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持続可能な食文化を目指して「暗中模索から未来を切り開く。」佐々木綾子の「Suki」に迫る
おとなのSuki100 #04のゲストは佐々木綾子さんです!
「おとなのSuki100」は、好きなことを仕事にして生きる大人たちを紹介するコンテンツです。彼らの情熱や挑戦のストーリーを通じて、若者に多様なキャリアの可能性を届けます。
お仕事は何をしていますか?
「サステナブル料理家」として、食を通じて社会課題を解決する活動をしています。
具体的にどのような活動をしているのですか?
1. 新たな日本茶文化と市場の開拓
深刻化している日本茶離れを解消するため、
「テレリオ」という日本茶ブランド
「テレリオティールーム」というカフェ
を立ち上げ、新しい日本茶文化と市場の創造に取り組んでいます。英国のTEA文化を愛する方々に向けて、「日本茶を楽しむ新しいスタイル」を提案しています。
また、「かわいいカルチャー」をテーマにロリータファッションの方々やメンズ向けの日本茶企画も実施中。日本茶の魅力を新しい角度から広めています。
2. 社会課題食材の活用と波及
ジビエやクロダイ、サメなどの理由があって市場に出回りにくい食材を使った商品開発
廃棄、規格外などの食材を活用したメニュー開発
といった自社事業やクライアントワークを通して日本の食の社会課題に取り組んでいます。
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サステナブル料理家として生きる理由を教えてください
「食」に関する社会課題の多くは、決してビジネスとして利益を生みやすいものではありません。企業がなかなか手をつけない領域だからこそ、変化を起こすには自分で行動するしかないと決意しました。
「なぜそんなことを?」と不思議がられることもありますが、私なりの信念をもって挑戦しています。
ー難しいといわれる分野で挑戦を続ける理由を教えてください
人生は予測不能な出来事の連続です。その中で、「もし今日が最後の日でも後悔しない」と思える人生を送りたい。この強い想いが、私の活動の原動力です。
ー今一番情熱を注いで取り組んでいることを教えてください
ソーシャルグッドなタンパク源の活用
肉の生産に関する環境負荷の高さが問題視される中で、いわば「隠れたタンパク源」を活用する取り組みを進めています。
たとえば、
過剰に増えた鹿やクロダイ
フカヒレ目的で漁獲されたサメ など
これらは市場にあまり流通せず、廃棄されるケースも多い現状です。しかし、これらの食材をうまく活用できれば、持続可能な食文化の新たなあり方を追及できると考えています。
今後もメニュー開発やブランディングを通して、在り方を模索しながら、みなさんに楽しんでいただけるようなご提案をしていきます。
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ーお仕事をするうえで大切にしていることを教えてください
①まずはやってみること
考えているだけでは始まりません。こわくても自信がなくてもお金がなくても、まわりにあれこれいわれても、とりあえずやってみることが重要だと思っています。
②小さな違和感を見逃さないこと
これは自戒を込めて、大切にしたいこと。直感や自分のウチガワの本質の感情に耳をそむけず、違和感の根源を知ることでコミュニケーションだったり、プロジェクトやプロダクトの質が上がるんだと思います。
③完成直前まで、より良いものの追及をやめないこと
時間やコストをかけて開発や企画したものを完成直前に変更したりすると、いままでが無駄だったのではないかと言われることもありますが、私はそうは思いません。そのプロセスのおかげで新たなインスピレーションを得たり、もっと良いアイディアが降ってきた時には「ラッキー」と迷わず切り替えることにしています。
④ワクワクする選択をすること
好きなことでもワクワクしなければやらない(または一旦寝かせる)。選択肢があるならワクワクする方を選ぶと、情熱を傾け続けるためのエネルギーがわきますし、タイミングなんだと思います。
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ー今後の目標を教えてください
現在は大きなPDCAの2周目にさしかかっていると感じており、1周目の仮説検証結果をもとに、また新たな仮説を立てて2周目の計画をすすめているところです。
目標は、自分というコマのうまい使い方をマスターすること。
時間も体力も資金も有限な中、何をして何をしないかをドライに決めていくのは1周目に出来なかったことなのですが、自分をコマのように俯瞰して見たときに、目的や目指すミライに向かってより有効なコマの使い方ってあるなぁと感じています。コマの使い方をマスターしたら、もっと面白い展開ができると思います。
ちなみに去年は「とりあえずまずやってみる」フェーズで、PDCAサイクルをどんどんまわして試行錯誤していこうと考えていたものの、実際にはその前に暗中模索と悪戦苦闘が立ちはだかったという感覚がありました。
見えない中で挑戦を続けることは苦しいし、根性頼りになって体力が枯渇したりとコマの使い方も全然ダメでしたが、とりあえずやってみないと見えてこないことも多いですし、そんなこともリアルのひとつなのではないかと思います。
ー若者に伝えたいことを教えてください
10代のうちにやってほしいこと。それは、「自分の取扱説明書(トリセツ)」の精度を高めるることです。人生も仕事も、選択の連続です。自分というキャラを使った人生ゲームと捉えることもできます。自分というキャラを把握しておくことで、俯瞰した状態で人生を面白くする選択が可能になってくると思います。
自分のウチガワに起こった感情について、「何が嬉しかったのか?」
「なぜ、何が嫌だったのか」
「なぜ、何がもやもやしちゃうのか」
「なぜ、何が悲しかったのか」
「この怒りの根源ってなんだろう」
を深掘りしてください。
ポイントは、起こった出来事も感情もできるだけ細分化してひとつひとつ切り分けて捉えること。
例えば、誰かに何か言われてもやもやしたとします。そしたらどのフレーズ、単語、もしくは何の要素が引っかかったのかを細分化します。
もやもやポイントがわかったら、今度は自分がなんでもやもやしたのか深堀りします。そうすると、実は自分にはここは大事にしたいポイントがあったんだとか、ここは図星だよなぁとか、もやもやの根源が見えてきます。そうなったらもやもやした感情が「気づかせてくれてありがとう」に変わるし、気づきも得られて一石二鳥です。
「好き」を見つけるのは意外と難しいものです。憧れの「好き」と、本当に心が喜ぶ「好き」は違います。しかし、「何が嫌だったか」「何にモヤモヤしたか」を分析することで、逆に「本当に好きなこと」も見えてきます。または、特に「好き」という自覚がなくても、なんかワクワクすることを見つけることもおすすめです。
なにかに挑戦することはエネルギーが要ることです。挑戦し続けるとなるとなおさらです。だからこそ、エネルギーが湧き続ける「好き」「わくわく」をうまく取り入れて、私も今後も挑戦していけたらと思っています。
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ーAbout 佐々木綾子
たべものがかり合同会社代表/日本茶ティールーム/日本茶ブランドオーナー、サステナブル食品ブランド開発、サステナブルメニュー開発、サステナブル惣菜製造
佐々木綾子のSNS:
テレリオティールームSNS:
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取材撮影・記事作成
ー有賀心咲
佐々木さんとは、THE SOCIAL GOOD ACADEMIAという、おとなのSuki100#01で取材させていただいた大畑慎治さんが代表を務めるアカデミアで出会いました。一期前に参加されており、アカデミアの先輩であり、ソーシャルグットを生み出すプレイヤーとして本当に尊敬している先輩です。自分の信念に向かって、失敗を物おじせず突き進む姿が読者の読者の皆さんの一歩を後押しするものになりますように!!