生身で飛び込む、言葉のセッション
文章で生きるゼミ第3回は団遊さんにご登壇いただいた。
団さんがインタビューで心がけていることは「質問を相手と自分の間に置く」ことなのだそうだ。自分の聞きたいことに近すぎもせず、相手が話し慣れていることに近すぎもせず、一緒に質問内容を見つめて、考える時間を取れるようなもの。今回の講義は、団さんに「僕の話聞いてどう思った?」とまさにボールを目の前に置かれたような気持ちになった。咀嚼するのに時間がかかった。私なりに受け止めた考えを、これから書いていきたい。
改めて紹介させていただくと、団遊(だん あそぶ)さんは、小説家志望からライターになり、現在はアソブロック株式会社の代表取締役を務められている"ヨノナカの編集者"。
日本仕事百貨にも先日求人記事を出されていた。
今回の講義で、先述した質問方法の他に印象に残ったことは、団さんが「ありのまま」を大切にしていること。そして記事を、編集者を指揮者とした「セッション」であると言われていたことだった。
事前準備は必要だが、自分が思い描く理想の記事を書くためにインタビューをする訳ではない。インタビュイーが質問に対して考えあぐねている場合や、うまく言葉を引き出せなかった場合でも、その場の空気感をすべて原稿にして残す。そして、写真やイラストやデザインと共に記事にしてありのまま読者に伝える。
ここからは私の解釈になるが、インタビューも、1回限りのジャズセッションなのではと思った。アドリブが効果を発揮して最高潮に盛り上がることもあれば、各々の思惑が外れてビートが乗らないこともある。相手に合わせようとしすぎても逆に失速し、無理に盛り上げようとしてひとり(この場合はインタビュアー)が突っ走っても良いものに仕上がる訳ではない…。事前に得意分野などによっておおよその相性は測れるが、各々がこれまで生きて身につけてきた言葉や考えをぶつけ合い、そこで何が生まれるか、何を書き残せるかはやってみないと誰にも分からないから面白い。
なんだか、文章で生きるゼミでうかがった話や、これまでの人生で心に沁み込んだ言葉・体験が体の中でぐるぐると円を描いてひとつのエネルギーを生み出そうとしているのを感じる。
とにかく打席に立つこと
熱量高くやり続けること
良く見せようとせず、ありのままでいること
準備はしっかりすること
好奇心の塊でいること・・・
終着点はまだ見えないけれど、このままこの熱量に身を任せて書き続けたら自分をどこへ連れて行けるのか、今はただ試してみたい。