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世界から3mm浮いている(2024/10/18)

ドラえもんは、地面から3mm浮いている。土足で家に入っているのは良くない、とクレームがあって生まれた設定だとどこかで読んだことがある。(覚え違いだったらすみません。)じゃあ、机の引き出しから出てきたり、とんでもなく小さなプロペラで体を浮かばせられたり、どんな場所にも出入りできる扉があるのは気にならないのか?そんな戯言は置いておいて。

ふと、文章を書くのも、世界から3mmくらい浮いていないとできないかもしれないと思った。その人らしい文章を書くのは、の方が正しい表現だろうか。

大学生の頃、エッセイを書くゼミに所属していた。そこで最も身についたのは「嘘を書かず、自分自身を全て見せること」だった。文章にはどうしたってその人の感じ方や物の見方が滲み出る。それを変に取り繕って善人に見せようとしたり、世間の常識とは違うからと削ろうとしたりすると、途端に味気のない言葉ばかりが紙面に並ぶ。書き手自身が、どう世界と対峙したか?他人とどうズレた見方をしたか?読み手はそれを求めているんだなぁと身に沁みて感じた。

社会人になってから、世界とぴったりくっつく練習もしてみたけれど、強い強制力がないと体のどこかがうごうごしてきて、そのままでいられない。磁石のSとNのような、柔らかい反発。それなら私はいつも世界から3mm浮いてそのズレを書いていたいと思う。

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