私が鍼灸師を休憩している理由
私が鍼灸師として活動していた時、妊活と自律神経治療を専門にした院を開院していました。
9年間で200名を超えるお子様の誕生に関わる事が出来たのですが、手前味噌で何ですが、1人治療院でこの数は異常な数だと思います。
単純に毎月1人以上妊娠してくださった事になる訳ですからね。
そんな院を、なぜ閉めたのか。
そんな技術を、なぜ今使っていないのか。
今日は、そんな話をしたいと思います。
(あるご職業の方に焦点を当てて書きますが、あくまで私の患者さんだった方の話です。)
私の院での統計にはなりますが、特に多い患者さんのご職業は、看護師、保育士、教師でした。一般企業の社員さん、その他公務員との差は、めちゃくちゃありました。
上記したご職業の中でも、保育士・教師は、多くの「発達ゆっくりさん」を見てきたというのがある為なのか、皆さん「障害児誕生の恐怖」を感じる発言をかなりされました。
・実際に園や学校で対応していて実感した大変さ。
・「発達ゆっくりさん」が先生や他の親御さんからどう思われているか知ってる恐怖。
特にこの2つを語り「障害児なんか私には無理だ」と言われます。
こちらの記事にも書きましたが
ある保育士の患者さんが、情緒面での加配対象の園児の話の際に「頭は大丈夫なんですけどねー」と言われました。
保育士というお仕事を選んでおられていても、言葉を着飾らなければ、そういうもんなんです。
これは嫌味ではありません。
だだの現実です。
誰も、障害児の誕生を望みはしません。
私だってそうです。
受け入れる事が出来ただけで、誕生を願いはしません。
しかし、我が家にはそんな障害児が2人います。
仕事中「障害児は嫌だ」という話を散々聞き、家に帰ると、そんな嫌がられている障害児2人が出迎えてくれるという生活をしていました。
患者さんの中には、私の状況を知っておられる方もいます。
しかし、それでも上記の記事のような事が普通にあります。
患者さんに悪気は一切ありません。
私だって一々気にしません。
でも、普通にあります。
患者さんに対する気持ちは、全員等しく同じです。全員、お子さんを授かって欲しいと思って治療します。
でも、申し訳ない事に、徐々にそう思えなくなっていきました。
患者さんがお話してくれる職場の愚痴に、障害児の親が多く出て来た時。
障害児の担当が面倒だという発言を聞いた時。
「仕事だから出来るけど」という支援学校教師の発言。
中には「前世悪い事した罰だと思う」みたいな面白い事を言う方も。
書けばキリが無いですが、こういう話を聞いている内に、私の中で少しずつため息が溜まってしまったんでしょうか。
ある日、とある患者さんに
『この人に妊娠してほしく無いな』
と思ってしまったんです。
自分でもビックリしました。
『障害児育児なんて、そりゃ嫌だろうなー』って思えてたんです。
『まぁ、これが現実だしなぁ』と思えてたんです。
『(私のように)面倒臭い親ばっかりでしょうねぇ』って思えてたんです。
その日を境に、私は店を閉める事を考えるようになりました。そして、グループホームも売却し、少しゆっくりしようかなと思ったのです。
最終的には別の理由も重なり、閉院・引越しとなったんですけど。
今では妻の治療(4人目妊活ではありません(笑))しかしない、妻専用の鍼灸師です。
いつかまた、鍼灸師として開業する時、妊活専門と謳えるでしょうか。
せっかくの知識、技術があるのに勿体無いなと思う反面、また同じような事になるのもなーとも思ってしまいます。
まぁ、今から思ったって仕方ないんですけど(笑)
ちなみに面白い(といっては変ですが)もので、看護師さんは
「障害児なんて確率の問題やし仕方ない」
と言う方がほとんど。そして
「検査してわかった時点で堕ろすけど」
と最初から決めておられる方ばかり。
別に宣言しなくても良いのに教えてくださるので、決意表明も含まれていたのかもしれませんね。
たまたまなのかもしれませんが、知ってる事や体験している事が違いますから(個人差があるのは当たり前ですが)職業によって差があって面白かったです。
私の院では問診票に職業を書く欄は無かったのですが、5年目くらいから、少し話せば職業を言われなくてもわかるようになってました。
その職業ならではの雰囲気ってありますよね(笑)
最後に。
きっかけとなった、妊娠してほしく無いなと思ってしまった患者さんは、無事に妊娠・出産されました。もしされてなかったら、思ってしまった後悔というか申し訳なさが残ったと思うので、本当に良かったです。
あと「障害児を産む怖さ」や「嫌悪感」を否定はしません。
思っても良いし、言ったって良いです。むしろそんな話をしたり、検査をどうするのか、そうなったらどうするかを真剣に話してくれたのは、私を信用して下さったからだと思いますし。
ただ、私がその話を聞くのに疲れてしまった、というだけです。
妻の歯痛(歯茎)治療をしていて、ふと思い出したので書いてみました。
治療するのはめちゃくちゃ楽しいんだけどなぁ。
二人の障害児の父
すけじろう
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