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【CDレビュー】envy/RECITATION

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   今日を精一杯駆け抜ける君に、鼓動を刻む明日は来る!!


ビートルズのベストアルバムに青盤、赤盤があるとするならenvyに関していえば「君の靴と未来」を黒盤、そして今回レビューさせていただくこの「Recitation」を白盤という風に私は提言したい!!

というのも前回レビューした「君の靴と未来」は間違いなく名盤、そして名盤すぎるが故にその後の彼らのアルバムはかなり試行錯誤をしているように私は感じました。

「a dead sinking story」は「君の靴と未来」の流れはあるのだけれども、だんだんとポストロックの流れを汲んでおり初めて「えっ、envyこういうのも出来るの?」と思った方も多いはず。そしてこの「狂い記せ」が大名曲になったり、次作「Insomniac doze」の長尺曲&ライトサイドな展開に驚いた古参勢は多かったのではないでしょうか?

ティーンエイジャーのような若い頃って(と言っても私自身まだ33歳の若輩者でしかないのですが)早いが正義のメタル論があると思うんですよね。ギターソロや曲のテンポなんか。だから私自身高校生の頃から専門学校卒業までは、envyに関して言えば地上より永遠に〜君の靴と未来のころばかりを聴いていましたし、それ以降は長さに耐えられなくなったりであまり聴くことはありませんでした。


しかし、私も社会人となりそれなりに様々な音楽に触れたりして、久々に恵比寿LIQUIDROOMへenvyのライブを観に行きました。

感想はもう言葉にならないくらい素晴らしいものでした。というのもこのライブは「Recitation」のレコ発ワンマンだったのですが、レコ発なのに「Recitation」を聴かずに参戦したのですね。アホですね。

で、その内容はというと初っ端から奥貫薫さんの朗読から始まり、「永劫の終焉」「雨雲走る聖夜」と始まり今思うとアルバム通りの流れ。なんだけどなんだこのバンドアンサンブルは!!音作りがすごく儚く、切なく、綺麗。繰り出される轟音に立ち竦むしかない私。と思いきや繰り出してきたのは初期の名曲「覚醒する瞳」「左手」。いや、その綺麗なクリーンサウンドがまた静の部分に不穏さが増して、また空間系使ってディストーション掛けてるもんだから動の部分の轟音がビリビリ来る。でもしっかりバンドのアンサンブルはとれている。凄い。

その後もRecitationの曲は全部やったのですが、本当に聴かずに参戦したことを後悔し、即タワレコに走りました。

で、ライブの余韻に浸りながらアルバムを聴いたのですが本当に素晴らしい。ブレないバンドサウンドの中に、これまで取り入れられてきたライトサイドの部分が昇華されて見事ハードコアと融合してenvyというジャンルのレベルをまた一つ上げたのではないでしょうか?
もちろん大名曲”scene”のような曲もありながら、青春パンクのような曲もありでバラエティ豊かなアルバムだと感じます。


それでは外せない曲をいくつか

5:Light and solitude

いや美しすぎでしょ、この曲。静と動の対比、曲構成、アレンジ、ムムム隙が無い。私はこの曲を勝手に「君の名は。」と別名で呼んでいます。前半の晴れた日に好きな人と公園を歩く平和な日々、中盤で起こる恋人たちのすれ違い、後半は豪雨のなか恋人を探して最後4小節くらいでキーがメジャーに変わるところで再会する2人の感じが「君の名は。」感を感じたんですけどどうですか?そうでも無いですか、そーですか。


6:Dreams coming to an end
8:Worn heels and the hands we hold

早いenvyが戻ってきた!!と叫んだ方もいるのでは無いでしょうか?久々のファストトラックで、でもしっかりライトサイドをうまく昇華させているこの2曲がこのアルバムのハイライトなのではないでしょうか?Worn heels〜に関してはダイロクさんのドラムが物凄いですね。半分がほぼスネアのロールとキメなのに隙がないバンドアレンジ。そして河合さんのギターのフレーズが本当に美しい。
Dreams coming〜はenvy的青春パンク?ってくらい初めて聴いたこの感じ。というかギターがミュート刻んでる。これは事件だ!!でもこれはenvyじゃないと言わせない楽曲のセンスが、塊で脳内に打ち込まれていくんですよね。

というか私このライブ映像何回も観ているんですけどね。伝わります?このバンドアンサンブルと音作りの素晴らしさ。最近ライブでWorn heels〜の最後の大名詩「今日を精一杯駆け抜ける君に、鼓動を刻む明日は来る!!」を深川さん叫ぶんですよね。これがまたグッとくるんだな。やっぱenvyはライブに行かないと。


10:A Breath Clad in Happiness

2010年版、"切望と議論の揺りかご"と言ったところでしょうか。まあ私がそう呼んでいるのはアレンジがちょっと似ているってだけなんですけどね。ラストに向かっていく疾走感がたまんないです。


ここに紹介しなかった曲はどうなんだ!!ってなると思うのですが、そちらもしっかり名曲揃いです。というかこのアルバムは本当に1枚通して聴いて欲しい。アルバムの流れが素晴らしく出来上がっているのは「君の靴と未来」以来なのではと個人的には思います。特にオープニングからの「永劫の終焉」の入りかたの切なさは本当に素晴らしい。

なんか素晴らしいしか言ってないな。すみません語彙力なくて。

「君の靴と未来」のレビューでも言いましたがenvyはまずライブです。ライブでハマった曲もたくさんあります。以前はサブスクも解禁されていなかったのでライブで初めて聴く曲とかたくさんありましたし、でも聴いていなくても全然楽しめる、いやもっと掘り下げたくなってしまうのがenvyなんです。

最近やっと「Insomniac doze」や「abyssal」の良さに気付きました(遅っ)この辺のアルバムの曲ってもうほとんど決まった曲しかやらなくなってきているのが残念ですが、まだ深堀出来る環境にいることを喜ばしく思います。

私的にはこの「Recitation」は冬の夜にとても合うアルバムだと思うので家路につきながら聴いて帰るのも、星を観ながら聴くのもとても合うと思います。

envyの白盤、大名盤です。

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