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真摯に向き合い、やり続けること

2024/10/22に開催された、文章で生きるゼミ第2回。今回の登壇は、藤原印刷の藤原章次さん。長野県松本市に印刷工場を持ちながら、東京神保町に営業所を構え、個人/法人問わず発行するクラフトプレス(ZINE)などの相談に多く乗られているとのこと。

今回のお話の中で最も自分に深く根付いた言葉は【非合理の先の合理・答えのない問いを考え続ける】だった。

藤原さんは、インターネットなどの雑多な情報を大事にするのではなく、ただひたむきに目の前のお客さんと、その顧客との間に発生する出来事、そして成果物(本やパッケージ等印刷に関わることすべて)に向き合い続けることの大切さを説かれていた。ただ商談の時に一回その人と向き合えば良いという話ではなく、商談前から試作、完成、そして販売に至るまで、常に熱量を落とさず実直に付き合い続けるということ。そしてそれを全てのお客さんに対して行い続けること。非合理なことであっても、やってみる/やり続けること。そうすることで経験値となり、合理につながる。ひとつの丁寧な仕事が、次の出会いにつながる。そのひたむきさに心洗われる思いがした。

私がこれまで籍を置いた会社は、ただひたすらにPV数やエンゲージメント数といった目の前の数値=KPI/KGIを追うことが重要視され、自分自身もその考えに侵食されざるを得なかった。過程は重視されず、そして長くても3~6ヶ月という短い期間に数値結果での判断をされる。そういった物事の捉え方ややり方を否定するつもりは毛頭ないが、自分自身の生きるリズムには合わなかった。今どこの企業にも属していない私はインターネット上のたくさんの"誰か"を大きなショベルカーでかき集めては放り投げるような仕事ではなく、顧客ひとりひとりを大切に、相手も、そして自分自身も顔が見える仕事をしよう、と改めて決意できた。

目の前の人や出来事をただ大切にする真摯さと、それをやり続ける/考え続ける胆力を併せ持つ人に私もなりたい。そして、いつか藤原印刷さんから本を出版したいと強く思った。

おまけ
今読み進めている島田潤一郎著『古くてあたらしい仕事』にも「一冊の本、一人の読者・書店員、一店の書店を大切にする」という、今回の講義に通底する考え方が描かれている。文章を追いながら島田さんの決意と熱量と実直さが伝わり何度も涙が溢れた。読了したらnoteに記事としてまとめてみたいなぁと思う。


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