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60日に一度巡りくる徹夜の集い<庚申講>と石仏のたのしみ
本日2023年3月3日は、60日に一度巡ってくる庚申の日!
庚申信仰とは
十干十二支(じっかんじゅうにし)の暦のうえで、60日ごとにある庚申の日(かのえさるのひ)に行われる信仰行事で、中国の不老長寿を目指す道教の教えのひとつ、庚申待ちが起源といわれている。
人の体内には、三尸(さんし)と呼ばれる虫がいて、庚申の日の夜、人が眠ると、この虫が体内から抜け出し、その人の行状を天帝に知らせに行く。知らせを受けた天帝は、行いの悪い人の寿命を縮めてしまうというのだ。
そこで、長生きしたければ、三尸の虫が天帝の元へ行かないように、庚申の日は、一日中眠ってはならない。この教えが、庚申信仰へとつながっていった。
神社やお寺、仏像や石像など。それらを写真におさめるのは悪いことをしているような、怖いような感覚があり、あまり撮らないようにしていた。
それが今や、庚申塔を訪ねては写真を撮り「収集」することが小さな楽しみのひとつとなっている。
きっかけは稲荷神社だった。
神仏に興味を持ち、自宅近くの稲荷神社を参拝するようになってから、散歩や旅先で通りかかった稲荷神社にも挨拶をするのが習慣となった。
「◯◯から来た◯◯です。近くを通りかかったのでお参りいたしました。ご縁をいただきありがとうございます。いつもは自宅近くの◯◯稲荷神社にお世話になっております。」という感じだ。
ある日、散歩の途中で信号待ちしていた時のこと。背後に気配を感じて振り返ると、マンション脇の極狭な土地に小さな鳥居があった。
マンションが建つ前、屋敷稲荷として祀られていたのかもしれない。
御祭神がいるのかどうかわからないようなお社であったが、目が合ってしまった(?)のでご挨拶に。
鳥居の傍には石像が3体並んでいて、1つはドロドロに溶けて姿がわからなかったが、1つは青面金剛様だった。
青面金剛様は謎の多い神様で、なんとなく病気平癒にご利益がある?というイメージくらいで詳しいことはわからない。
お姿は特徴的で、腕が6本あってさまざまな持物を持っていたり、ショケラといわれる小さな人の髪を掴んでぶらさげていたりする。
ミステリアスな存在もあいまって、かっこよくて気になる神様。学生時代の同級生にいたら好きになってまうタイプの神様。
お寺の本堂などでお目にかかることはそう多くないので、こんなところにいらっしゃるのか〜と、まじまじ眺めた。
その石像が庚申塔であったことをきっかけに、庚申信仰と繋がりが深い神様であることを知った。
そんな折、Twitterでたまたま流れてきた
「庚申塔bot」なるアカウント!
庚申供養塔(神奈川県鎌倉市材木座2丁目・路傍)
— 庚申塔bot (@koshinto_bot) February 23, 2023
「元禄十六癸未八月吉日(1703) / 奉造立庚申供養 / 施主敬白」
提供:管理者 https://t.co/dqfIDCbgqx pic.twitter.com/Hxh8AB2gRr
12時間ごとにランダムに庚申塔の画像が流れてくるという夢のbot!
しかも庚申塔の画像をDMで送れば、使ってもらえるという参加型bot!
これは私も応募するしかない!と、早速翌日から出かけた先でgoole mapを開き「庚申塔」と検索する日々。
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そして「石像クラスタ」なる人々の存在を知る。
各地の石像を巡り山道などをハードに訪ね歩き、SNSに画像をアップし、同じ趣味の人たちでグフグフと楽しんでいるようだ。
趣味の世界は本当に奥が深い。
盆踊りや民俗芸能を訪ねることも、そういった趣味がない知人からは「マニアだね」などと言われる世界であったが、鳴きも動きもしない苔むした石像を訪ねるというのは、私の中ではさらに味わいが深く憧れの世界となった。
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10行くらいで書くはずだった前置きで既に1400文字となってしまった…。
ここからが本題!
庚申塔は、庚申信仰の人たちが「よき行いとして」建てたそうだが、その場所の近くで「庚申講」という集会(寝ずに夜を明かすための集い)が行われていた可能性が高い。(塔が移動されている場合もあるが)
今も講を行っている人たちがいるのか。
60日ごとに集まって何をしているんだろう、お菓子食べたりするのかな?などと想像が膨らむ。
信仰のため、身を慎むための集まりなので、賑やかな酒宴というわけではないようだが、実際はどうなんだろうか。
大人になると「徹夜」というものにある種のロマンを感じるようになるのではなかろうか。
若い頃は、友達とファミレスで夜を明かしたりしたが、大人になると付き合ってくれる人は稀有だ。
盆踊りにも「徹夜踊り」なるものが存在し、その名の通り夜を徹して踊り明かす。
数十年前までは日本各地でそのようなお盆の行事があったが、残っているところは少ない。
今も続く中で最も有名なのは、岐阜県郡上市の「郡上おどり」だろう。
7月初旬に開幕し、9月初旬の踊り納めまで30夜以上の縁日があり、お盆の4日間は毎日朝まで踊り明かす。
郡上八幡は風光明媚で、観光地としても素晴らしい街なので、盆踊りに興味がない方でも一度訪れてみて欲しい。
さて、また話が脱線してしまったが、私の望みは「庚申講に参加してみたい」ということ。
ネットで調べてもそれらしい情報は出てこない。
いくつか見て回った庚申塔の中には、今もお手入れされて新しいお供えがあるところもある。
庚申の日にそういった塔の近くにいれば、お世話している人に話が聞けるのではないか。
早起きして朝から張り込む予定だったが、二度寝してしまい昼休みの1時間で、目星をつけた2軒に足を運んだ。(お供え物も準備した)
結果としては、誰にも会えなかった。
15時頃だったが、お供えも新しくなっていなかったので、庚申の日だからといってお手入れに来るほど信心深い人がいるわけではないのかも。
次の庚申の日は5月2日。それまでにHOTな庚申塔を見つけ出し、当日張り込みたい。
もし、現存する庚申講の情報などご存知の方がいたら、こっそり教えてもらえるとたいへん嬉しいです。
おわり