3月1日のにっき
3月になった。
給料日は15日なので、1日は別になんとも思わない。
今日は台本を書くために、喫茶店に行くことに。
歩いて10分ぐらいのところに昔ながらの喫茶店がある。
扉を開けるとカランコロンカランと言うのでどう考えても昔ながらである。
ここの喫茶店の店主は、コーヒーへの愛が凄い。と、コーヒー好きの友達が以前言っていたけれど、私はコーヒーの美味しさがまだ分かってないので渋々オレンジジュースを注文する。
注文を終えて、早速パソコンを立ち上げる。提出〆切が迫っているので今日で書き切りたいところだ。
半分くらいは昨日書いたので今日頑張ればなんとかなるだろう、と保存したはずのデータを探すもののどこにもない。
保存し忘れてデータが飛んでいた。
確か1万字くらい書いてたはずなのに。いや3万字ぐらい書いてたかも。絶対書いてた。
もしかして、結構書いた気がしただけで本当は1文字も書いてなかったのかも。3万字は全部夢?
自分で書きたいと言っておきながら全然書けてない、カスだな。何かっこつけて喫茶店なんて来てるんだろう。書けもしないのに。カスだ。
自己嫌悪で気分が完全に萎えてしまったので、家に帰ることにした。
一秒でも早くこの店から出て、自己嫌悪で爆発する前に布団に潜って全て忘れてしまいたかった。
パソコンをカバンにしまって席から立ち上がろうとしたところに店主が奥からオレンジジュースを持ってきた。
私はすぐにでも帰りたかった。爆発寸前で理性がなかった。でも店主がせっかく持ってきてくれるジュースを飲まずに帰るのは忍びない。やぶれかぶれになった私は
「直で」
と、口を開けた。
店主は「え、」としばし硬直、しかしその後、割とすんなりオレンジジュースを私の口に注いでくれた。気が利く店主だ。
店主は初めてやる行為だろうから、注ぎが下手だ。こちらの飲むスピードを上回る勢いで注いでくる。でも「とめてください」と言おうとすると「め」の時に口を閉じなくちゃいけないのでオレンジジュースがこぼれてしまう。今日はトートバックで来てしまったのでオレンジジュースが飲めなかったらそのままトートバックの中のパソコンに全部かかってしまう。
私のお願いを聞いてくれたのはありがたいけれど、もう少し思いやりを持って注いでほしいと思った。
コーヒーもこんな乱暴に注がれてるのか、ここの店主はコーヒーへの愛が凄いらしいが、注ぎ方は乱暴なのか。こんな注ぎ方、コーヒー本人に愛が伝わってるとは思えない。愛情が強すぎて逆に乱暴にしてしまう、DV彼氏ってことなのか。
飲んでる間に冷静になってきた。早く帰りたいからってなんで直でジュースを飲まされてるんだ。この店主は頭がおかしい。やぶれかぶれになった客の願いは断るべきだろと思いながら、なんとか飲みほした。
清算を済まして出ようとしたとき、店主に「もう来ないでください」と言われた。すんなり注いできたくせに嫌だったのか。頭がおかしいのは頼んだ私だけみたいに突き放してるけど、あなたもあたおかですよ。
お客の願いを一旦は文句を言わずに聞いてくれる店主がいる喫茶店、コーヒーが名物です。
またコーヒーが飲めるようになったら行きます。
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