日本の漫画にはバンドデシネのようなマチエールは要らない。

漫画家の川勝徳重先生のnote『フランスのマンガのマチエール』。
要約すると「日本の漫画にはマチエールが無い。フランスのバンドデシネのようにマチエールのある漫画を日本の漫画界も持つべき(それは漫画家のテクニック的な面でも、またマチエールが再現できる高品質なコミック製本的な面でも)」みたいな論旨だと思います。ざっくり言うと。

それに対し「なんか違くね?」みたいに思ったので、その反論的なものを以下に書きます。

あと数回読み返して「川勝先生はマチエールという意味を果たして美術で使う意味で使っているのか?いくぶんテクスチュア的な意味合いでマチエールという言葉を使ってるのでは?」と思われる記述もあります。やや広義な解釈をしてる?
マチエールは絵肌で、テクスチュアは質感ですね。マチエールは基本絵の質感に限定して使います。
だいたい美術のマチエールな意味準拠であろう、そう見なしな認識で書きますが。

結局「美術のアカデミックなテクニックというものがマチエールに一番顕著にあらわれる」という話でしかないと思うが。
なのに「漫画絵にとってつけたようにマチエールさえ描き加えれば美術な漫画になれる(意訳)」と考えるのは、やや倒錯かな。

そんな日本の漫画のローファイさ、(低価格化のため低品質な紙質や印刷向けに特化した)マチエールの無い絵柄な部分にむしろ面白みを感じて美大出の漫画家たちは入ってきた筈で。
マチエールのなさにコンプレックスをもってるのはアートコンプな非美大出の漫画家だけで。

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