サッカースパイク

E大学の正門前にちょこっと置いてあるサッカースパイク。恐らく、捨てられた物か、忘れ物だろう(忘れ物だとしたらなぜ取りに来ないのか)。しかし、本当に無意味な物なのだろうか。私はこのスパイクにはこんな物語があるのではないかと考える。

このスパイクの持ち主は、プロを目指していた。夢は日本代表。高校生の頃から受けてきたプロの選考も最終までいった。あと少しで夢が叶う。そんな時に悲劇は起きた。

彼は、事故にあった。高校生が乗っていた自転車と鉢合わせになったのだ。命に別状はなかった。しかし…。

膝の一部を損傷し、サッカーが続けられなくなった。
彼のサッカー人生はここで幕を閉じたのだ。彼は絶望に打ちひしがれた。

彼はサッカースパイクを二度捨てた事がある。一度目は、高校生の頃に受けたプロ選考に一次で落選した時。二度目は今回だ。

だが、どうしてサッカースパイクの持ち主は大学の正門前に置いたのだろうか。

多分、それは彼のメッセージかもしれない。「俺の代わりにこのスパイクを履いてプロになってくれ」と。

しかし、この話は意味がないのだ。
意味のない物に意味を持たせたのに過ぎないのだ。

suke



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ながいゆうすけ
一歩ずつ精進していきます。