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自己否定からの解放ー自分を知り荒波を乗り越えたワタシの半生記44.ブラック劇団

ママ劇団に所属し、方向性がかみ合わなくなってきた頃、ワタシはふと思いついて別の劇団に武者修行をしにいった。ママ劇団では活動もままならなかったのに、そこでは主宰が台本を書き、演出もしてくれてちゃんと芝居の体をなしていて、それだけでもうワタシは楽しかった。そしてついうっかり、劇団員になってしまった。
 
しかし。
そこ、というかそいつ(主宰)はとんでもないブラック野郎だった。
 
ヤツは劇団の雑用を劇団員に丸投げするタイプだった。のみならず稽古に毎回カネをとり、そのカネは全部自分の懐に入れていた。それだけならまあ、あり得る話だが、ヤツの要求は常軌を逸しているというか、メールの文面などみると(コイツは絶対病んでるな…)と思わざるを得ない内容なのであった。舞台公演が近づくなか、ワタシは客演の役者さんたちへの連絡係をすることになったのだが、客演の人数がハンパなかった。ウソでも誇張でもなく、ワタシは稽古がない日は朝から夜中までPCの前に張り付き、ヤツの訳の分からない要求に応えながら客演の方たちにも連絡をしまくることになった。
 
言うまでもなく無給である。
 
その頃の我が家は、オットが単身赴任で家におらず、もともとワンオペのような育児ではあったが完全にワンオペでもう、まったく身動きがとれなかった。
(それなのに劇団に入るんじゃないよ!というお叱りの声が聞こえてきそうだが)
 
腹を空かせた子どもたちにあやまりながら、ワタシは日々PCに張り付き、ヤツのクソでしかないさまざまなメールに答え続けた。いやぁもう、どんな内容だったかまったく覚えていないのが残念すぎるのだが(掘り出せば出てくるだろうか)とにかく狂ってるというか、いまのワタシならヤツに対抗できるかもしれないが、あの頃の自信ナシ子なワタシでは太刀打ちできないほどのヘンタイ野郎だったので、まじで病みそうだったし、実際病んで飛んだスタッフも現れるほどだった。
 
ただ不幸中の幸いというか、そのハンパない人数の客演の方たちがみんなもう、とんでもなく優れたいい方ばかりで、ワタシは稽古が大好きだった。
本当に楽しくて、終わるのが悲しいような、だけどヤツとの縁は早く切りたいので早く終わってほしいような、非常にフクザツな気持ちだった。
 
そんな思いで劇場入りした、明日から本番というある日。
小2のムスメの小学校から電話があった。
(すみません、急に子ども増えてるし大きくなってます笑)
 
小学校から電話が来るなんて、ただ事ではないことはわかったが…明日から本番なのに…
(劇場に入ったら、有名人は違うだろうがただの劇団員は朝から晩まで劇場に詰めなければならない)
 
ワタシは何がなんだかわからないまま、学校に電話をした。電話の相手は校長だった。
「娘さんからイジメを受けてるという子のお母さんが来ました。話し合いをしたいので明日いらしてください」
 
ええーっ…なんだそれは…
目の前が真っ暗になった。

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