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『ブックサンタ2023参加作品エッセイ』
これはpixivのブックサンタ2023にエッセイ作品として参加したものに、加筆修正を加えたものです。参加作品についての製作過程や裏話をしておりますので、まだ作品をお読みでない方はネタバレになりますのでご注意ください。
『ブックサンタ2023』企画参加の最後の投稿は、参加作品についてのお話をしたいと思います。作品のみに興味がおありの方や、裏話的なものが不要という方は、どうぞページを進めず、ご自身の好きなことに大切なお時間をお使いくださいませ。
一作目『まどろみの小部屋』
サンタの世界に迷い込んだ男の子のファンタジー小説。ラストで実は弟も行っていたというのが判明するのが気に入っています。最初はお兄ちゃんだけが迷い込むことにしていたのですが、せっかくなら弟の方も入り込んでいた方が楽しいよねと思い、そうしました。子供達だけの内緒の共有情報や世界観っていいですよね。
子供向けの話のイメージとしては、少し静かかなと思います。もっと派手に冒険をしたり、サンタさんと出会うのも楽しいものではありますが、このお話ではしっとり静かに進んでいきました。それでもお兄ちゃんのひとりだけがサンタの部屋にいくのはやはりちょっと寂しい気がしたので、弟も行かせることで、このあと二人でサンタの部屋の話で盛り上がることでしょう。そういう意味では華やかなラストになったと思っています。
二作目『クリスマスカードのきっかけ』
療養所で出会った少女と幼い男の子が、クリスマスカードで心を通わすお話ですが、これはクリスマスカードがメインのお話です。
ご都合主義と言われようとも、やはり最終的にはどちらも元気になっていて欲しいので退院してもらいました。
このお話では、なんとなく「病院」という単語はやめて「療養所」にしました。同じような意味ではあっても印象が柔らかくなる気がしたのです。
これはクリスマスカードの描写に力を入れました。読者の方がイメージを楽しんでもらえていたら嬉しいのですが。
もっと長いお話にして毎年のいろんなクリスマスカードを描いても良かったのですが、年に一度じゃなくてもいいよねと思ったのと、くどくなってしまうかなと思って一年目だけを描(えが)きました。
クリスマスカードって確かに年に一度の特別感はあるかもしれませんが、年に一度なんてもったいないくらいステキなデザインがたくさんありますよね。でも実際に実行するには私もちょっと勇気が要るので、ストーリー上で叶えさせてもらいました。
少女がぶっきらぼうなのは、やはり思春期なのと、優しくて穏やかな子だとあまりにストーリーがしっとりし過ぎてしまう気がしたのです。全体的に暗くなってしまうというか。
男の子の母親や周囲の滞在者はみんな優しい温和な人たちなので、女の子の方にはスパイス要素を担当してもらいました。その方が明るくなるかなと。
『クリスマス限定チャリティイベント仕様の本屋』で描かれているように、これがもし絵本になったら、ああいう仕掛け絵本になっていると楽しいなと思います。
三作目『予期せぬ子供の来訪者』
こちらはスラムの子供が出てくる話なので、内容自体は子供向けではありますが、見方によってはダークな感じもあるかとおもいます。
『クリスマス限定チャリティイベント仕様の本屋』でもこの内容を「物語自体は微笑ましいかもしれないが、ラストは少し社会の闇が見え隠れしているような気がした」と言っているように、世界情勢を視野に入れた見解では、単純にハッピーエンドとは言い難いかもしれません。
子供たちの掛け合い自体は年相応を意識しましたが、楽しんでいただけましたでしょうか。こちらはなるべく暗くならないように、明るい感じにしました。
このお話は実はもう少し続けようと思っていたのですが、あのラストの方がきりがいいのでやめました。考えていた続きというのも複数のパターンがあったので、全部を描くかひとつに絞るかなども迷っていて、だったらあの子の正体にも触れずにあそこで終わらせた方がやはり適切な気がしたのです。
四作目『輝きの大樹』
これは他に比べて少し長めのお話です。と言っても短編のSSに変わりありませんが。
クリスマスパーティーはするのにツリーは飾らせてもらえない家の男の子のお話ですが、その理由がちょっぴり切ないので楽しいだけではないお話になるのでしょうか。
ラストはハッピーエンドではありますし、妖精が出てきたりお祖母さんと一緒に友人たちと踊ったりと明るい場面も多数ありますが、『クリスマス限定チャリティイベント仕様の本屋』で「少しスパイスが効いているかも」と言っているのは、人間側の意見の相違などに触れているからです。
これは妖精の姿をはっきり描くべきかどうかを迷いました。けれどストーリー的にはっきり姿形は明言しない方が作風的にあっている気がしてあの感じにしました。
五作目『魔法のペン?』
自分とは無関係の相手だからこそ、そして意図しないきっかけで人生の何かが彩っていくこともあるなと思い、それを描いた作品です。
これにも作中作が出てきますが、それらも私の創作なので実在するものではありません。でもまあ似たようなお話はあちこちにあるので、どこかで見聞きしたような気がする方もいるでしょうけれど笑 私もそうですし。
六作目『クリスマスカードの魔力』
こちらも五作目の『魔法のペン?』と似た毛色のものですね。クリスマスがテーマですが「日常もの」というジャンルかもしれません。
最初はもう少し短くて、主人公の女性がクリスマスカードを選ぶところだけをメインにして、その後の同僚とのシーンは描(えが)いていませんでした。少し会話するシーンはそのままですが、次の日から日常が変わる予感だけを残して、遊びに誘われるようになった後日談は不要かなと思ったのですが、あってもいいかと思って加えました。
七作目『クリスマスのツリー妖精処理業者』
これも子供向けとするには冒険やわくわくが足りないかなとも思います。私の中の個人的尺度としての「子供向け」というのは、冒険がいっぱいでファンタジー要素の強い、明るくてきらきらしたお話のイメージなんです。私自身の子供の頃は、ホラーとか怖い話も好きだったので、きらきらしていなくても子供向けでいいとは思うのですが。
このお話では最初「妖精駆除」という言葉を使っていました。けれど駆除という言葉の荒っぽさと定義が少し求めるイメージと違ったので変えました。これも日常もののジャンルでしょうか。子供と話せたり一緒に歌ったり出来る妖精の方が可愛いし楽しいだろうと思いましたが、そうなると別のストーリーが出来てしまうのでやめました。このお話では仕事をしている男性の視点がメインなので、今回はこちらの主軸のままにしました。
八作目『お話のプレゼント』
こちらはプレゼントをもらえないかもしれないと思った幼い姉が、幼い弟のために物語を話してあげるお話です。子供向けにはしているのですが、振り返ると気になる点がいくつかあります。
姉が弟のためとはいえ早々に嘘を吐くし、両親が共働きで帰りが遅いという設定ですし、寂しさが滲む世界観でのストーリーなので、そこはどうなのだろうと。
姉が弟とために話してあげる部分は楽しく描けたかなと思うのですが、クリスマスをメインにしているなら話してあげる内容もクリスマスっぽくてもいいのでは、とも思いましたが、そこはまあ気にしないでいただいて笑
話している内容は男の子が楽しめる内容にしたつもりですが、幼い男の子が喜ぶものが正直わからないので、あんな感じになりました。
『クリスマス限定チャリティイベント仕様の本屋』で言っている通り、主人公は女の子だけれど、実は男の子向けの話なのかもしれません。
そして最後はやっぱりハッピーエンドがいいので二人ともにプレゼントを贈り、姉の頑張りを労うためにも彼女には正直になってもらいました。
最後の姉の発言はちょっとした意地悪なのか、嘘がばれないための偽装工作なのかはさておき、姉弟そろって笑顔なので終わりよければすべてよし、です笑
九作目『クリスマスカラー』
これはクリスマスカラーの三色を知った子供が母親と共に訪れたファミレスで、ちょっとはしゃいでしまうお話です。
関係ない人の関係ない話題に影響されて、こっそり楽しくなっちゃうことってありますよね。そんな情景を描いた作品ですが、これは子供向けでしょうか。子供を見守る温かいお話なので、どちらかと言えば大人が和むお話な気がします。こういうのもやはり絵本の方がお子さんは楽しいかもしれませんね。
十作目『サンタさんになりたい!』
これはタイトル通り、サンタさんになりたい男の子のお話です。これは子供向けとしてのストーリーはいいかなと思うのですが、もっと楽しく可愛らしく膨らませることも出来た気がして己の未熟さを感じます。でもこれはこれでいいよねと思っています。
十一作目『子どもたちのサンタさんトーク』
保育園にいる子供たちがサンタさんについて意見を話し合うお話で、どんどん話題が変わる子供達を先生が優しく見守っているというものです。
これは殆どが会話でどんどん進んでどんどん変化する展開とテンポを主軸に置きました。
『クリスマス限定チャリティイベント仕様の本屋』にあるように、これが絵本になったら肌の色も服も髪型も違う、そして各々が自由に遊んでいるのが前提の保育園というのがわかるイラストだと良いなと思っています。
途中にでてくるお酒の話はちょっとリアリティが過ぎるかなとも思いましたが、大人が読んだときにちょっと笑えるかなと思って残しました。お酒に縁のない家もあるだろうし、保育園にいる子供達にとってのお酒がどんなものかわかりませんが、子供向けだからといって子供がすべてを理解できるものでなくてもいいのですよね。むしろちょっと疑問がある方がいい場合もあると思いますし。
十二作目『恥ずかしがり屋の妹さん』
一人で木に飾りつけをしている少女と、それが気になった子供たちとの交流のお話です。これは子供向けと言えると思います。謎解きというほどでもないですが、ちょっと不思議なわくわく感を楽しんでいただければと思って描いた作品です。そしてどうせならリアルな理由じゃなくてもいいよねということで、そういう体質の子のしたのですが、これはがっかりする方と面白いと感じていただける方とで分かれるのでしょうね。そして珍しいけれど広い世界ではそこまで珍しくないかもよ? という未知の世界や価値観の広さをラストでは描いてみました。
十三作目『クリスマス限定チャリティイベント仕様の本屋』
まとめというか、ブックサンタをイメージしたお話ですね。これだけ作品が出来たし、まとめたらもうひとつ作品が出来るのではないかと思って書いてみました。
ブックサンタ2023参加作品、創作小説13、+エッセイの中で、ひとつでもお気に召したものがあれば幸いです。
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