。
・脳への負担度 ……中
以上のことから、脳への負担度は中くらい、になるかと思います。
・感覚への刺激度 ……低
ということで、感覚への刺激度は低く、やさしいです。
ちなみに、音については、BGMと効果音を別々にオン/オフできます。音量の調整はできません。
・受容への心理的抵抗度 ……中
全体的には受容しやすいですが、一部、心理的に負担を感じる可能性のあるエピソードがあるので、受容への心理的抵抗度は中、としておきたいと思います。
・広告の煩わしさ ……無し
広告って、出方によってはメンタルへの負担が重くって……(¯―¯٥)
ですが、グローバルギアさんのゲームはどれも配慮が行き届いていてありがたいです。この【あの日を もういちど。】については、ゲームの世界への没入感を壊さないように、十分な配慮が払われていると感じました。
ということで、広告の煩わしさはゼロです。むしろ、広告がきて小休止できるので、ウエルカムなくらいです。
・区切りのつけやすさ ……つけやすい
ということで、ガンガン読みすすめようと欲張らない限り、区切りはつけやすいです。
私は「1回1エピソードまで」とマイルールを決めてました……ていうか、店主の操作にいささか集中力を要するので、1エピソードおわるころには、自動で限界がきてました(^_^;)
・心への栄養 ……たっぷり
心への栄養はたっぷり、だと思います。ただし、絵柄の好みについては人それぞれなので、違う評価をされる方も出てくることと思います。
以上をふまえて、【あの日を もういちど。】のメンタルが不調な方への総合的なオススメ度は……
★★★★☆
星4つ!
脳の疲労や、重い題材のエピソードに気をつけながら、お楽しみください(*^_^*)
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