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金曜日、私は仕事を終えて開放感に酔いしれていた。 「ようやく休める」と思い、週末をどう過ごそうかと考えていた。 しかし、この胸の喜びが、すぐに終えることを私は知っている。 いつだって、気づけば日曜日が終わっており、月曜日が始まっているからだ。 そして、私の口からは決まって同じ言葉が漏れる。 「休んだ気がしない。」 丸2日間、確かに休んだはずなのに、まるで空白の時間を過ごしていたように。 この繰り返される絶望から、私はいつか抜け出すことができるのだろうか? ◇
スマホからXを消した。私にとってその日は、日常を一変させた「Xデー」と言っても過言では無い。 ◇ 私のiPhoneのアプリの使用時間を見ると、1日に1時間以上Xに浸かっていた。多い時には2時間以上も。 SNSごときに人間の生活が支配されるはずがない。そう思い込んでいたけれど、気づけば、朝の通勤電車の中でも、夜寝る前のベッドの中でも、Xは私の時間をじわじわと蝕んでいた。 「デジタルデトックスが大事」なんて、Twitter時代に呟いたこともあったけど、その言葉をSNSで呟
いつもの帰り道、ふと夜空を見上げた。 プラネタリウムのように散りばめられているはずの星たちは、何処に隠れているのか。 けれど、オリオン座だけは薄らと浮かび上がっていた。 そうか、気づけばもう冬が来ていたのか。
けたたましく鳴り響く電話。 眠りの中で揺蕩っていた私は、その音に叩き起こされた。 見知らぬ天井だ…。 スマホを見ると朝3時、横には妻の姿。私は、自分が置かれている状況を思い出した。 ◇ その前日、新婚旅行4日目となる日のことだった。バルセロナ空港にて、イスタンブールに向かう航空便を待っていた。 ただ、航空便が遅延していた。11時発の航空便が、13時発予定に後ろ倒しになり、さらに14時発に変更となっていった。 航空会社の社員たちがソワソワしていて、嫌な予感がした。
浦和で、友人と待ち合わせをした。 浦和といえば、馴染みがない人には浦和レッズくらいしかイメージがないと思うが、埼玉県人にとっては必ず行ったことがあると言っても過言ではないだろう。 そんな約束の地に、私は学生以来、おそらく15年ぶりに足を踏み入れた。 駅の西口には、昔のような活気はないものの、大きく居座り続ける伊勢丹。 そして、なんと言っても駅の東口の視界いっぱいに広がるパルコ。 あの時から、何も変わっていない気がした。とにかく、懐かしかった。 ふと、涙が出ていた。
梅雨の季節。雨が止んだって生乾きのコンクリートの匂いが漂ってくる。 今日も、仕事で夜遅くなってしまった。陰鬱とした気持ちに、追い打ちをかけてくる。 駅から自宅までは、幾分遠い。賑やかなの駅前は嘘のように、周りには誰もいなくなる。 人間関係で何度も苦労してきたはずなのに、それでも私は今でも苦労している。 夜道で一人になると、心の傷は、とても沁みて痛くなる。 その瞬間、私のシャツが血で滲んだ気がした。あるはずもない痛覚が、私の歩みを止めた。 おもむろにイヤホンを鞄から