軽自動車1台分のコスト・4WAYリバーシブルスカジャン
スカジャンを作るにあたり、何か面白事ができないかと考えた。
危険な考えである。
スカジャンと言えばリバーシブル。
では、そのリバーシブルの回数を増やす事ができれば面白いのではと。
だが表裏でどう考えても2種しか実現できない。
それを計3回リバーシブルし、4種類のデザインに切り替わる
世界初の珍アパレル、珍スカジャンとして完成したのが、
4WAYリバーシブルスーベニアジャケット(スカジャン)である。
何故3回もリバーシブルして、4柄も再現できるのか?
なぜなら、スパンコール(シークイン)によって構成されているからである。
言葉で説明しても伝わらないのは100も承知なので、以前撮影したPR動画を
見ていただければ、このスカジャンの機能が理解いただけると思う。
スパンコールと言えば、おばちゃんの服、美川憲一のドレス、小林幸子の紅白の衣装くらいの婦人服のイメージしたなかったのだが、完成したスパンコールスカジャンはやっぱり小林幸子の衣装であった。
子供服でよく見かけるのであるが、
ポケモンのTシャツでモンスターボールがスパンコールで再現されていて、
そのスパンコールを手で撫でてひっくり返すと、ピカチュウが現れるギミックが付いているものがあり、わりとメジャー製品として売られている。
子供服のスパンコールはスパンコール自体に色が付いたものを並べている為、スカジャンの細かい絵柄が再現できない…
そこで無地のスパンコールに無理矢理、印刷をすることで、
スカジャンの細かい絵柄を再現しようと試みたのが下記写真である。
虎の再現性が甘いと思うかもしれないが、これでもかなり完成度は高いので
ある。
スパンコールは刺繍機にアタッチメントを取り付ける事で、マシンガンの弾丸のように帯状に巻かれたスパンコールをガンガン生地に打ち付けていく。
スパンコールはスパンコール同志が重なりあう為、印刷をかけた場合のスパンコールの裏側に隠れたスパンコールには印刷が載らない。
そうするとひっくり返した時に、白が目立ち、めちゃくちゃ汚いのある。
それを解決する為に、4WAYスパンコールスカジャンは1つの柄に対して、正面と左右45度の角度から3回同じデザインを印刷する事で”白”のエリアをなるべく埋め、綺麗になるように細工している。
これがめんどくさい。
1つの絵柄に対して計3回。デザインは4種あるので、合計12回印刷をかけているというトンデモ仕様なのである。
Tシャツに1枚に対して12回プリントをかけているのと同じようなものである。
という事で複数回の印刷のコスト、また印刷面積も大きいので
1着でも新車の軽自動車が買えるくらいの、信じられない金額がかかっている。
また着心地はジャケットというよりも、もはや”ジャケット型の鎧”である。
着ればたちまちスターウォーズのC3POみたいな可動になる。
販売する用途、目的であったが、あまりにも特殊すぎて、飾られることもなく箪笥の中でクフ王の墓のツタンカーメンのように眠っている。いつの日か舞台衣装や展示イベントなどでお披露目、むしろ私の死後に評価されないかと妄想している。
最初の思いついたアイディアを、何の疑いもなく、そのまま実行して形にしたのですが、おそらく2度と作る事はない、誰によっても作られることがないスカジャン。
それが4WAYリバーシブルスカジャンです。
ゴージャス感、存在感は、誰にもマネできない、スカジャンの解釈、理解の域を超えた芸術品ならぬ幻術品です。
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