アクションアニメとしては満足。『ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンラインⅡ』全12話感想【2024秋アニメ】
2024秋アニメのGGO2期(全12話)を視聴完走したので、1話ずつの感想を軽くまとめていこうと思います。全体的な感想としては、物凄く面白いってわけではないけど安定した内容で良かったです。
2018年の1期は全話視聴済み。原作小説は未読。
しかし、相変わらずタイトルの長い作品だ……。もうちょっとスマートなタイトルのほうが良かったのでは? 本家SAOの章タイトルリスペクトなのはわかるけど。
第3回スクワッド・ジャム(SJ3)編 第1話〜第8話
第1話『二度あることは三度ある』
2024年10月5日放送。1期のストーリー&キャラおさらい回。バトルはまだだし、インパクトのある出だしではないものの、2期1話としては上々の立ち上がり。初回から23分きちんと飽きさせないのはさすが。
1期はもう6年以上前になるがブランクを感じさせない仕上がり。制作会社はA-1に変わったけど、制作チームの中身は1期と同じとの事。キャラデザは少し変わったか? だけどレンやピトフーイたちキャラの面々は懐かしい。
第2話『大貨車作戦』
第3回スクワッド・ジャム開始。レンたちチームLPFMによる他参加者とのバトル回。バレットラインを用いたガンアクションや光剣を使った戦術は、1期の内容やSAO本編の2期(GGO編)も思わせる。
しかし、やっぱり外伝GGOは本家SAOの「ゲームであっても遊びではない」とは違うと感じる。そういうヒリつくシリアスな話というよりは、ゲーマーたちの愉快な日常ものとして視聴するのが正解かな、という姿勢を新たにする。
あと今期は毎回ノルマのように差し込まれてるレンの顔芸要素も良い。
第3話『クラレンスとシャーリー』
クラレンスとシャーリーの2人によるサイドストーリー回。クラレンスの理屈や損得に基づかない狂人ムーブはさすがに理解できないが、主人公であるレンたちの知らない所で繰り広げられる脇役2人の死闘は群像劇感が強くて良かった。
普通3話といえばだんだん失速してきてもおかしくないが、ここで話に味変を加えてギア上げてくるのはスゴい。一回の中でクラレンスとシャーリーのキャラを立てて、両方一気に使い潰す思い切りもなかなか。
第4話『特別ルール、発動』
SHINCやメメントモリ、全日本マシンガンラバーズやT-Sなどがメインの、再びのサイドストーリー回。各チームのキャラが立ってて、話は進んでないのに面白い。
しかし観客サイドの描写の映えなさは気になってきた。パブリックビューイングしながら大人数がぼっ立ちというのは絵面としてつまらないし、観客たち個々のキャラも立ってないから試合に対するリアクションが薄っぺらすぎ。はっきり言って無いほうがマシ。
終盤の裏切り者ルールの発表も、運営側がどういう意図を持ってるのかがわからなくて作品への感情移入を削ぐ要素。
第5話『ビトレイヤーズ・チョイス』
チームBTRY結成回。まず裏切り者チーム参加者の半分近くの行動理由が理解できない。レンと戦いたがってるピトフーイやパリピな全日本マシンガンラバーズ、チーム敗退危機のT-Sはわかるが、チームとして真面目に参加してたエヴァやデヴィッドが突如宗旨替えをするのは意味不明。
作品の題材としては「ゲーム」というキャラたちが楽しむのが目的の遊びなのだとしても、視聴者はゲームとかゲームじゃないとか関係なく真剣に観てるんだから、キャラ性の描写はちゃんとしてほしい。
しかし、あまり進んでいないにもかかわらず話としてはそこそこ面白い。豪華客船舞台や、引き続くレンの顔芸描写も良い要素。
第6話『まだ時間はある攻防戦』
豪華客船への侵入を巡るバトル回。何人かの参加者がここで脱落しつつも、バトンは仲間に受け継がれ、戦いの舞台が船内に移っていく展開が良い。
ただ全日本マシンガンラバーズの末路は理解できない。キャラが楽しそうにゲームをしている描写がなされていても、視聴者がキャラの感情に共感できないのであれば作品として面白いとは言えないのでは。……と、前回と同じような感想。
エムさん首絞めで引きの構成は面白かった。女の子2人が仲間にいるのにピンチになってるのは大男1人ってどんなんやねん! しかもエムさんの性癖を考えると……。
第7話『ターン・オーバー』
船内での生き残りチームの攻防、チームBTRYの仲間割れ、レンとピトフーイの対面まで。
まず本性を現して仲間を刺しまくるピトフーイと、デヴィッドの光剣による決闘は良かった。デヴィッドもここに来てキャラが立ってきたが、そのぶん見た目のモブっぽさや、どう考えてもピトフーイを倒してレンたちと対決って展開にはならないんだろうなと思わされる脇役感はちょっと可哀想。
実はレンが裏切り者に選ばれていたという展開は強引すぎる。端末画面をよく確認していなかったとかいうキャラがアホになるだけの描写は意外であっても面白くも何ともない。ただただ冷める。すべてが脚本ありきすぎて、キャラの立場を蔑ろにしていると感じる。
第8話『決闘』
レン&エヴァ 対 ピトフーイ&フカ次郎。SJ3決着回。まず、大型武器を殺傷武器としてではなく地形破壊に使用するというアニメ映えする画面描写や、前半の静から後半の動へ一気に移行する話の構成が良い。
更にエヴァの落下中ヘッドショット、伸びたカエルみたいなポーズでやられるフカ次郎、全力で勝ちにこだわるレン、レンを敵と定め死を強く意識するピトフーイ、おいしい所で現れるエムなど、今回は十分にそれぞれのキャラ性を引き出していて、これまでの不満を払拭するに足る完璧な章ラスト回だった。
特に、ピトフーイを用いたSAO本編に通じる「ゲーム内の死」と、試合終了後の爽やかなノーサイド描写・現実世界の青空などで示される「ゲーム外の生」の対比が印象的だった。まさに終わり良ければすべて良し。素晴らしい一本の映画を観たかのような満足感があった。
レンのナイフアクションなどのポーズ・モーションの作画の躍動も見事。「頭を使う」「勝者を持ち上げる」といったダブルミーニングの言い回しも面白かった。
テストプレイ編 第9話〜第12話
第9話『戦場への招待』
SJ3編の余韻もそこそこに、すぐさまテストプレイ編開幕。前半の現実の中の人描写は良かったが、今回の後半にはもう薄暗い紫の空のGGOに戻ってしまったのが画面としても話としても変化に乏しくて不満。
第8話が非常に良かったから、もうちょっとSJ3が終わってからのどうこうのな話のほうが観たかった感がある。
レンとは異なるコヒーのボーイッシュ感や、フカ次郎の中の人の美優の「エロゲの親友ポジションの女版」感はなかなか良い。
第10話『悪魔の城』
テストプレイ編第2話。参加した他チームの動向や、敵NPCの紹介回。しかし、まだこのテストプレイ編という話の内容に乗り切れていない。
相変わらずSHINCとの決着にこだわるレンの姿勢に共感できるわけでもなく、テストプレイ編のコンセプトに興味が持ててるわけでもない。今回はバトルロイヤルなのかレイドなのかも、まだはっきりしないし……。
敵NPCの男たちを品評するフカ次郎とレンの漫才は良かった。あと新しいED曲も割と好きかも。
第11話『ピトフーイの突撃』
テストプレイ編第3話。他チームとの共闘開始回。もう話に乗り切れないのは前話から変わらないが、対最強NPC軍団のレイドというコンセプトがようやくはっきりしたのは観やすくなって良かったと思う。
ただ「あのSJ3で殺し合った敵たちとの共闘展開」という演出をするには流れがアッサリしてて正直盛り上がりに欠ける。
敵イケメンNPCを殺しながらのレンの「ごめんフカ♡ 彼氏候補、殺しちゃった♡」や、敵に捕縛されて涙を流しながら自害を選ぶレンはエロくて良かった。完全にシチュエーションがくっ殺。まあ女主人公だからね。
第12話『戦う理由は』
テストプレイ編第4話。最強NPC軍団との決着回。
最強NPC軍団は実はNPCではなく元軍人の中の人たちがいて、職業病治療の医療目的でGGOに参加していたという、最後にSAOならではのテーマに帰結したのは綺麗で良かった。
本職の軍人だから最強NPCというほど強かったというのは説得力ある設定だし、それでも「ゲームである事」を理解していた差でレンが勝てたという理由付けも納得がいった。
ただ、SJ3に続いてまたレンがラストアタックを担当したのはご都合主義すぎてさすがに感情移入が削がれる。主人公を置いてるスタイルの群像劇である以上は仕方ないのかもしれないが。話としても第8話ほどの盛り上がりは無いまま終わったというのが正直なところ。
総評
そういうわけで、全体的には物凄く面白いってわけではないんだけど、全12話問題なく完走できるくらいには安定した内容で良かったです。
6年前の視聴なので印象の話にはなるけど、1期の時とほぼ同じような感想。でも第8話の盛り上がりのぶん1期より良いとも言えるかも。
SJ3編は道中の裏切り者ルール発表やレンが本当の裏切り者のあたりはキャラの立場を無視した強引な脚本がひどかったが、第8話の盛り上がりだけでお釣りが来る面白さだったとも感じた。もちろん毎週納得して楽しめる内容だったら言う事はなかったんだけど。
テストプレイ編は全体的に蛇足感。話単体としてはSJ3編の道中ほどの強引さは無かったが、SJ3編のラストほどの盛り上がりも無かった。SJ3編でガンバトルには満足したので終盤4話は全然別角度の話をするか、できれば第8話で終わっておくのが一番綺麗だったと思う。
SJ3編とテストプレイ編のテーマ的な繋がりが薄かったのも良くなかった。そのせいでSJ3編の後にテストプレイ編をやる意味が乏しいように感じたので、なおさら良い長編8話+ただの短編4話という印象があった。
たとえば「レンがGGOを続けるか否か」を第9話で突然言い出すのではなく、2期全体のテーマとしたほうが全12話を通しての話としては上手くまとめられたのでは。
まあ「レンがナイフを使う事」は今回の2期の通しテーマなのかな?
とはいえ、毎週飽きずに第12話まで楽しめた内容であるのも事実。自分は基本的に毎週1話ずつ観ていくというのが続かないので、それが出来るくらいには面白い内容だったと思います。嘘、テストプレイ編の第11話・第12話あたりは本当はちょっとキツかった。
こういう風に自分は作品の中で話の内容を最も重視しがちだけど、ガンアクションらしい派手な画面作りや、劇場版アニメみたいなダイナミックな作画演出も良かった。話の内容はほどほどでも、アクションアニメとして楽しかったねという評価ならそれでも良いのか。
レンちゃんもジェイコブの最後の問いに対して「楽しいから」と答えていた。アニメを観るのも、楽しかったという感想が最後に残ればそれで良いのかもしれない。
あと、1期の制作チームが今回も手掛けただけあって作画が非常に安定してたのも良かった。まあテストプレイ編の最後4話あたりはちょっと顔の作画を不安定に感じた所もあったけど、そのくらい。
それとハルヒとか昔のアニメみたいな毎回の早口次回予告も良かった。最近は次回予告の無いアニメが多くて寂しいんだよね。あってもYouTube限定とかさ。本編とは違う、妙にテンション高い次回予告が楽しい。
作品のテーマとしては、本家SAOが「ゲームであっても遊びではない」なのに対して、今作GGOは「ゲームであり遊びである」を強調していたのが印象に残った。
それでいてSJ3のピトフーイの最期であるとか、最強NPC軍団の正体であるとか、「SAO外伝」として本家SAOに通じるテーマも扱っていたのが上手いと思う。
ぶっちゃけ自分は本家SAOは、2010年代前半のラノベアニメの代表であるという認識だけで作品としてはそんなに好きではないのだけど、今作のそういう本家リスペクト・SAOの外伝である意味の表明みたいなのには感心する。
という感じでした。もう一度まとめをすると、すべてを手放しで賞賛できる内容ではないが、完走して不満足でない程度には面白かった。自分には1クール完走できる作品の存在すら貴重なので見つけられて良かった、でした。
もし気が向いたらGGOの原作小説や漫画版にも手を出してみようと思います。漫画版はSJ1の内容だけで全4巻で終わってるらしいのがおつまみ程度の内容すぎると思うけど。それなら普通SJ2までやってるアニメ1期のほう観るよね……。
2025冬アニメに関しては、視聴作品は未定です。まあ本格的に始まるまであと2週間くらいあると思うので、のんびり年越しつつ、また次が始まったら観るか観ないか考えるとします。
それでは! もし記事読んでポジティブな感想があったら、ぜひコメントよろしくお願いします。よいお年を~。