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「あなた、コロナにかかってますよ」8話

PCR検査を受けたクリニックの医師から「あなた、コロナにかかってますよ」と衝撃の宣告を受けた私。
しばらくして、本当に保健所から電話がきた。想像していたとおり、ここ一週間くらいの行動履歴を聞かれ、濃厚接触者の確認をされる。想像していたが、ほんとにものすごくいろんなことを聞かれる。何度も言うがこっちは高熱で脳がやられている。正直話すことさえしんどい。そこに過去の記憶を思い返す作業も加わり、もうしゃべることさえ投げやりになってくる。相手が病人であることは知っているハズなのに……電話のやり取りは延々続く。

仕方ない。向こうも仕事だ。しかも今、世間的に一番大変なお仕事のひとつであろう。今日は土曜日。この方たちにも土日はないのね。(少し親近感)
が、しかし。
ただただつらい。「このやり取り誰か代わりにしてくれよ~」と思うくらいしんどい。まあ今となっては何を話したかも全然覚えていないのだが、一応聞かれたことにはその時できる範囲の脳フル稼働で答えたつもりだ。

ところで大事な問題がある。そう隔離問題だ。
誰でも知ってると思うけど、コロナにかかると普通は隔離され一人で一定期間どこかにこもることになりますよね。私にも当然その件についての説明がやってきたのだけど、まさか自分がその当事者になるとはこの瞬間まで夢にも思っていなかったため、その時の心臓バクバク具合といったら!

驚いている

なんていうほどバクバクできる体力もなかったのだが、もちろん内心はプチパニック状態であった。地域によっては受け入れ場所が足りず、自宅待機を余儀なくされるケースもあるとメディアでは聞くけれど、どうやら私の住むあたりでは、その当時はホテル待機に関しては多少時間がかかるものの、入院に関しては速攻対応できるよう整っているようだった。
退院した今なら「え?私の症状で自宅待機!?あり得ないでしょ!!アッハッハ」と笑い飛ばすとこだけど、当時の私はあまりにも世間知らずだった。
なんと、待機場所の種類を説明している担当者さんの話を遮るように
「あの、自宅待機がいいんですけど」
と懇願するように口走る。
「え……」
と言葉につまる担当者さん。当たり前だよね、おそらく電話越しでも私の具合の悪さはわかっていただろう。

だけどその頃の私は、何しろ自分がいないとこの家はダメになると真剣に思いこんでいたから「何言ってんの、私がいなくてどうすんのよ!!」と大真面目に思っていた。
ホントにホントに、今となればこっけいだ。
しかもこの頃になると、元オットが家にいるようになった。私は少々悩んだものの背に腹は代えられず「子どもたちの分だけでも…」と彼に食事の支度を頼んだのだ。そんな感じだから、やっぱり私が頑張ってい続ける必要はこれっぽっちもないのだった。
保健所の担当者さんも非常に困ったことだろう。どう考えても入院案件であるにもかかわらず家に居たいという主張する厄介な感染症患者。でも、そんな人珍しくないんだろうね、譲歩するかのように「ホテル待機はどうですか?」と提案してきてくださった。しかし客観的にみれば、熱が40度近くある状態でほぼ一週間自宅にいたわけだから、ホテル待機でさえ一蹴されるに違いない。担当者さんは「上司と相談してみる」とおっしゃっていたが、結果的に翌日「入院措置になりました」と言われ、そこからはあっという間に病院へ搬送されることになる。

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