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3d_act_jyuku
あの男
あの男は 今日も 耐えられない
あの男は きっと明日も 耐えられない
あの男は 毎日 虚空に向かい 苛立つ
あの男は そんな己に 耐えられない
プライドというモノを可視化できたなら
あの男のソレに きっと誰もが 騙される
例えるならソレは 空に浮かぶ 1枚の扉
大きく 重厚で 覗き穴も鍵穴も無い
正面に立ち 向き合う事で大きく感じたソレ
真横に立つことで 儚く無惨に 変貌する
扉は薄く歪み 些細な風に 揺れ動き
その軽さ故に 空へと 浮かんでいた
あの男は 満足しない
自身の正義に 満足出来ない
振りかざした 言の葉は
明日も誰かを 引き摺り込むだろう
その先に待つべくは 光も闇もない
己の正義を 喉元に 耳元に 目元に
ただひたすらに 訴えかける あの男
あの男は 自身の孤独に怯まない
あの男は 自身の孤独に腐らない
あの男は 勝ちを知らない
あの男は 負けを知らない
あの男は 元より勝負をしない
あの男は 知っている
自身の武器では勝てないことを
あの男は 理解している
自身の孤立を理解している
故にその声 向かう虚空にさえ
響かない