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【詩】地球が終わる朝に。
カーテンを少し開ける。
夜明けの光が薄く滲んで、
揺れていた。
最後の朝だなんて、
とても思えないほど
美しい。
死のことばかり考えていた夜。
それなのに、
こんなにも眠れるなんて。
街は、静寂に包まれている。
誰もが胸の内で
今日を噛み締めているのだろうか。
「X月X日、地球は終了する。」
その報せが流れたのは、
先月のことだった。
「存続は、非効率と判断された。」
「決定は覆らない。」
「計画どおり、最終段階に移行。」
ラジオからは、
顔も知らない偉い人たちの
小難しい言葉が淡々と流れていた。
街は、絶望の空気に沈んでいった。
でも、僕にはそれが——
希望だった。
終わりのないと思ってた日々に、
終わりがあると知れたから。
死んだも同然だった心に、
仄かな光が灯った。
目の前の夜明けのように。
もし、
これが誤報だったら。
もし、
明日が続くのであれば。
……なんてね。
だけど僕は——
もう少しだけ、
生きてみたい。