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【SUJIN JOURNAL 2023- 準備室日記】下京渉成小学校 作品展に行ってきました。

このnoteでは毎回異なる書き手が、京都市立芸術大学 祟仁キャンパスとその周辺で行われる、様々な表現や出来事の現場を記録・発信しています。

訪問日:2024年2月27日 
この記事を書いた人:阪本 結(SUJIN JOURNALスタッフ)

 京都市立渉成小学校は京都市立芸術大学の崇仁キャンパスから歩いて6分の距離にある小学校で、2016年度から継続して空き教室を利用したアーティスト・イン・レジデンスが実施されています。毎年開催されている「渉成小学校作品展」では、小学生たちが図工の授業で制作した作品とともに、レジデンスの滞在作家の作品や京芸をはじめとした様々な学校の生徒さんたちが作品を出展しています。

今年も作品展が2月27日から三日間にわたって開催されました。
京都市立芸術大学による作品展のお知らせページ:https://www.kcua.ac.jp/20240227_event/

作品展のお知らせ

令和5年度 渉成小学校作品展

 作品展初日(24年2月27日)、渉成小学校にレジデンス中の作家であり作品展の出展者でもある杉本昌之さんに会場の体育館をご案内いただきました。
今回の作品展では渉成小の1〜6年生、京都市立美術工芸高校、京都市立下京中学校の学生、京都市立芸術大学の1回生から博士課程までの学生、そして歴代の渉成レジデンス参加アーティストの作品が展示されていました。

向かって右側手前と壁面が京芸生、左手前が高校生・中学生の作品。それらを取り囲むように小学生の作品が学年ごとに並ぶ。
広い体育館全体に余すところなく作品が並んでいた。

杉本さん:
渉成レジデンス(渉成小学校のレジデンス事業)は2015年の秋頃から始まり、作品展は2016年から続いています。僕は初年からずっとこの学校の空き教室を借りて制作していて図工の授業のお手伝いなどもしています。作品展の出展者は、京芸の学生さんたちについては僕たち滞在作家たちで相談して気になる方をお誘いしています。自分達のツテからお声がけするので偏ってしまうのはしょうがないですが、専攻や学年ができるだけバラバラになるようにしています。高校と中学校へは渉成小からお声がけいただいて参加してもらっています。

 筆者が訪れた時間はちょうど図工の時間で、子どもたちがレポートを書くべく授業用の端末を片手に作品の間を行ったり来たりしていました。大学生の作品には簡単な作品の説明が設置されていて、子どもたちは「ここからむこうが見えるなあ」「ちょっとマトリョーシカみたい」と感想をこぼしながら作品の裏にまわったりじっと座り込んだり、それぞれの時間を過ごしていました。

杉本さん:
僕は自分の制作の中でも実験的なものを出展するようにしています。今の小学生たちは入学したときからこの取り組みがすでにあった世代なので、(他校の)作品が並んでいても自然に見てくれますね。作品展の日程が参観日と被っているので、保護者の方々も見に来てくれます。彼らの作る作品もすごく面白いので、いろんな方に見に来ていただきたいです。


渉成レジデンスのアトリエへ

校舎の3階にあるレジデンスメンバーのアトリエも案内していただきました。
現在は杉本さんを含めた3名の美術作家がアトリエとして空き教室を利用しているそうです。廊下に面した大きな窓からアトリエの中がよく見えます。

― 廃校ではなく現役で小学校の校舎として機能している場所でのアーティスト・イン・レジデンスも珍しい気がしますが、滞在のきっかけは?

杉本さん:
あまり詳しくないのですが、東京の大学でそのような事業があったらしく、それをモデルとしてまず京都市内の境谷小学校でレジデンスが始まったと聞きました。境谷のほうは今はもうやっていないのですが、そちらも京芸卒の作家が歴代滞在していて小学生と作品展を開催していました。僕も一度作品展を見に行きました。その後、下京渉成小学校でも教室が使えることになり…なのでこちらは二例目ですね。2015年の夏か秋ごろ、僕は当時大学を卒業してしばらく経ったころで、京芸の教職の横田先生に繋いでいただいて小学校に入り、滞在を始めました。作品展にはその翌年から参加しています。

このように既存のコミュニティにアーティストとして入っていって、活動を継続していくのはすごく大変なことのように思います。

杉本さん:
最初の頃は互いに少しカタいと感じることもあったかもしれませんが、年々少しずつ理解をしていってもらえていると感じます。開始当時からは校長先生も変わったのですが、新しい校長先生も以前からこの活動を見てくれていた先生だったのも大きい気がします。僕たちも作品展だけでなく、正門の掲示板に毎月、季節に合わせて選んだ詩を展示したり、卒業生・入学生を祝う飾り作りを依頼されたり、いろいろな関わり方をしながら過ごしています。

渉成レジデンスメンバーによる掲示板展示
卒業・入学のお祝い飾り
卒業・入学のお祝い飾り

― 大学関係者や学生の中にもこのような活動に興味を持つ人はとても多いと思います。キャンパスが近くなったことで今後さらに注目されていくといいなと感じました。

杉本さん:
これまでも下京渉成小学校の生徒と京芸で何度かコラボして授業やワークショップを行なってきたのですが、キャンパスが移転してきてより近くなったので、様々な形で交流が活発になるといいなと思います。


杉本さんのnoteでも過去の作品展の様子が見られます


訪問日:2024年2月27日 
この記事を書いた人:阪本 結(SUJIN JOURNALスタッフ)

本noteについては以下のnote記事をご覧ください。また記事についてお問い合わせ等ございましたら、sujin_journal@kcua.ac.jp までご連絡ください。


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