【エリア予選突破】エルドラージランプ解説 ~2週目のエネルギー事情から見るエルドラージ~
はじめまして、すこんぶです。先日チャンピオンズカップエリア予選Season3,Round2にエルドラージで参加し、無事権利を獲得することができました。
今回のエリア予選に向けての取り組み方が個人的におもしろいと感じたので、備忘録がてらデッキ解説といっしょにnoteに残すことにしました。浅い理解と拙い文章で読みづらいものとなっていますが、なにか伝われば幸いです。
エネルギーのメタゲームとデッキ選択
環境トップに起きた大きな変化
去る8月にナドゥが禁止され、エネルギーを頂点としたメタゲームが始まってから2月少し経った。天敵の去ったエネルギーは指輪採用により完全体となり、環境がほぼ固まった中でのエリア予選と思われたがそうはいかなかった。
市川プロのnote公開である。
1週目を抜けれずに終えた筆者も購入し、その記事とデッキの完成度からエネルギーの大半はマルドゥに移行するだろうと考えた。
実際2週目にエリア予選へ参加したエネルギーはその多くがこのマルドゥであり、抜け報告もこのマルドゥがよく目に入った。
このマルドゥ。今までのエネルギーやそれに強いとされているデッキに対して軒並み有利が付く。つまり完全無欠なのだ。
これはとてつもなく大きな変化だろう。マルドゥが増えたことがではない。
エネルギーデッキが1つに定まったことが大きな変化なのだ。
市川プロが投稿した記事の有料部分にはサイドボードガイドが書かれている。環境の主要なデッキに対して的確にチェンジされており、これに従えば多少の噛み合いはあれど大間違いをすることはないだろう。プレイ指針も読めばその対面をほぼ理解できるはずだ。
この記事によりエリア予選に存在するエネルギーのレベルは大きく上昇したといえるだろう。しかしその代償としてエネルギーの大きな強みが1つ失われた。
それは、エネルギーデッキの型の多さである。
エネルギーが失ったもの
もとよりエネルギーデッキは《オセロットの群れ》《魂の導き手》《色めき立つ猛竜》《ナカティルの最下層民、アジャニ》の16枚以外は使い手によって大きく異なるデッキだった。《火の怒りのタイタン、フレージ》の枚数も2-4枚で異なり、《敏捷なこそ泥、ラガバン》や《血染めの月》が採用されたボロス、《オークの弓使い》《思考囲い》で攻めるマルドゥ。少しマイナーだが無限コンボを搭載したナヤ。果ては《表現の反復》《記憶への放逐》が採用されたジェスカイまで存在した。
この型の多さはエネルギー以外のデッキを使うにあたって大きな障壁であり、仮にボロスに強いデッキが出来たとしてもマルドゥ、ジェスカイに不利。マルドゥに勝ててもボロスに勝てないなど、エネルギーデッキに全体に対して有利というデッキの構築は難しいと思われていた。サイドボードに関しても同様で、色×サイドボードの組み合わせは無限に近く、サイドプランも人によって利きが一定ではなかった。
しかしエリア2週目にしてそれは失われた。エネルギーデッキの大半はマルドゥとなり、サイドボードやプランも同じものを使うプレイヤーが増えた、これは想定外のカードが飛んでくることの減少を意味し、戦略の予想が立てやすくなった。
つまりエネルギーは強化されたが柔軟性を失ったといえる。
エリアのメタゲームと題しながらここまでエネルギーの話しかしないのは、それだけ大きな変化だと考えているためである。逆に言えば、それ以外に大きな変化はないと考えたため、エネルギーの変化に注目してデッキを決めることにした。
エネルギーを再定義する
さて、前項ではエネルギーの変化について述べたが、あくまで変化である。デッキ強度でいえば弱体化ではなく強化されたのは間違いない。いままでと同じ考え方のままではこれからのエネルギーに勝てないだろう。
今までのエネルギーとの変化から考えるに、除去と《一つの指輪》が減り、ハンデスと《オークの弓使い》が増えた。つまりデッキの出来ることとしては攻めの強度とコンボ耐性が上がったが、初動を捌かれ長期戦に持ち込まれると今までより勝ちづらくなったと考えられるのではないだろうか。
ここで筆者の中で一つの結論に至る。「エネルギーはハンデスアグロになった」のだと。
なぜいまエルドラージなのか
ここまでの過程でエネルギーの多様性が絞られ、デッキの性質を決め打ちすることが可能になった今、エリア予選でいちばん多く当たるであろうエネルギーに安易に勝てるデッキを見つけることは可能ではないだろうか。
エネルギーをハンデスアグロと定めたいま、それを乗り越えるために必要なものは軽い全体除去とハンデスに対抗できる再現性の高いデッキと考え、環境に存在するデッキリストを漁っていた筆者の目に入ったのは《コジレックの帰還》と《コジレックの命令》や緑のサーチカードたちだった。
《コジレックの帰還》はエネルギーに対して文句なく《神の怒り》となり、《コジレックの命令》は初動の《魂の導き手》追放からトークン+占術モードでの繋ぎ、果ては《火の怒りのタイタン、フレージ》を追放して蓋まで完璧。しかもこれらのカードはサーチまで可能。こう聞けばエネルギーに対してかなり有利そうだ。
加えて、メインデッキでフェアに付く有利分だけサイドボードを幅広くコンボに割り振ることが出来る上、それらのカードを緑のサーチカードで回収出来る点でコンボに対しても悪くはないのではないかという考えに至った。
こうして、エリア予選のデッキはエルドラージとなった。
エルドラージデッキ解説
はじめに
今回使用したリストは以下。
メインに関してはPC静岡のモダンオープンで好成績だったリストをベースにエリア予選で想定されるメタゲームに合わせて改造し使用。ベースとしたリストやそれと同じカード及びプレイングに関しては使用者本人の解説noteがあるためここでは紹介しない。無料なので先に進む前に一度読んで欲しい。
ここからは養分丸氏のnoteと違う部分を解説していく。あくまでエリア予選に挑むに当たって差し替えた部分なので、両方読んだ上で自分に合うものを使用して欲しい。
メインデッキ
《コジレックの帰還》3枚目
デッキ選択の項にも記載したが、今回のコンセプトは「エネルギーに絶対勝って、コンボにもそれなりにやれる」なのでサイドの枠圧縮と対エネルギーの勝率向上を意図して増量。
相棒枠に《湧き出る源、ジェガンサ》が見えたら最優先キープ基準となるカードなので2枚では少し物足り無く感じた。
《全ては塵》
こちらもデッキコンセプトに従ってサイドからメインへ昇格。
エネルギーに勝つだけなら《コジレックの帰還》4枚目の方が良いのではないかという意見が飛んできそうだが《ウギンの迷宮》との兼ね合いや想定していないデッキとの対面を考えて1枚こちらに枠を譲った。
部族カードでもあるので墓地にあると《約束された終末、エムラクール》のコストが下がるので注意。
《運命を貪るもの》1枚
上で述べた2枚に枠を譲った部分。初手にあったときのありがたみは感じるが微妙なハンド+《運命を貪るもの》でキープすることは出来ない上に本体の能力があまり刺さらないと感じたため減量。
当たり前だが先手で公開した際フェッチ諜報や楽園の拡散とは相性が悪いので注意が必要。相手のデッキや数ターン先を考えて公開するかや何を残すかをよく考える必要がある。
サイドボード
詳しくはサイドプランの項目で触れるが、一部採用理由について触れたいカードだけ本項で解説する。
《三なる宝球》1枚
ふんわりサイドボードカード。元来ストームのようなチェインコンボとアグロを止めるために採用されていたが現代アグロ(≒マルエネ)はこれを置く頃には盤面展開が終わっていてそのまま負けるため懐疑的。
出る大会にストームが多ければ複数採用が望ましいが、西日本のエリア予選はストームがそこまで多くなかったためお守りの1枚採用に留めた。
《大祖始の遺産》2枚
現代モダンではめっきり見かけなくなったカード。MOなどに掲載されているリストは《除霊用掃除機》がよく採用されているが主なサイドイン先とされる御霊や青黒に対して1枚で勝つ可能性はあるが効果が薄いと判断し不採用。
御霊は《虹色の終焉》や《骨の皇帝》と《御霊の復讐》を混ぜて攻めてくるため墓地対の効きはどれも同じようなものだと考えており、それならばと数の多い青黒に対してより強く効くこちらを採用した。
サイドボードの採用理由に関しては以上。各カードの使い方はゲームプランとサイドボーディングの項で解説する。
ゲームプランとサイドボーディング
エネルギー(マルドゥ、ボロス)
エネルギーはデッキ選択の項で話した通りハンデスと一撃(督励フレージ)のあるアグロと捉えてプレイする。《魂の導き手》や《敏捷なこそ泥、ラガバン》を対処した上で横並びに対して《コジレックの帰還》を当ててマウントを形成し、《世界を壊すもの》や《まき散らす菌糸生物》を用いて土地差を形成してマウント勝ちを目指す。
《約束された終末、エムラクール》を無理に目指すと盤面処理が疎かになったり、相手のターンをコントロールした返しに《火の怒りのタイタン、フレージ》が降ってきて負け、ということもあるのでこちらがマウントを形成しきるまでは積極的にプレイしない。
《コジレックの命令》をx=1でプレイする可能性はあるので土地の置き方に注意。《魂の導き手》の対処を怠って攻撃時誘発を1回でも解決されると本当に一瞬で負ける。
フェッチをは安易に切らないようにする。《コジレックの帰還》を唱えるためには赤マナが必要になるが《楽園の拡散》や《衝動のタリスマン》は各種ハンデスや《静牢》の的となり《コジレックの帰還》プレイ時に赤マナがないゲームを作られることもある。かといってショックインも1ターン生き延びるためのライフを捨てているようなものなので隙を見てタップインや諜報などで土地から出る赤マナを確保しておきたい。
どうしてもの場合は《楽園の拡散》や《衝動のタリスマン》を安易にプレイせず、《コジレックの帰還》をプレイするターンにプレイする手段もあるが、トップの受け入れが減ることやマルドゥに対してはハンデスの裏目などデメリットの方が大きいので頭の片隅に置いておく程度が良いだろう。
サイドボード
サイド後《湧き出る源、ジェガンサ》の有無はまず確認しよう。あるかないかでプレイの指針が大きく変わってくる。
直近のボロスやマルドゥからは《陽背骨のオオヤマネコ》や《黒曜石の焦がし口》《白蘭の幻影》が抜け、エルドラージ的にはエリア前より戦いやすくなっている。
《湧き出る源、ジェガンサ》が公開されればその手のキラーカードは搭載されていないため、のびのびと戦える。マルドゥであれば追加のハンデスが採用されているため、キープしたハンド通りに戦えるとは限らない。《コジレックの帰還》は1枚あれば十分ではなく、《古きものの活性》で2枚目を探すことも検討しよう。
逆に相棒が公開されなければ大きく戦い方が変わる。《百蘭の幻影》だけならばエルドラージの寺院を破壊させて《コジレックの帰還》から長期戦を目指す戦い方を継続できるが《黒曜石の焦がし口》ではそうはいかない。最速で出させないために無色マナが出ない土地から置く必要がある上、一度出されてしまうと状況を覆すことの出来るカードが限られてしまうため、ゲーム序盤に出されると当然負ける。《陽背骨のオオヤマネコ》が採用されている場合が最もキツい安易に指輪をプレイしてしまうと《栄光の闘技場》との組み合わせで即死だ。指輪を安易にプレイできない上、常にランデスの恐怖とも隣り合わせとなる。《一つの指輪》で時間を稼ぐプランはあまり効かないため、《森》《衝動のタリスマン》《楽園の拡散》をノーケアで展開して《世界を壊すもの》を目指すゲームになる。
青黒眼魔、青黒ミッドレンジ
以前は青黒ミッドレンジに対して有利とされてきたが、《忌まわしき眼魔》の登場により今回の構築が苦手とする「《コジレックの帰還》や《コジレックの命令》で処理できない大型クロックを早出しするデッキ」へと変貌。また流行の変化により《オークの弓使い》が《濁浪の執政》へと入れ替わったことで相性差は逆転し、少なくともトップメタとされるデッキの中では最も苦手なアーキタイプとなってしまった。
メインは祈りながら突撃するしかないので最大値で進行する。もし相手が《対抗呪文》《呪文嵌め》《定業》クロックなしといった受けに寄った初手をキープしていたなら何もせずひたすら土地を並べて《まき散らす菌糸生物》や《世界を壊すもの》を連打するプランを取ることも可能かもしれないが、緑のサーチや《一つの指輪》なしで相手のクロック+《対抗呪文》より早く攻めに入れることはそう無いため、やはり祈りながら突撃していくこととなる。
《呪文嵌め》で《衝動のタリスマン》をカウンターさせてでも《邪悪鳴らし》をプレイしたいマッチアップ。《コジレックの帰還》が墓地に落ちれば相手のクロックを一掃出来る可能性が残るうえ、勝つために必要な《約束された終末、エムラクール》のプレイターンを早めることが出来る。このカードが通っているかどうかでゲームの展開が大きく異なるので何より優先してこのカード大事に扱うことが求められる。
ほとんど無いがメインから《海の先駆け》が採用されていることもある。なので土地の置き方に気を配る必要がある。《楽園の拡散》や《古きものの活性》を絡めたダブルアクションをすることがあるので基本土地は2枚場にあることが望ましい。
サイドボード
サイド後は《記憶の放逐》が概ね4枚投入され、こちらの仕掛けが軒並みカウンターされる展開となる。
このためだけに採用したと言っても過言ではない《大祖始の遺産》は一つのキープ基準となり、序盤の《古きものの活性》でも最優先で選択することになる。
《夏の帳》は説明不要だが《記憶の放逐》の誘発カウンターからは守れないので大型エルドラージを通すことに意識せず、マナ加速やサイドインしたアーティファクトを守る感覚でガンガン吐いていこう。
青黒対面の《錯乱のフルート》は《超能力蛙》を指定している場面をよく見かけるが、このデッキでは《記憶の放逐》を指定する使い方が主である。余った《呪文嵌め》以外はカウンターを温存して通してくれることも多く、通ってしまえばこちらの本筋の通りが格段に良くなる。まさに《防御の光網》。
メイン戦ではあれだけ必要と力説した《邪悪鳴らし》は一転サイドアウト。これは《コジレックの帰還》がサイドアウトされ役割が1つ減ったことに加え、《呪文嵌め》に当たるスペルを多く残したくないためである。
《まき散らす菌糸生物》は《記憶の放逐》の格好の的だ。通れば《魂の洞窟》サーチなど勝利に大きく貢献するが、大半はフルタップでプレイした上サーチをカウンターされ4/3/3のバニラ召喚…となるため1枚減量とした。
エルドラージランプ/エムラブリーチ
先手であるかどうかが大事。先に《まき散らす菌糸生物》をプレイした方が概ねゲームに勝つ。
当然のことながら1枚の土地に《楽園の拡散》を複数枚エンチャントしないこと。《森》ごと割られた挙句緑マナを生成出来ずにこちらの《まき散らす菌糸生物》がプレイできずに負け。は最悪のパターンだ。
メインはあまり多くを考えずに最大効率でプレイする。相手のランド状況や次に出てくるカードを考えて効率よく土地を破壊してゆく。
エルドラージブリーチはメイン不利と言っても差し支えないだろう。色マナか《エルドラージの寺院》どっちを破壊するかは非常に難しく、相手に《一つの指輪》があれば土地破壊はほぼ意味が無い。
ブリーチ相手に使う《コジレックの命令》は必ずトークン生成を絡めよう。トークンを常に場に置いておくことで《裂け目の突破》をプレイされても盤面が残って勝てることがある。
《ウギンの迷宮》の刻印はよく考えよう。他の対面と違いいつでも破壊される可能性があるため、必要性の薄いカードから刻印すること。またブリーチが出す《穢すもの、ウラモグ》はこちらの刻印も参照できる。うっかり《約束された終末、エムラクール》を刻印して自爆しないように注意しよう(1敗)。
サイドボード
やることはメインと変わらない。相手のランドをひたすら割ること。ただそれだけだ。
とはいえ相手のサイドボードによって考えることは変わる。エルドラージランプには《記憶の放逐》が採用されていることがあり、彼らは青マナを構えることでこちらの動きを牽制し、こちらがモジモジしているうちにマウントを牽制しようとする。しかし彼らが構えられるマナにも限界がある。立っている青マナを《石の雨》で破壊してそのターン中に大きなアクションを叩き込めば大きく優位に立てる。青が見えたら脳死で《石の雨》をプレイするのではなく、常にジャブに使えないかを検討しながらプレイしよう。
なお青が絡むタリスマンを置かれた瞬間これは無意味なプレイになる。無闇に割るでもなく頑なに温存するでもなくランデスを1枚プレイするごとに本当に今プレイしていいかをしっかり検討しよう。
ここより先のデッキは今回予選であまり当たらないだろうと考えていたため回数をこなせておらず、上3つに比べて解説が薄くなる。少しふんわりとした解説となるが参考程度に載せておく。
エスパー御霊
最近《忌まわしき眼魔》が採用され始めたため筆者の考えが今後も通用するとは限らない。参考程度に読んで欲しい。
メインでは《コジレックの命令》が唯一の対抗手段となる。《超能力蛙》が絡むと除去で使うか墓地追放で使うかを選択することになる。除去で使うことになった場合除去+トークンにしておくと《穢すもの、ウラモグ》の滅殺を耐える可能性があるので頭に入れておこう。
サイドボード
順当に墓地対策を入れて立ち向かう。サイドカードの項目でも述べた通り《大祖始の遺産》はそこまでキラーカードになり得ない。ゲームの焦点は《魂なき看守》をいかに維持しながら《約束された終末、エムラクール》を早出しするか、となる。
《錯乱のフルート》は《死の皇帝》や《超能力蛙》を止める目的で採用する。嵌まれば勝利に大きく近づくが、その出力にはムラがあり、デッキの本来の動きに関わる大型エルドラージを抜かなければならないことも相まって絶対入れ替えなければならないものではない。大型エルドラージは勝ち手段だけでなく《ウギンの迷宮》と絡んで序盤のマナ加速に寄与するため、《創造の破壊者》や《運命を貪るもの》を安易に減らすとデッキの勝率を気づかぬ内に大きく落とすことになるためアドリブサイドを行うときは慎重に扱うこと。
ストーム
メインはほぼ必敗。サイドも有利とまではいかない。当たらないことを祈るデッキの1つになる。関西エリア予選ではストームを使っていたプレイヤーの多くが1週目で通過したためあまり心配しなくて良かったが、エリア予選の外では普通にマッチするため覚悟が必要。
《コジレックの命令》は主に《モンスーンの魔道士、ラル》を追放するか《炎の中の過去》に合わせて墓地追放をするかの2択になる。《炎の中の過去》を唱えられた時には基本的に衝動ドローから抜く方が止まる可能性が高い。もしも自分が唱えられる《コジレックの命令》のxより相手の墓地の衝動ドローの枚数が多い場合はおとなしく待とう。衝動を唱えていくうちに枚数が減っていくならばタイミングを見計らって抜く、繋がってしまえば《モンスーンの魔道士、ラル》の除去や《願い》を追放することに切り替えるなど臨機応変に対応しよう。
《炎の中の過去》を唱えられた時にマナ加速を抜く展開ももちろん存在するが、これは相手の浮きマナに大きく左右され、衝動でマナ加速がめくれた瞬間ほぼ負ける。このあたりの塩梅はストームへの理解度とアドリブ力が試されるだろう。
サイドボード
効きそうなカードを軒並み入れて除去とほぼ何もしない《一つの指輪》を減らす。サイド後は幾分か相手の速度も遅くなるのでサイドカードで相手の行動をロックしながら最速《約束された終末、エムラクール》を目指す。当たり前だが妨害を1枚や2枚置けたところで安易に貫通されるため確実に勝つまでは油断しないようにしよう。
《約束された終末、エムラクール》で相手のコントロールを得ることに成功した場合。ストームへの理解度が高ければそのまま自滅させることも可能なため、時間に余裕があればストームを回しておくことをお勧めする。
ストーム側のサイドボードは多岐にわたり、メインで置かれる諜報ランドの色によって判別することになる。何色でもやることは変わらないが《錯乱のフルート》で茶割りを妨害したいとき何を宣言するか間違えないように注意すること。
プレイングとは別の話だが《錯乱のフルート》で《モンスーンの魔道士、ラル》のPW側、つまり《力線の神童、ラル》を止めるとき表の名前を言わないように注意しよう。紙では「ラルの裏」といえば相手にも伝わるだろうがデジタルではそうはいかない(いっ敗)。
ベルチャー
とにかく。キッカー《まき散らす菌糸生物》を3ターン目に出せるかが勝敗を分ける。出来なければ基本は敗北。メインはストームと同様必敗となる。
サイドボード
《錯乱のフルート》を維持することが勝利への近道。相手のパーマネントバウンスからしっかりと《夏の帳》で守りつつランデスで徐々に切り崩す戦いになる。
まれに《約束された終末、エムラクール》からそのままゲームに勝つことがある。死なないことに固執して勝利を逃さないように。
相手から《現実の設計者、タメシ》が出てきたら《石の雨》を《大祖始の遺産》に切り替える。こちらのキルターンが遅いためランデスしているだけではあまり勝たないことに注意。
繁殖鱗コンボ
デッキを考えている段階ではMOでよく見かけるような無色コンボを想定していたが、エリア予選ではセレズニアカンパニーに組み込まれたものに複数回マッチした。《南小路のロージー・コトン》を用いての3ターンキルは強烈だが、《大いなる創造者、カーン》が採用されていないため無色よりは戦い易く感じたので一長一短だろう。ここでは無色とセレズニア両方に共通する部分をメインに紹介する。
とにかく丁寧にクリーチャーを除去してゲームするしかないが、即死コンボ内蔵なのでダラダラするといつか死ぬ。特にカンパニーはケア不可能なことも多いので相手の動きが少しでも鈍ったら割り切ってランパンや展開を行う。
安易に《コジレックの帰還》をプレイしない。無色には《蛇皮のヴェール》がセレズニアには《集合した中隊》が常に控えている。特にフルタップしなければならないときは安全確認を怠らないように。
サイドボード
記事中でなんども同じようなことを繰り返している気がするが《錯乱のフルート》は宣言が本当に難しいカードだ。無色に対しては《血の長の刃》宣言が安牌に思われるがセレズニアは無数のコンボがあり、宣言が難しい。相手の展開と自分の手札をよく確認して、いちばん厳しいカードを止めよう。《集合した中隊》の選択肢は頭の片隅に置いておくと得する場面があるかもしれない。
いずれのデッキにもランデスは一定の効果がある。無色対面は《ウルザの物語》を破壊することでコンボ開始を遅らせることができ、セレズニアは《東屋のエルフ》と《楽園の拡散》を組み合わせてマナ加速を行う。余裕があれば《まき散らす菌糸生物》はキッカーで出そう。
おわりに
以上が今回のデッキ選択に関する考え方と使用したデッキの解説になります。特定のデッキを極める職人が多いモダンでメタゲームを考えてデッキ選択を行うことは一見無駄に思えるかも知れませんが、こんな考え方をしている人もいるのかと、何かの参考になれば幸いです。
デッキに関する質問や意見はTwitter(@sukonbu_pawa)までお願いします。できる限りお答えできればなと思っています。誤字脱字、文法についての指摘もお待ちしております。
それでは、またどこかでお会いしましょう。ありがとうございました。