絵描き・マンガ描きは見るべし「みんなのミュシャ」展
Bunkamuraミュージアムにて開催中の「みんなのミュシャ ミュシャからマンガへー線の魔術」にいってきました。
※特別な許可を得て館内を撮影させていただいております。
画像はクリックすると拡大して見ることができます。
昨年新美術館でスラヴ叙事詩をみた、という方には記憶に新しいミュシャ。
念のためお伝えしますが、ミュシャはチェコの人ですよー。
そしてミュシャといえば、何といっても女性の絵のイメージ。
パリを中心に、広告ポスターも数多く手がけていたミュシャ。名前を知らないという方も、ミュシャのタッチは一度くらいどこかで目にしているのでは?
展示のメインビジュアルにもなっているこれも広告。
これは何の広告でしょう?
正解は、、、
「鉄道の広告」だそう。
え、うそでしょ?とちょっと笑ってしまった。
車体や風景は一切出さず、旅に出かける気持ちの高まりを少女の表情で表している。手前に渦やうねりが線路や車輪を表しているという。
あまりミュシャを深く知らないわたしでも、ミュシャのスタイルははっきりわかる。
緻密で確かな線、そして記憶にはっきり残るスタイルを残したミュシャは、時代を超えて世界中に、そして日本の漫画家までにも多大な影響を与えた。
今回の展示では、ミュシャの線が研ぎ澄まされていく過程と変遷、ミュシャが影響を受けてきたものや手法などが細かく紹介されている。随所に細かい解説があるので、自分で絵を描く人にとってはとくに参考になる内容。
ミュシャのたくさんの習作が並びます。そうか、習作って、練習のために描く絵のことなのね。(無知…)
私は人のスケッチを見るのが大好きなのだけれど、ミュシャの習作は凄すぎてスケッチとは呼びづらい…だから習作と呼ぶのかな?
モデルさんに衣装を着せポージングさせ、
描く。ん?面白い形の絵だな…
そしてこうなる。美しい本…
古い友人がつくっていた風刺雑誌の表紙デザインや挿画も、長年作り続けられていたそう。こういうタッチ好きだ。というか古びた紙に萌えているのか私は。
ミュシャが影響を受けて育ってきたものたちも一部展示されている。
ミュシャの生まれたモラヴィア地方の民芸品や、ガラス画。ミュシャは子供の頃から教会に通っていて、教会という空間から受けた影響が大きいのだそう。
イギリスの建築家オーウェン・ジョーンズの装飾文様集など。そのほかに日本の浮世絵や中国の陶器などからも影響を受けていたという。
そして驚きだったのは、ミュシャの没後しばらくしてから、ロンドンのロックシーンから、さらにヒッピームーヴメント時代のアメリカまで、カウンターカルチャーのシーンでミュシャのタッチが愛され広まっていたということ。ローリングストーンズやドアーズ、ピンク・フロイドなどさまざまなアーティストのジャケットなどが、ミュシャに影響を受けたデザイナーたちによって作られた。サイケデリック!
そしてミュシャの影響は日本まで。
上2つの右側の絵のオリジナルと思われるミュシャの絵はこちら。髪の流れ方とたばこの煙までが文様となっていて美しカッコいい。
しかしミュシャの影響は日本にくると急に日本感が色濃い。おかめちゃん?
こういう影響の受け方、すごくいい。「みだれ髪」
そしてマンガへ。山岸涼子さんや、松苗あけみさん、そのほかにも水野英子さん、天野喜孝さんなど。
個人的には、以前我が家に「ああ女神様っ」というマンガがあって、後年でミュシャを知った時、「ああ、あれミュシャだったんだ…」と思ったものです。今回の展示では紹介されていなかったけれど、もちろんミュシャに影響を受けている人は無数にいるはず。
ミュシャの作品自体はあまり今回の記事に載せていませんが、なかなか写真で伝えるのも難しいので、ぜひ実物をみてみてください。リトグラフの発色もすごくきれい。こんな美しいポスターがそこかしこに貼られている街で育つというのは、どういうものなのだろう。
文様やディテールが本当に美しいなぁ。
星の形ひとつひとつに見とれる。
ミュシャの装飾文様集、欲しすぎる…。
Bunkamuraミュージアムにて、9/29(日)まで。
https://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/19_mucha/
ミュージアムショップのグッズもかわいくて楽しい。
#みんなのミュシャ #ミュシャ展 #美術展 #チェコへ行こう
(※しつこいようですが…特別な許可を得て写真撮影をしております)